《36人が死亡し、32人が重軽傷を負った令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の6日の公判。
被告人質問では兄や妹への心境を問われ、事件を起こすことが仲が悪かった兄妹への「仕返しだった」とも発言した》
犠牲者遺族の代理人「(第1スタジオの)らせん階段について話していた。『運がなかった』と」
被告「亡くなられた人、らせん階段じゃなければ1階に火が広がるだけで、2階3階にいれば無事になる。それに関しては構造で、そういう部分はどうしても捨てきれない」
代理人「運がなかったと聞かされる遺族の気持ちを考えたことはあるのか」
被告「申し訳ないのですが、全ての発言を洗いざらい取っていって、許せないと言われても、恨んでいただくしか方法はございません」
《やや感情的にそう応じた被告。犠牲者遺族やその代理人からの質問が終わり、最後に裁判官や裁判員が被告に尋ねた》
男性裁判員「幼少期に兄妹と助け合って生きていた部分が少なからずある。人とのかかわり合いを自らなくしていったのは努力してこなかったということじゃないのか」
被告「毎日けんかばかりしていた。兄に尋ねてもらえば分かるが、努力していくのがどうしようもなくなって、20歳くらいから関係を絶っていくことになった」
別の男性裁判員「青葉さんの実のお兄さん、妹さんの証言もあったが、この先たぶん放火殺人をした被告の兄妹として、心に傷を負うと思うが、それについては」
被告「それくらいの仕返しをしてやろうという気持ちがあった」
裁判員「兄への仕返しなのか?」
被告「郵便局をクビになった(アルバイト先の郵便局で、兄に前科をばらされたため、辞めざるを得なくなったと被告が主張している)件で、個人的に恨んでいた部分があります。それで仕返しをしたかったという思いを抱えてきた」
裁判員「放火殺人が仕返し?」
被告「そういう側面があったことは否定できない」
裁判員「妹に対しては?」
被告「高校時代、色々なことをやられたので、それほどよい感情は持っていない。犯行当初、(妹にも仕返しという感情を)持ち合わせていたのは否定できない。今となっては、そこまでしなきゃならなかったのかと」
「妹にもすごいことをやられてきた。妹が飼っていた猫をいじめていて、それを止めようとぶん殴ったら、警察を呼ばれて「ざまみろ」と言われたのを根に持っている。それでも、そこまでしなければならなかったのかと」
裁判員「兄や妹に仕返ししたいという気持ちは動機でどれくらいの割合を占めているのか」
被告「(前科である)コンビニ強盗のときの調書を見てもらえれば、すでに兄や母に対して、ガソリンをまいて殺してやりたいとの心でいる。当時からそういう感情を持ち合わせていた」
裁判員「兄妹に関して今どう思うか」
被告「今は申し訳なかったと思っている」
陪席裁判官「被害者、遺族への謝罪の気持ちは変わったか」
被告「やはり意見陳述を聞いて、知らないことは罪だと言いながら、知らなかった自分がいるわけで、それに関しては申し開きできないと思います」
裁判長「ご遺族の方々、助かった被害者の方、あなたからそういう方に何か声をかけようとしたら、どういうことを言いたい」
被告「申し訳ございませんでした」
裁判長「他には」
被告「先ほど述べましたけど、やはりそこまでしなければならなかったのかという思いがどこかにあります」
《被告人質問はこれで終了。7日に論告求刑公判が開かれ、結審の予定》