「ハッシー」
そう呼ばれてファンから愛された元プロ棋士が罪を裁かれることになった。
12月8日、大津地検(滋賀県)が住居侵入と殺人未遂の罪で起訴したのは福岡市博多区の橋本崇載被告(40)だ。橋本被告は八段まで昇進し将棋界を席巻した元プロ棋士。橋本被告が起こした事件とは……。
「’23年7月に大津市内の住宅に侵入。離婚した元妻Aさんと彼女の父親をクワで殴り殺害しようとしたとされます。橋本被告は以前からSNSなどでAさんの誹謗中傷を繰り返し逮捕、起訴され、’23年6月に執行猶予付きの有罪判決を受けていました」(全国紙司法担当記者)
『FRIDAYデジタル』は’23年7月24日配信の記事で、橋本被告が犯したとされる殺人未遂事件やAさんへのたび重なる誹謗中傷トラブルについて詳しく報じている。再録して将棋界を震撼させた騒動を振り返りたい(内容は一部修正しています)ーー。
「元夫が押しかけています!」
女性から悲痛な通報が警察に入ったのは7月20日の朝7時過ぎだ。警察官が現場にかけつけると頭部から血を流した男の姿が。男は、かつて将棋界で人気をはくした元プロ棋士だった。
同日、滋賀県警大津署に殺人未遂などの疑いで逮捕されたのが橋本被告だ。橋本被告は、元妻Aさんと父親らが住む大津市内の住宅に1階和室の無施錠の窓から侵入。柄の長さ約70cmのクワで、Aさんと父親に殴りかかり殺害しようとしたという。
「幸いAさんや父親は軽傷だったそうです。Aさんは自宅から逃げ出し110番通報。署員がかけつけると、父親の抵抗を受け頭から出血した橋本被告がいました。橋本被告は搬送された病院で治療を受けた後、大津署へ任意同行するよう求められましたが拒否。その場で緊急逮捕となったんです」(全国紙社会部記者)
橋本被告は、1月17日にも名誉棄損の疑いで逮捕されている。離婚したAさんを中傷するようなツイートを繰り返したという。
〈僕の全てを潰した殺人鬼〉
〈僕を地獄に落とした殺人鬼〉
橋本被告は自身のツイッター(現X)に、Aさんを誹謗する投稿をしていたとされる。だが逮捕されたのは’23年1月が初めてではない。
「橋本被告が、名誉棄損で逮捕されたのは2度目です。’21年8月にもAさんに対し〈私を苦しめて仕事と子供を奪い取った〉などと投稿し、’22年12月に逮捕。Aさんの住む滋賀県の大津地裁に起訴されていました」(全国紙社会部記者)
橋本被告がプロ棋士の世界に入ったのは’01年4月、18歳の時だ。藤井聡太や羽生善治らとしのぎを削り、通算成績414勝303敗で段位は八段。金髪にパンチパーマという髪型で登場し、対局中にカメラ目線を送るなど「将棋界の異端児」と呼ばれた。
「ハッシー」の愛称で人気、実力ともに将棋界のトップクラスだった橋本被告。突然、日本将棋連盟に引退届を提出したのは’21年4月だった。
「Aさんとの間に、離婚トラブルが発生したんです。橋本被告が『週刊女性』(’21年4月27日号)などのメディアに語った内容によると、’19年7月に東京での対局を終え自宅のある滋賀県に帰ると、Aさんが生まれたばかりの息子とともに姿を消していたとか。
家庭内のことで真相はわかりませんが、橋本被告は息子に会いたい気持ちから心労が重なり体重が90kgから70kgに。とても将棋を指せる状態ではありませんでした。仕方なく、将棋連盟に引退届を提出したそうです」(将棋連盟関係者)
その後、橋本被告はユーチューバーとなり持ち味の軽妙な口調で将棋解説を行うだけでなく、Aさんとの離婚トラブルについても話し始めた。
「ようやく離婚が成立したのは、’22年に入ってからでした。橋本被告はもともと頑固な性格で、親権をめぐってトラブルとなるなど相当ストレスを溜めていたのでしょう。しかし、いくら不満があったとはいえ誹謗中傷は絶対に良くない行為です」(同前)
たび重なるトラブルで、橋本被告はプロ棋士としての華やかな経歴を台なしにしてしまった。今後は法廷で徐々に真実が明らかになるだろう。