「有愛さんの遺族側は劇団による過重労働とパワハラが彼女の心身を苛み、自殺の引き金となったと主張しています。過重労働や安全配慮義務違反があったという点は劇団側も認めていますが、パワハラに関しては双方の主張は平行線のままです。劇団はあくまで“伝統的な指導の一環”という姿勢を崩していません」(全国紙社会部記者)
【写真】「やけど」「痛かった」などの言葉…有愛きいさんが生前に母親に送ったLINE。他、公演中止の看板がある宝塚大劇場も 宝塚歌劇団の現役劇団員だった有愛きいさん(享年25)が亡くなってから3か月あまり。2024年に創立110周年を迎える名門劇団で起きた騒動は収束の兆しを見せていない。

「いまだに有愛さんへのパワハラを認めず、謝罪がないことなどを内部で問題視する声もあります。休演期間、故郷に帰っているような劇団員も多かったのですが、劇団からの急な呼び出しが複数回ありました。しかも、前日に『明日15時に集まってください』などとアナウンスされるんです。慌ててチケットをとって宝塚に戻ったのに、30分程度、簡単な連絡事項を伝えられて終わるだけということも。それならオンラインでもよかったのでは……。 劇団員のことをどれだけ大切にしているのか疑問に思ってしまいますし、旧態依然としたこの組織が本当に変われるのか不安に感じています」(現役の劇団員) 12月7日にも会見を開いた有愛さんの遺族側弁護士は「現在の争点は劇団幹部と上級生によるパワハラの存否」と話し、劇団側に「パワハラが否定されたままで合意解決することはあり得ない」と伝えたことを明かした。「遺族側は少なくとも15のパワハラ行為があったと主張し、有愛さんが家族や上級生、劇団の演出家らとやり取りしていたLINEの記録を公開したのです」(前出・全国紙社会部記者) 有愛さんが宙組内部でいじめられていると報じられるきっかけになった、「ヘアアイロンによるやけど事故」の際には母親に次のようなメッセージを連投している。《「やけどさされた」「ちゃいろになってる」「さいあく」「失敗で」「わざとな気がする」「あとならんかな」》 さらに宙組の公演と新人公演を並行して準備していた9月2日には、深夜に叱責を受けていた形跡も明らかになった。22時過ぎに《「たぶん」「怒られるかなと思う」》と同僚にLINEを送っていた有愛さんが、母親に《「今から支度する」「怒られてた」「まだかえれんわ」「上の人おるから かえれん」》などとメッセージを送ったのは同日の24時近く。「下級生の指導役という責任ある立場を務めていた有愛さんは、上級生たちから“下級生の失敗はすべてあんたのもんや”といった怒声や“嘘つきやろう!”などの罵声を日常的に浴びていたといわれています。 母親に送ったLINEの中には『ごめんな、やめたいやめたいいって。もう決めたから言いに行くわ。今まで支えてくれてありがとう』、『きのうでもう結構きつくて、今回まあまあ出番もらえてるし、芸事に毎日必死でおわれると思う。やめたら、すっきりすると思う』といった弱音や進路の悩みを送っているものもある。有愛さんは10月の新人公演を乗り切った後は、劇団員としての自身のキャリアにひと区切りをつけようとしていたようなんです」(前出・全国紙社会部記者) 前述の7日の会見に際し、有愛さんの遺族は次のように訴えた。《娘と会えなくなってから2か月が経ちました。いまでも娘からのLINEを、電話を、そして、帰ってくる足音を待ち続けています。その間にさまざまなことがありましたが、劇団が一向にパワハラを認めない姿勢に憤りを感じています。何日も何時間も感情に任せて叱責され『すみませんでした』と言うことしか許されず、泣きながら謝り続けている娘の姿を想像すると憤懣やるかたない思いです》 12月末にも予定される劇団側と遺族側の次回協議。劇団が遺族の訴えに向き合い、組織風土の改善に真摯に取り組む日はくるのか。※女性セブン2024年1月4・11日号
宝塚歌劇団の現役劇団員だった有愛きいさん(享年25)が亡くなってから3か月あまり。2024年に創立110周年を迎える名門劇団で起きた騒動は収束の兆しを見せていない。
「いまだに有愛さんへのパワハラを認めず、謝罪がないことなどを内部で問題視する声もあります。休演期間、故郷に帰っているような劇団員も多かったのですが、劇団からの急な呼び出しが複数回ありました。しかも、前日に『明日15時に集まってください』などとアナウンスされるんです。慌ててチケットをとって宝塚に戻ったのに、30分程度、簡単な連絡事項を伝えられて終わるだけということも。それならオンラインでもよかったのでは……。
劇団員のことをどれだけ大切にしているのか疑問に思ってしまいますし、旧態依然としたこの組織が本当に変われるのか不安に感じています」(現役の劇団員)
12月7日にも会見を開いた有愛さんの遺族側弁護士は「現在の争点は劇団幹部と上級生によるパワハラの存否」と話し、劇団側に「パワハラが否定されたままで合意解決することはあり得ない」と伝えたことを明かした。
「遺族側は少なくとも15のパワハラ行為があったと主張し、有愛さんが家族や上級生、劇団の演出家らとやり取りしていたLINEの記録を公開したのです」(前出・全国紙社会部記者)
有愛さんが宙組内部でいじめられていると報じられるきっかけになった、「ヘアアイロンによるやけど事故」の際には母親に次のようなメッセージを連投している。
《「やけどさされた」「ちゃいろになってる」「さいあく」「失敗で」「わざとな気がする」「あとならんかな」》
さらに宙組の公演と新人公演を並行して準備していた9月2日には、深夜に叱責を受けていた形跡も明らかになった。22時過ぎに《「たぶん」「怒られるかなと思う」》と同僚にLINEを送っていた有愛さんが、母親に《「今から支度する」「怒られてた」「まだかえれんわ」「上の人おるから かえれん」》などとメッセージを送ったのは同日の24時近く。
「下級生の指導役という責任ある立場を務めていた有愛さんは、上級生たちから“下級生の失敗はすべてあんたのもんや”といった怒声や“嘘つきやろう!”などの罵声を日常的に浴びていたといわれています。
母親に送ったLINEの中には『ごめんな、やめたいやめたいいって。もう決めたから言いに行くわ。今まで支えてくれてありがとう』、『きのうでもう結構きつくて、今回まあまあ出番もらえてるし、芸事に毎日必死でおわれると思う。やめたら、すっきりすると思う』といった弱音や進路の悩みを送っているものもある。有愛さんは10月の新人公演を乗り切った後は、劇団員としての自身のキャリアにひと区切りをつけようとしていたようなんです」(前出・全国紙社会部記者)
前述の7日の会見に際し、有愛さんの遺族は次のように訴えた。
《娘と会えなくなってから2か月が経ちました。いまでも娘からのLINEを、電話を、そして、帰ってくる足音を待ち続けています。その間にさまざまなことがありましたが、劇団が一向にパワハラを認めない姿勢に憤りを感じています。何日も何時間も感情に任せて叱責され『すみませんでした』と言うことしか許されず、泣きながら謝り続けている娘の姿を想像すると憤懣やるかたない思いです》
12月末にも予定される劇団側と遺族側の次回協議。劇団が遺族の訴えに向き合い、組織風土の改善に真摯に取り組む日はくるのか。
※女性セブン2024年1月4・11日号