全く固定されていない梁に、家中の木材から湧き出る“謎の虫”。さらに、壁を覆う“カビ”と、欠陥だらけの家を建てられた一家。施工業者に賠償金やリフォームを求めるものの納得できる回答が得られず、困っている家族がいます。“欠陥住宅”で暮らす家族を取材しました。
【動画】壁の中から謎の黒い虫が何千匹も…。夢のマイホームから一転、悪夢の欠陥住宅となってしまった鈴木家の様子がこちら【1分40秒~】 壁や床から謎の虫が大量発生…入居1年であらわになった“数々の欠陥” 問題の物件を抱えているのは、鈴木さん夫婦(仮名)です。9年前に建てた自宅は、3LDKの木造一軒家。家族3人の夢のマイホームになるはずが、建ててすぐ続々と問題が…

(施主 鈴木さん(仮名))「この窓になるんですけど、すきま風がひどくて。冬はとても寒くて、夏は逆に暑い」 窓から吹き込むすきま風のせいで、いくら冷暖房で室温を調整しても、夏は暑く冬は寒い状況です。国の調査では、一般家庭の1か月の電気代の平均額は約1万6000円となっていますが、鈴木家ではことし2月、ひと月で7万948円もの電気代がかかっています。「何かおかしい」と感じ始めたのは、家が完成してからまもなくのことでした。 (施主 鈴木さん(仮名))「入居1年後に小さい黒い虫がいろんなところに出てくるようになって、あっという間に何百、何千匹と出てきて」 防虫駆除の会社が調べると、「アメリカ ヒラタキクイムシ」と判明。業者が防虫処理を行い、約3年でおさまると言われたものの、今でも屋内で虫を見かけるといいます。アメリカヒラタキクイムシは、家の壁や床から出てくる小さな黒い虫で、木材の中に産み付けられた卵から幼虫がかえり、木を食べて成長します。 (施主 鈴木さん(仮名))「虫の穴ですね。まだ出てきている感じで、木くずが出ている」 成虫になると外へ出てくるため、木材の表面には虫が出て来た無数の穴ができていました。 固定されていない梁に、換気システムの不備で壁中カビだらけに… ほかにも、家中の至るところに不気味に広がるシミなど、次々と出てくる家の不具合。不安を覚えた鈴木さんが頼ったのは、人呼んで「住宅Gメン」の住宅検査カノム・長井良至一級建築士。多くの欠陥住宅の原因究明や施工業者との交渉など、アドバイスにあたってきました。 さっそく屋根裏から調べます。まず見つけたのは、梁の欠陥でした。柱同士をつなぎ、建物を支える「梁」。もちろん、ボルトなどでしっかり固定することが義務付けられていますが… (住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「ナットが締まりきっていないですね。ここはナットが入っていない。大きな地震が来たときに、(梁が)外れやすく破断しやすくなる」 なんと、固定されていなかったのです。さらに室内にも問題が。クローゼットの中に入ると、中の壁面には綿埃のようにカビが生えていました。 (施主 鈴木さん(仮名))「礼服なんですけど、カビで着られない状態」 カビは掃除機能のついたエアコンの奥深くでも広がっていました。通常ではありえない状態で、エアコンをつけることでカビをさらに拡散していたのです。鈴木さんも、使い始めと使い終わりにエアコンを掃除していますが、すぐにカビが生えてしまうといいます。 原因は、壁に含まれる“水分”でした。一般的に、内壁の水分量である「含水率」は、通常0%になっているはずですが、鈴木家の壁は… (住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「高いですね、9%くらい。普通の住宅だとない。(壁が)湿っているので、カビの原因になる」 換気システムの不具合で湿気を出すことができず、カビが広がったと思われます。 我が家が“違法建築”だと判明 2階建てのはずが…書類上では“平屋建て” さらに驚きの事実が発覚します。建築確認証を見ていた長井さんは、あることに気づきました。 (住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「図面にも2階部分の表示がない。階段の表示もない」 施工会社と交わした契約書には「2階建て」の建物となっていますが、建築完成後の建築確認書(検査済証)では「平屋建て」となっています。行政には、平屋建てという事にして2階の床や階段を施工する前に、建築確認を通していたとみられます。 (住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「虚偽の申請になりますね。違法建築です」 (施主 鈴木さん(仮名))「施工業者が『平屋建てで申請する』と。私たち、建築の知識は全くないのでそのような事なのかなと思って『いいようにして下さい』と伝えて。(違法建築の)状態になっているんですけど、長井さんに指摘していただかなかったら分からないままでした」 このほかにも、床の傾きや防火工事の不備など、実に10件以上の欠陥が確認されました。施主の鈴木さん夫婦は、修復などを求めてきましたが、納得できる回答は得られないまま9年が経過しています。さらに、2022年8月、施工会社から弁護士を通じ、次のような回答が来たのです。 (相手側弁護士からの回答)「補修費用として算出した金50万円による解決を提案します」 この回答に関して、住宅Gメンの長井さんは… (住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「全く(お金が)足りないですね。カビを掃除するだけでも、50万円ではできない」 事実確認のため、施工会社に電話すると弁護士に一任していますと回答。そこで、担当弁護士に連絡してみましたが、現時点で返答はありませんでした。 夢のマイホームのはずが、悪夢のような欠陥住宅になってしまった鈴木家。鈴木さん夫婦は、業者を訴える事も含め、家の建て替えと謝罪を求めていくといいます。 (施主 鈴木さん(仮名))「(欠陥を)認めて謝罪もしてほしい。やりっぱなしの状況で、怒りしかないですね」 鈴木さん夫婦と、悪夢の欠陥住宅を生み出した施工業者との戦いは、これからも続きます。 CBCテレビ「チャント!」11月14日放送より
