立憲民主党の菅直人元総理(77)といえば、親から地盤を受け継がず、たたき上げで総理の座まで上り詰めた、いわゆる“非世襲の政治家”として知られる。ご本人もそのことを自負しており、他の政治家が世襲するたびに、批判を繰り広げてきたことをご記憶の向きも多かろう。
【写真】武蔵野市議補選に出馬する息子のために駆けつけた、菅直人氏とその妻伸子氏の姿菅氏の政界引退に伴う選挙 しかし、そんな崇高な政治理念も、こと身内のことになると途端に崩れてしまうものらしい。長男で、長らく菅氏の私設秘書を務めてきた源太郎氏(51)が、父親のお膝元・衆院東京18区(武蔵野市、小金井市、西東京市)に位置する武蔵野市議会議員の補欠選挙(12月24日投開票)に出馬することになったのだ。

息子・菅源太郎氏(左)の応援に駆けつけた菅直人元総理 政治部デスクが解説する。「この補欠選挙はもともと、菅直人氏が次の衆院選に出馬せず、政界引退を表明したことに端を発するものです。引退をするにあたり、菅氏は自らの後釜として、現武蔵野市長の松下玲子氏を指名。これに伴って武蔵野市長選が行われ、現職の武蔵野市議2人が出馬を表明したため、空いた市議会の2議席を巡る補欠選挙も同時に行われることになったわけです」 そこに名乗りを上げた候補者のうちの一人が、菅氏の息子である源太郎氏だった。母親の伸子氏まで駆けつけて「源太郎氏はこれまでに2度衆院選に出馬していますが、どちらも落選。比例復活もありませんでした。その後は出馬せず、シンクタンクの研究員や、父親の秘書を長らく務めていました。周囲からは、もう政治家は目指さないのではないかと見られていたのですが」 そんな“長男”の大一番を前に、菅直人氏も動いた。地元関係者が続ける。「選挙期間中、最後の日曜日となった12月17日のことでした。三鷹駅北口に源太郎氏が現れたのですが、そこには、菅直人氏本人と、その妻でエッセイストの伸子氏の姿まで。両親揃って息子のために応援しにきていたのです」世襲ではない 午後1時過ぎ。30人ほどの聴衆を前に、源太郎氏よりも先にマイクを握ったのは菅直人氏だった。「菅氏はのっけから、“これは世襲ではありません!”と絶叫。誰もが抱くであろう違和感に自ら言及し、半分本気、半分笑いを取りにいこうとした感じでしたが、聴衆の反応はイマイチでしたね。その後、源太郎氏が演説を始めたのですが、武蔵野市のことがいかに好きかということだけを熱心に喋っていました。伸子さんはそんな様子を周囲から見守っているだけで、マイクを握っての発言はありませんでした」 厳密に言えば、自らの選挙区を継がせるわけではないにせよ、お膝元である武蔵野市の補選に御子息が出馬し、両親揃って応援に駆け付ける――。果たして、“世襲ではない”という菅直人氏の訴えは、どこまで有権者に届くだろうか。デイリー新潮編集部
しかし、そんな崇高な政治理念も、こと身内のことになると途端に崩れてしまうものらしい。長男で、長らく菅氏の私設秘書を務めてきた源太郎氏(51)が、父親のお膝元・衆院東京18区(武蔵野市、小金井市、西東京市)に位置する武蔵野市議会議員の補欠選挙(12月24日投開票)に出馬することになったのだ。
政治部デスクが解説する。
「この補欠選挙はもともと、菅直人氏が次の衆院選に出馬せず、政界引退を表明したことに端を発するものです。引退をするにあたり、菅氏は自らの後釜として、現武蔵野市長の松下玲子氏を指名。これに伴って武蔵野市長選が行われ、現職の武蔵野市議2人が出馬を表明したため、空いた市議会の2議席を巡る補欠選挙も同時に行われることになったわけです」
そこに名乗りを上げた候補者のうちの一人が、菅氏の息子である源太郎氏だった。
「源太郎氏はこれまでに2度衆院選に出馬していますが、どちらも落選。比例復活もありませんでした。その後は出馬せず、シンクタンクの研究員や、父親の秘書を長らく務めていました。周囲からは、もう政治家は目指さないのではないかと見られていたのですが」
そんな“長男”の大一番を前に、菅直人氏も動いた。地元関係者が続ける。
「選挙期間中、最後の日曜日となった12月17日のことでした。三鷹駅北口に源太郎氏が現れたのですが、そこには、菅直人氏本人と、その妻でエッセイストの伸子氏の姿まで。両親揃って息子のために応援しにきていたのです」
午後1時過ぎ。30人ほどの聴衆を前に、源太郎氏よりも先にマイクを握ったのは菅直人氏だった。
「菅氏はのっけから、“これは世襲ではありません!”と絶叫。誰もが抱くであろう違和感に自ら言及し、半分本気、半分笑いを取りにいこうとした感じでしたが、聴衆の反応はイマイチでしたね。その後、源太郎氏が演説を始めたのですが、武蔵野市のことがいかに好きかということだけを熱心に喋っていました。伸子さんはそんな様子を周囲から見守っているだけで、マイクを握っての発言はありませんでした」
厳密に言えば、自らの選挙区を継がせるわけではないにせよ、お膝元である武蔵野市の補選に御子息が出馬し、両親揃って応援に駆け付ける――。果たして、“世襲ではない”という菅直人氏の訴えは、どこまで有権者に届くだろうか。
デイリー新潮編集部