家にゴキブリやダニ、ムカデなどが出た場合、どうしているだろうか?「害虫の駆除を請け負う事業者」に依頼することもあるだろうが、今、都内ではこの害虫駆除に関する相談が急増している。東京都消費生活総合センターによると、東京都内の消費生活センターに寄せられた、こうした害虫駆除(シロアリを除く)に関する相談件数は、2018年度~20年度は100件台が続いていたが、21年度(235件)と22年度(225件)は200件台、そして23年度(10月末までの速報値)は急激に増え、338件に上っているというのだ。

具体的には「害虫駆除を請け負う業者の『○○○円~』『追加料金なし』などのネット広告を見て、安いと思い依頼したところ、想定より高額な請求を受けた」という相談で、以下が具体的な相談の事例だ。夜中にゴキブリが出たので、慌ててインターネットで駆除業者を検索し、24時間対応で「550円~」と広告している事業者に電話をして来てもらった。来訪した作業員から、薬剤噴霧や駆除後の再発防止作業などで約15万円になると言われ、高額で戸惑ったが、今更帰ってもらうわけにもいかないと思い仕方なくお願いした。作業終了後、代金はクレジットカードで支払ったが、こんなに高額になると思わなかったので納得できない。(20代 女性)悪質な水道事業者のケースは過去に編集部でも紹介したが、害虫駆除においてこのような相談が増えている背景は何なのか? トラブルを避けるためには、どのようなことに気をつければいいのか?東京都消費生活総合センターの担当者に「背景と対処法」を聞いた。「10代~30代はほとんどがゴキブリの駆除」――格安をうたう「害虫駆除業者」に関する相談はいつから増えている?2021年頃から増加してきていますが、「格安の広告を見て、依頼したら高額な請求を受けた」という相談が増加したのは昨年(2022年)の秋頃からです。――このような相談が増えている背景は?2022年度、2023年度あたりから、「○○○円~」「追加料金なし」などと格安をうたい、ゴキブリやダニ、ムカデなど害虫駆除を請け負う業者のWebサイトが増えたからだと思います。――相談を寄せてくる人に傾向はある?2023年度は10代~30代の相談が多く、20歳未満が26件、20歳代が117件、30歳代が64件です。10代~30代は、ほとんどがゴキブリの駆除に関する相談です。2018年度、2019年度はゴキブリの駆除はほぼなく、ハチやネズミの駆除だったのですが、2023年度ではゴキブリ駆除をうたう事業者とのトラブル相談が増えています。――ゴキブリ駆除に関する相談が増えている理由は?10代、20代は9割以上がゴキブリ駆除をうたう事業者とのトラブル相談なので、10代、20代でゴキブリを自分で駆除した経験がない人がいるのかもしれません。家の中にゴキブリが出たら、ネット検索して、害虫駆除の業者にたどり着いてしまっていると考えられます。――男女別では女性の方が多い?全体の傾向としては女性からの相談が多く、だいたい「男1:女3」の割合です。「水まわりの修理」と「害虫駆除」のトラブルは酷似――今の状況をどのように受け止めている?格安の料金を提示して、訪問すると、急に高い料金を請求するというトラブルは、これまで、「水まわりの修理」で起きていました。それと同様の方法・手口で「害虫駆除」を請け負う事業者が出てきていると感じています。「水まわりの修理」と「害虫駆除」のトラブルは酷似しています。――トラブルを避けるためには、どのようなことに気をつければいいの?トラブルを避けるためには、最初に連絡した際に、必ず作業内容や見積額、出張費、キャンセル料などを確認しましょう。「金額は現地を見ないと分からない」などと言われても大体の相場を聞きましょう。作業員が来訪した際も、作業前に見積書をもらい、必ず作業内容と代金の根拠等を確認し、納得ができない場合は断る勇気も必要です。また、追加の作業を提案された場合も、今すぐ行う必要があるか、よく考えて判断しましょう。――トラブルにあってしまったら、どのように対処すればいい?業者が訪問した後に、広告の表示額や事前に聞いた金額とかけ離れた高額な請求をされた場合、訪問販売に該当し、クーリング・オフができる可能性もあります。料金や作業内容に納得できない場合は、その場で支払うのは避け、すぐに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。その場での支払いを断った際の業者の態度に不安を感じたら、後日振込みかクレジットカード払いにしておくと良いと思います。――日ごろの害虫対策も大事?突然、現れたゴキブリなどに驚き、慌てて駆除業者を探すのではなく、普段から、設置型の罠を置いたり、市販の殺虫剤などを準備しておくと安心です。特に1人暮らしの場合、夜中に見知らぬ駆除業者を呼ぶほどの必要性があるか、冷静に考えましょう。また、家全体の害虫駆除を行いたい場合も、複数の業者に見積もりを依頼し、作業内容や代金を確認してから判断しましょう。昨年の秋頃から急激に増えているという「格安」をうたう“ゴキブリ駆除業者”に関する相談。特に「10代、20代でゴキブリを自分で駆除した経験がない人がいる」「水まわりの修理と害虫駆除のトラブルは酷似している」という分析は興味深かった。トラブルを避けるためにも、殺虫剤を準備するなど、日ごろの害虫対策に力を入れてみてほしい。
