引退後も清和会(安倍派)の後見人として振る舞い、政界に隠然たる力を誇示してきた森喜朗元総理(86)。出身派閥における指導体制崩壊の危機にもかかわらず、どうしたわけかその姿が見えない。身内からは今般の有事を招いた元凶だと、非難が巻き起こっている。
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【写真】パー券を支援者に大量に売りさばき多額の裏金を作っていたとして名前が挙がっている「安倍派4回生議員」 故・福田赳夫元総理が1979年に発足させた「清和会」は中国の故事成語「政清人和」に由来する。派閥のHPによると、清廉な政治は人民を穏やかにするという意味が込められているのだという。

森元総理が98年、第4代会長に就任した際に「清和政策研究会」と名称を改めて現在に至る。その清和会が今、裏金疑惑の震源地と化し、未曾有の混乱状態に陥っている。森喜朗元総理「派閥は空中分解寸前」「なにしろ派閥を率いる立場の5人衆に加えて、塩谷立座長(73)までが疑惑の渦中にあるわけですから」 そう語るのは清和会関係者だ。「もはや、5人衆による集団指導体制の維持が困難なのは自明。派閥は空中分解寸前です。派閥のうまみはカネと人事。ですが、岸田総理によって政治資金パーティーは中止にされ、当面の間は、人事面でも冷や飯を食う。派閥にとどまる意味などありません」 こうした惨状を招いてしまったことについて、派閥内からは森元総理の責任を追及する声が上がっているという。子飼いの萩生田氏「誰かが今後の方向性を示すべきですが、今の5人衆にはそれができない。その5人衆の跋扈(ばっこ)を容認してきたのが、他ならぬ森元総理です。口先では早く会長を決めるべきだ、などと言っていたものの、5人を操って清和会を集団指導体制に仕立てた。一人に権力を集中させないことで、自身が影響力を行使しやすい環境を作ったわけです」(同) さらにこう続ける。「そもそも、この裏金作りだって森元総理の時代から連綿と続いてきたもの。本来は5人衆同様、捜査対象になってしかるべき人物なのです」 森元総理は東京五輪組織委員会の会長を務めた際に、大会スポンサーから200万円の“見舞金”を受領していたことが明るみに出たが、立件は免れた。本件についても、裏金作りの共犯に問うのは難しいだろう。 一方で、「12月5日夜に森元総理と西村康稔経産相(61)、それに世耕弘成参院幹事長(61)が会食したことが分かっています。その会食の席で口裏合わせを行ったのでは、と国会で指摘される場面もありました」(政治部デスク)突然の連載終了 森元総理を巡っては、他にも気になる話がある。森元総理は地元・石川県の北國新聞の連載「総理が語る」で、時に清和会所属議員をぼろ糞にけなして、一定の存在感を保ってきた。ところが、「さる11月26日付の記事をもって突如、連載が終了に。捜査との関連がささやかれています」(同) そこで、北國新聞に連載が中止になった理由を聞くと、「編集方針についてはお伝えできないことになっております」「介護施設にいながら…」 そんな森元総理であるが、現在は夫婦で老人介護施設に入居しているといわれている。「森元総理は昨年8月末、尻もちをついた際に、背骨を圧迫骨折し車椅子生活を余儀なくされています。奥さんも高齢のため、二人で介護施設に入居しているのです」(清和会関係者) 続けて言うには、「現在、水面下では、無記名投票の方式で新会長を選ぼうという動きがあります。そうした空気を察知してか、森元総理は今、自身の子飼いの萩生田光一政調会長(60)を新会長に推そうと躍起です。介護施設にいながらにして、未だに清和会に影響力を行使しようとしているのです」 森元総理に聞くと、代理人を通じて、「清和政策研究会は刑事告発されているとのことですから、コメントは差し控えます」 森元総理が、清和会の言葉の意味を思い起こすことはなさそうなのである。「週刊新潮」2023年12月21日号 掲載
故・福田赳夫元総理が1979年に発足させた「清和会」は中国の故事成語「政清人和」に由来する。派閥のHPによると、清廉な政治は人民を穏やかにするという意味が込められているのだという。
森元総理が98年、第4代会長に就任した際に「清和政策研究会」と名称を改めて現在に至る。その清和会が今、裏金疑惑の震源地と化し、未曾有の混乱状態に陥っている。
「なにしろ派閥を率いる立場の5人衆に加えて、塩谷立座長(73)までが疑惑の渦中にあるわけですから」
そう語るのは清和会関係者だ。
「もはや、5人衆による集団指導体制の維持が困難なのは自明。派閥は空中分解寸前です。派閥のうまみはカネと人事。ですが、岸田総理によって政治資金パーティーは中止にされ、当面の間は、人事面でも冷や飯を食う。派閥にとどまる意味などありません」
こうした惨状を招いてしまったことについて、派閥内からは森元総理の責任を追及する声が上がっているという。
「誰かが今後の方向性を示すべきですが、今の5人衆にはそれができない。その5人衆の跋扈(ばっこ)を容認してきたのが、他ならぬ森元総理です。口先では早く会長を決めるべきだ、などと言っていたものの、5人を操って清和会を集団指導体制に仕立てた。一人に権力を集中させないことで、自身が影響力を行使しやすい環境を作ったわけです」(同)
さらにこう続ける。
「そもそも、この裏金作りだって森元総理の時代から連綿と続いてきたもの。本来は5人衆同様、捜査対象になってしかるべき人物なのです」
森元総理は東京五輪組織委員会の会長を務めた際に、大会スポンサーから200万円の“見舞金”を受領していたことが明るみに出たが、立件は免れた。本件についても、裏金作りの共犯に問うのは難しいだろう。
一方で、
「12月5日夜に森元総理と西村康稔経産相(61)、それに世耕弘成参院幹事長(61)が会食したことが分かっています。その会食の席で口裏合わせを行ったのでは、と国会で指摘される場面もありました」(政治部デスク)
森元総理を巡っては、他にも気になる話がある。森元総理は地元・石川県の北國新聞の連載「総理が語る」で、時に清和会所属議員をぼろ糞にけなして、一定の存在感を保ってきた。ところが、
「さる11月26日付の記事をもって突如、連載が終了に。捜査との関連がささやかれています」(同)
そこで、北國新聞に連載が中止になった理由を聞くと、
「編集方針についてはお伝えできないことになっております」
そんな森元総理であるが、現在は夫婦で老人介護施設に入居しているといわれている。
「森元総理は昨年8月末、尻もちをついた際に、背骨を圧迫骨折し車椅子生活を余儀なくされています。奥さんも高齢のため、二人で介護施設に入居しているのです」(清和会関係者)
続けて言うには、
「現在、水面下では、無記名投票の方式で新会長を選ぼうという動きがあります。そうした空気を察知してか、森元総理は今、自身の子飼いの萩生田光一政調会長(60)を新会長に推そうと躍起です。介護施設にいながらにして、未だに清和会に影響力を行使しようとしているのです」
森元総理に聞くと、代理人を通じて、
「清和政策研究会は刑事告発されているとのことですから、コメントは差し控えます」
森元総理が、清和会の言葉の意味を思い起こすことはなさそうなのである。
「週刊新潮」2023年12月21日号 掲載