福島県と県社会福祉事業団は28日、同県西郷村の障害者支援施設「福島県けやき荘」で、40歳代男性職員が身体障害をもつ60歳代の男性入所者1人にやけどを負わせる虐待があったと発表した。
県は年明けにも、同施設に対して障害者虐待防止法に基づく立ち入り調査を行う。
けやき荘は同事業団が指定管理者として運営し、今月1日現在、74人が入所している。職員は勤続17年の主任援助員で、入所者が暮らす棟の責任者だった。
発表によると、職員は昨年9月11日朝、沸騰させた湯につけたスプーンを入所者の背中や足など約10か所に当て、やけどさせた。前夜にトイレに行こうとして間に合わなかった入所者の尿がかかってしまったことに、腹を立てたという。入所者はすでに完治し、現在も入所を続けている。
虐待の発生時、悲鳴を聞いた他の職員が被害に気づいたものの、幹部職員が報告せず、同事業団は今月21日、毎年実施している全職員への聞き取り調査で初めて虐待を把握した。同事業団の関谷勝浩・常務理事兼事務局長は「研修・指導が行き届いていなかった」と謝罪した。