「おはようございます。ご苦労様です」
12月19日午前11時前、東京・六本木の超一等地に、強面の男たちの声が響き渡る。指定暴力団・稲川会の幹部たちだ。近くには警察の覆面車も待機するなど張り詰めた空気の中、白のアルファードから降り立ったのは、特定抗争指定暴力団・六代目山口組の竹内照明若頭補佐である。
「ここには、稲川会の総本部事務所があるのです。この日は稲川会の内堀和也会長の誕生日で、竹内氏はそのお祝いに例年駆け付けています。竹内氏と内堀氏は兄弟分の杯を交わしており、その関係は非常に強い。お付きの組員が、お祝いの品として松坂牛を差し入れていました」(全国紙社会部記者)
午前10時過ぎに本部事務所入りした内堀会長に、「誕生日を迎えた心境」を記者が問うと、
「晴れ晴れとした気持ちだよ、うん。来年は、もっと気を引き締めてがんばりたい」
と、答えている。2人の強固な関係を強調するかのような、破顔一笑の表情だった。
「六代目山口組は、12月13日に浜松で『事始め』を行っています。司忍組長、山清司若頭、竹内若頭補佐ら以下、多数の直参組長が参加しています。それからまだ日の浅いこの日に、竹内氏が稲川の内堀会長の誕生祝に駆け付けている。来年8月には、山口組分裂抗争は10年目に入ります。抗争の終結は見えていませんが、六代目山口組は『事始め』で結束を固め、友好団体と活発な外交を続けることで、神戸山口組に対して圧力を強めていきたいという狙いがあるのでしょう」(社会部記者}
竹内若頭補佐と内堀会長は、約20分の会談のあと白のアルファードにともに乗り込んだ。稲川会関係者は「近くの蕎麦屋で昼食をともにしたようです」と明かす。分裂抗争10年目を前に、抗争終結に向けた緊迫の度合いは強まるばかりのようだ。