家にゴキブリやダニ、ムカデなどが出た場合、どうしているだろうか?「害虫の駆除を請け負う事業者」に依頼することもあるだろうが、今、都内ではこの害虫駆除に関する相談が急増している。
東京都消費生活総合センターによると、東京都内の消費生活センターに寄せられた、こうした害虫駆除(シロアリを除く)に関する相談件数は、2018年度~20年度は100件台が続いていたが、21年度(235件)と22年度(225件)は200件台、そして23年度(10月末までの速報値)は急激に増え、338件に上っているというのだ。
具体的には「害虫駆除を請け負う業者の『○○○円~』『追加料金なし』などのネット広告を見て、安いと思い依頼したところ、想定より高額な請求を受けた」という相談で、以下が具体的な相談の事例だ。
夜中にゴキブリが出たので、慌ててインターネットで駆除業者を検索し、24時間対応で「550円~」と広告している事業者に電話をして来てもらった。
来訪した作業員から、薬剤噴霧や駆除後の再発防止作業などで約15万円になると言われ、高額で戸惑ったが、今更帰ってもらうわけにもいかないと思い仕方なくお願いした。作業終了後、代金はクレジットカードで支払ったが、こんなに高額になると思わなかったので納得できない。(20代 女性)
悪質な水道事業者のケースは過去に編集部でも紹介したが、害虫駆除においてこのような相談が増えている背景は何なのか? トラブルを避けるためには、どのようなことに気をつければいいのか?
東京都消費生活総合センターの担当者に「背景と対処法」を聞いた。
――格安をうたう「害虫駆除業者」に関する相談はいつから増えている?
2021年頃から増加してきていますが、「格安の広告を見て、依頼したら高額な請求を受けた」という相談が増加したのは昨年(2022年)の秋頃からです。
――このような相談が増えている背景は?
2022年度、2023年度あたりから、「○○○円~」「追加料金なし」などと格安をうたい、ゴキブリやダニ、ムカデなど害虫駆除を請け負う業者のWebサイトが増えたからだと思います。
――相談を寄せてくる人に傾向はある?
2023年度は10代~30代の相談が多く、20歳未満が26件、20歳代が117件、30歳代が64件です。10代~30代は、ほとんどがゴキブリの駆除に関する相談です。
2018年度、2019年度はゴキブリの駆除はほぼなく、ハチやネズミの駆除だったのですが、2023年度ではゴキブリ駆除をうたう事業者とのトラブル相談が増えています。
――ゴキブリ駆除に関する相談が増えている理由は?
10代、20代は9割以上がゴキブリ駆除をうたう事業者とのトラブル相談なので、10代、20代でゴキブリを自分で駆除した経験がない人がいるのかもしれません。家の中にゴキブリが出たら、ネット検索して、害虫駆除の業者にたどり着いてしまっていると考えられます。
――男女別では女性の方が多い?
全体の傾向としては女性からの相談が多く、だいたい「男1:女3」の割合です。
――今の状況をどのように受け止めている?
格安の料金を提示して、訪問すると、急に高い料金を請求するというトラブルは、これまで、「水まわりの修理」で起きていました。それと同様の方法・手口で「害虫駆除」を請け負う事業者が出てきていると感じています。
「水まわりの修理」と「害虫駆除」のトラブルは酷似しています。
――トラブルを避けるためには、どのようなことに気をつければいいの?
トラブルを避けるためには、最初に連絡した際に、必ず作業内容や見積額、出張費、キャンセル料などを確認しましょう。「金額は現地を見ないと分からない」などと言われても大体の相場を聞きましょう。
作業員が来訪した際も、作業前に見積書をもらい、必ず作業内容と代金の根拠等を確認し、納得ができない場合は断る勇気も必要です。
また、追加の作業を提案された場合も、今すぐ行う必要があるか、よく考えて判断しましょう。
――トラブルにあってしまったら、どのように対処すればいい?
業者が訪問した後に、広告の表示額や事前に聞いた金額とかけ離れた高額な請求をされた場合、訪問販売に該当し、クーリング・オフができる可能性もあります。料金や作業内容に納得できない場合は、その場で支払うのは避け、すぐに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
その場での支払いを断った際の業者の態度に不安を感じたら、後日振込みかクレジットカード払いにしておくと良いと思います。
――日ごろの害虫対策も大事?
突然、現れたゴキブリなどに驚き、慌てて駆除業者を探すのではなく、普段から、設置型の罠を置いたり、市販の殺虫剤などを準備しておくと安心です。特に1人暮らしの場合、夜中に見知らぬ駆除業者を呼ぶほどの必要性があるか、冷静に考えましょう。
また、家全体の害虫駆除を行いたい場合も、複数の業者に見積もりを依頼し、作業内容や代金を確認してから判断しましょう。
昨年の秋頃から急激に増えているという「格安」をうたう“ゴキブリ駆除業者”に関する相談。