高島屋のクリスマスケーキが破損して客先に届いた問題が、尾を引いている。同社は2023年12月27日に記者会見を開き、顧客に対して謝罪するとともに、「誠に遺憾ながら原因の特定をすることは不可能」とした。
会見で、商品の冷凍時間に前年は2週間をかけていたのに、ことしは20~25時間に短縮したと明らかにされた。確かに最近の冷凍技術では、産業用フリーザーや凍結機と呼ばれる設備を使い即冷凍させてしまう場合もあるようだ。とはいえ、大幅に短くなった冷凍時間と、大量のケーキの破損の関係が気になる。改めて、専門家に「可能性」を示してもらった。
高島屋が開いた27日の記者会見資料では、次の説明がある。
会見で横山和久専務は「事前のシミュレーションでも、マイナス20度の環境で20時間経つことで凍結状態になるになることを確認していた」と話した。
J-CASTニュースBizは、食品の冷凍技術に関わる試験・研究及び開発を行う、いわば「食品冷凍のプロ」である食品冷凍技術推進機構の関係者に取材した。
こう述べた。しかし、これなら型崩れがあったら発見できたはずだ。高島屋の「事前の凍結試験や実際のサンプル検査において、問題はなかった」という説明と、ずれが生じる。
そこでこの関係者は「個別の方法は分からないが」と前置きしたうえで、一般論として仮説を立てた。「もしも冷凍させる方法が、室温マイナス20度の冷凍庫の中に3000個のケーキを並べて、20~25時間冷やしたとします。すると熱交換がうまくいかず、全てのケーキを均一に冷凍できない可能性があります」との見識を示した。
流通ジャーナリストの渡辺広明氏にも、取材した。今回の製造工程の中で突然変更した冷凍時間が、「ケーキが破損して届いた原因である可能性は高い」と述べた。
しかし、食品製造業として一番の問題は「各工程においてサンプルを抜き打ちチェックすることで、原因究明ができないとした体制が一番の問題です」と指摘。製造段階、冷凍段階、配送段階のそれぞれの工程で、「ランダムにサンプルを選んで何度も抜き打ちチェックすることは、食品製造の中では常識であり一番大切」と強調した。