死者8人、過去最悪の被害となったオスプレイの墜落事故。かつてない事態に直面したこの1週間の動きをまとめました。
Q.何があった?
(目撃者)「オスプレイが低空で旋回していた。(空港方向へ)降りてくる途中で180度ひっくり返った」
先月29日、午後3時前。屋久島沖に墜落したオスプレイ。島の多くの人々がその“瞬間”を間近で目撃していました。
(目撃者)「急に回転し始めて、オレンジ色の炎が出て、10秒しないうちに海面上に落ちて、こっぱみじんで(機体の破片が)散乱していた」
墜落したオスプレイは、アメリカ軍横田基地の所属で、乗組員は8人。山口の岩国基地から沖縄の嘉手納基地に向かう途中でした。
目撃証言などをまとめると、当時、機体は安房港方向から空港方向へ飛行。左のエンジンから火が出て、進行方向右に180度回転し、上下逆にひっくり返り、屋久島空港の南東沖で墜落したとみられています。
そこから南に2キロ余りキロの海上で、機体の残がいとともに1人が発見されました。
(救助した漁業者)「とにかく海からあげてあげないとと思って。このままだと流されてわからなくなる」
【鹿児島市・十管本部】
Q.1名は乗っていた人?
(総務課長)「そこは分からない」
Q.どういう人?
(総務課長)「分からない」
Q.生死も?
(総務課長)「分からない」
救助されたのは男性で、その後、死亡が確認された。
【屋久島空港に日米の対策本部を設置】
Q.どのような態勢で捜索?
(屋久島町・荒木耕治町長)「いや、まだ協議中」なんでこういうことになったのか。事故のことも(詳細が)分からない」
この日から、日米による捜索が夜通し行われました。
しかし、日本側の情報は二転三転。当初、8人と発表していた乗組員の数は6人に訂正され、その後、再び8人に訂正されました。また、「墜落」の表現も一時は「不時着水」となるものの、再び「墜落」に。アメリカ側の説明で振り回される形となりました。
Q.米軍、防衛省から適切な情報提供はある?足りてないことは?
(十管総務課長)「そこについてはお答えする立場にない」
【事故翌日の屋久島・安房港】
(記者)「海上での捜索を終えた漁船が、回収した漂流物を運び込んでいます。当時の事故の激しさを物語っています」
地元の漁船も捜索に協力し、機体の残がいを回収しました。さらに、米軍の救助チームも加わり、連日、ゴムボートで海へ。
(救助チーム・曹長)「とても悲しい。行方不明の乗組員を見つけるため、あらゆる努力をしている」
しかし、捜索範囲が広い上に、しけも重なり、進展が見られない日が続きます。
(救助チーム・曹長)「きょうの捜索では特段何も見つからなかったが、海底の様子を把握できた。違う場所も同じようにチェックしていく」
一方、引き揚げられた機体の一部や装備品などは日米地位協定に基づいて全て米軍に引き渡されました。
これにより、日本側での事故原因の究明は難しくなり、事故が起きても捜査が制限されるという日米地位協定の壁が改めて浮かび上がりました。
漁業者も捜索に協力する中、アメリカ軍が漁協に面会を申し出ましたが、「用意する」と言われていた通訳の姿がなく…。アメリカ軍の対応に不満の声も上がりました。
捜索が続く屋久島の海。今、高級魚・シマアジ漁の最盛期です。
(漁業者)「ものものしい雰囲気なので、海に出るのも気が重い」
さらに奄美空港にも「救難活動のため」として、オスプレイが飛来。飛行停止の対象にはなっていない海兵隊の機体とはいえ、島民からは不安の声も。
(地元住民)「以前から(オスプレイの)安全性は気になっていたが、ちゃんと飛んでくれればいいが」
事態が動いたのは墜落から5日が経った今月4日。海中で機体の主要部分の一部と、その周辺に5人の遺体が確認されました。そして、アメリカ国防総省は、乗員8人全員の死亡を認定したと発表しました。
過去最悪の被害となったオスプレイ事故。防衛力強化のための日米連携が進む中で、改めて多くの課題をつきつけています。
(2023/12/06 20:34)