問題の物件を抱えているのは、鈴木さん夫婦(仮名)です。9年前に建てた自宅は、3LDKの木造一軒家。家族3人の夢のマイホームになるはずが、建ててすぐ続々と問題が…
(施主 鈴木さん(仮名))「この窓になるんですけど、すきま風がひどくて。冬はとても寒くて、夏は逆に暑い」
窓から吹き込むすきま風のせいで、いくら冷暖房で室温を調整しても、夏は暑く冬は寒い状況です。国の調査では、一般家庭の1か月の電気代の平均額は約1万6000円となっていますが、鈴木家ではことし2月、ひと月で7万948円もの電気代がかかっています。「何かおかしい」と感じ始めたのは、家が完成してからまもなくのことでした。
(施主 鈴木さん(仮名))「入居1年後に小さい黒い虫がいろんなところに出てくるようになって、あっという間に何百、何千匹と出てきて」
防虫駆除の会社が調べると、「アメリカ ヒラタキクイムシ」と判明。業者が防虫処理を行い、約3年でおさまると言われたものの、今でも屋内で虫を見かけるといいます。アメリカヒラタキクイムシは、家の壁や床から出てくる小さな黒い虫で、木材の中に産み付けられた卵から幼虫がかえり、木を食べて成長します。
(施主 鈴木さん(仮名))「虫の穴ですね。まだ出てきている感じで、木くずが出ている」
成虫になると外へ出てくるため、木材の表面には虫が出て来た無数の穴ができていました。
ほかにも、家中の至るところに不気味に広がるシミなど、次々と出てくる家の不具合。不安を覚えた鈴木さんが頼ったのは、人呼んで「住宅Gメン」の住宅検査カノム・長井良至一級建築士。多くの欠陥住宅の原因究明や施工業者との交渉など、アドバイスにあたってきました。
さっそく屋根裏から調べます。まず見つけたのは、梁の欠陥でした。柱同士をつなぎ、建物を支える「梁」。もちろん、ボルトなどでしっかり固定することが義務付けられていますが…
(住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「ナットが締まりきっていないですね。ここはナットが入っていない。大きな地震が来たときに、(梁が)外れやすく破断しやすくなる」
なんと、固定されていなかったのです。さらに室内にも問題が。クローゼットの中に入ると、中の壁面には綿埃のようにカビが生えていました。
(施主 鈴木さん(仮名))「礼服なんですけど、カビで着られない状態」
カビは掃除機能のついたエアコンの奥深くでも広がっていました。通常ではありえない状態で、エアコンをつけることでカビをさらに拡散していたのです。鈴木さんも、使い始めと使い終わりにエアコンを掃除していますが、すぐにカビが生えてしまうといいます。
原因は、壁に含まれる“水分”でした。一般的に、内壁の水分量である「含水率」は、通常0%になっているはずですが、鈴木家の壁は…
(住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「高いですね、9%くらい。普通の住宅だとない。(壁が)湿っているので、カビの原因になる」
換気システムの不具合で湿気を出すことができず、カビが広がったと思われます。
さらに驚きの事実が発覚します。建築確認証を見ていた長井さんは、あることに気づきました。
(住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「図面にも2階部分の表示がない。階段の表示もない」
施工会社と交わした契約書には「2階建て」の建物となっていますが、建築完成後の建築確認書(検査済証)では「平屋建て」となっています。行政には、平屋建てという事にして2階の床や階段を施工する前に、建築確認を通していたとみられます。
(住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「虚偽の申請になりますね。違法建築です」
(施主 鈴木さん(仮名))「施工業者が『平屋建てで申請する』と。私たち、建築の知識は全くないのでそのような事なのかなと思って『いいようにして下さい』と伝えて。(違法建築の)状態になっているんですけど、長井さんに指摘していただかなかったら分からないままでした」
このほかにも、床の傾きや防火工事の不備など、実に10件以上の欠陥が確認されました。施主の鈴木さん夫婦は、修復などを求めてきましたが、納得できる回答は得られないまま9年が経過しています。さらに、2022年8月、施工会社から弁護士を通じ、次のような回答が来たのです。
(相手側弁護士からの回答)「補修費用として算出した金50万円による解決を提案します」
この回答に関して、住宅Gメンの長井さんは…
(住宅検査カノム 長井良至一級建築士)「全く(お金が)足りないですね。カビを掃除するだけでも、50万円ではできない」
事実確認のため、施工会社に電話すると弁護士に一任していますと回答。そこで、担当弁護士に連絡してみましたが、現時点で返答はありませんでした。
夢のマイホームのはずが、悪夢のような欠陥住宅になってしまった鈴木家。鈴木さん夫婦は、業者を訴える事も含め、家の建て替えと謝罪を求めていくといいます。
(施主 鈴木さん(仮名))「(欠陥を)認めて謝罪もしてほしい。やりっぱなしの状況で、怒りしかないですね」
鈴木さん夫婦と、悪夢の欠陥住宅を生み出した施工業者との戦いは、これからも続きます。
CBCテレビ「チャント!」11月14日放送より