脱法大麻の流行に歯止めがかからない。厚労省は体調不良者が続出している「大麻グミ」に含有されている「HHCH」(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)を11月22日に指定薬物に指定する方針を固めた。だが、規制がかかればまた新たな大麻類似成分が出回る“イタチごっこ”が続いてキリがない。1年半前の「HHC」流行以来、「毎月1万円分」の脱法大麻製品をネットで買い漁ってきたという20代OLに、「なぜハマったのか」話を聞いた。
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【写真】A子さんが持参してくれた夥しい量の「脱法大麻製品」。本物さながらの”ジョイント”も。リキッドは使い切ってカラに…。「どれがHH…でどれがTH…なのか、もはやわからない」お酒と一緒ですよ「もしかしたら一部、非合法になってしまったモノも含まれているかもしれない」都内の街角には堂々と「大麻」と書かれた看板で「脱法大麻製品」を販売する店舗が増えている(東京都・豊島区) A子さんはそう言いながら持参してくれた夥しい量の脱法大麻製品を見せてくれた。電子リキッドが5、6本。吸い尽くして空になったものも含まれている。クッキーやワックス、そして今社会を騒がしているグミも2袋ある。「ほとんどがネットで合法的に買ったものです。いま大麻グミはネット上では品薄になっていて、さっき新宿のCBDショップを回って買ってきました。家に3袋すでにストックがあります」 有名私大を卒業後、誰もが知る一流企業に勤務しているA子さんは、ごく普通に見える20代OLだ。だが、1年半くらい前から脱法大麻にどっぷりハマった生活を送っているという。いったいどんな感覚で利用しているのか。「世間ではドラッグというイメージで語られていますが、大袈裟ですよ。軽く感覚が麻痺するくらいでお酒と変わらないですから。大量に入れると気持ち悪くなりますが2~3時間で元通りになります。だからそんな罪の意識はないです。誰に迷惑をかけている話でもないし、法を犯しているわけではないですし……」最初はドキドキ…“手押し”で運んでくれた 平日はリキッドタイプをちょこっと、休日はグミでドカンとキマるのが最近の過ごし方だという。「仕事で嫌なことがあっても、自宅で寝る前にこれを入れるとぼうっとして忘れられるんです。そのままぐっすり寝付ける。グミの方は一つでずっしり効くので、土日の昼にビールと一緒に。ぼけっとしながらNetflixを見るのが最近ハマっている最高の休日の過ごし方です」 始まりは22年3月頃のこと。脱法大麻HHCが流行しているというネットニュースを見ていて「試したい」と思った。HHCは今ニュースになっているHHCHとは別物で、すでに指定薬物に指定済みの脱法大麻だ。その規制がかかる直前、数日後に入手困難になるというタイミングで、1グラム入りのリキッドタイプを約1万円で購入した。「最初にポチる時は緊張しました。注文記録が残って警察にマークされるんじゃないかとか。しかも、ご丁寧なことに1000円くらいプラスすると、業者が直接自宅の郵便受けまで“手押し”で運んでくれたんです。ポストに入っていたのは、宛先、商品名も何も書いていない封筒。犯罪をおかすような感覚があった」 A子さんが脱法大麻を試してみようと思ったのも大学時代にアメリカに留学経験があり、現地で本物の大麻を経験していたからだ。「大麻が解禁されている向こうでは、アルコールと大して変わらない扱いなんです。もちろん本物の効力はすごくて、2~3時間はぶっ飛びます。時空を飛ぶような感覚にもなる。でも、効果が切れたらそれでおしまいで、禁断症状に襲われることもない。大麻吸ったら運転するなよ、くらいな感じ」グミはすごい効く で、日本で初めて購入したHHCはそれと比してどうだったのか。「うーん……かな。宣伝文には”3パフ(註・電子パイプを吸い込む回数の単位)くらいでハイになる”とか書いてあるけど、全く何ともない。けど、10~20パフ、激しく肺まで吸い込むと、“似ている”になった。ご飯が美味しくなる“マンチー”も感じられるように。期待していたほど効果はなかったけど、逆にこれくらいがいいかもって思ったんです。体感は人それぞれで、『夜の営みに効く』と話す男友達もいます。ただニュースを見ていて、昔、運転手が”しぇー、しぇー”言いながら事故を起こした危険ドラッグと同列みたいに語られているのにはすごく違和感がある。そこまでヤバいものではないです」 HHCに規制がかかった後は、HHCO、それにまた規制がかかるとTHCOと、次々と試していった。「最初はポチるたびにドキドキでしたが、徐々に慣れて罪の意識は薄れていきました。実際、楽天やAmazonで簡単に買えちゃいますので。購入して数日後にポストを開けると怪しい封筒が入っている。相場は大抵、電子リキッドが1万円くらいで1カ月かけて吸い切る。その繰り返しです」 いまグミが問題視されているHHCHに“代替わり”して、「久しぶりに興奮した」と話す。「人が感じる微妙な感覚の話で、眉唾でもあるんですが、HHCO、THCOはふーんという感じだった。けどHHCHは、1年半前のHHCの時の、“アレ、似てるじゃん”に戻ったんです。しかもグミは経口摂取ですから効き目が違う。本物の50%くらいの感覚かな。何も知らずに食べて混乱して救急車に乗った人がいるのもわかります」海外との差 HHCHも近日中に指定薬物になるということで、買い溜めに走っているというA子さん。「グミはあと5袋くらい買い足そうかな。そうしたら半年くらいは楽しめる」。7個入りで1袋7000円もするが、独身暮らしのA子さんにとっては家計を揺るがすほどの出費ではない。 ただし、罪の意識がないわけではないという。「いくら合法だと言っても背徳感はあります。会社の同僚には言えない。知り合いとは学生時代の気心の知れた友人とだけ、クラブに遊びに行く前とかにこっそり吸ったりして楽しんでいます。ゲートウェイドラッグになるという批判もわからないでもない。実際、物足りなくてもっと刺激を求めたくなる自分もいますから」 一方で、騒ぎ過ぎだとも感じる。「私だってニュースで騒いでいなければ、多分やってみることはなかったしハマることもなかった。こないだイギリスの友人に日本で起きている大麻グミの騒動の話をしたら、『日本は平和な国ね』と笑っていました。学生時代にパーティーでMDMAを試すくらい普通の国も存在するんです」販売業者は「気をつけた方がいい」 脱法大麻製品に危険はないのか。過去に取り扱っていた販売業者は「怪しい業者が多い。中に何が入っているかわからないので注意した方がいい」と警告する。「広告で90%、高濃度とか謳っていますが、あんなのは適当。なぜなら、これまで指定薬物になった全ての製品の100%原液を試しましたが、どれもめちゃくちゃ効きました。全て薄めて売っているんです」 すでに禁止された成分が混入している可能性もあるという。「在庫を抱えている業者が混ぜて販売しているという話を聞いたことがある。逆に効き目がない商品を偽って、メルカリに出品している業者もいます」(同) まだまだイタチごっこは続きそうだ。デイリー新潮編集部
「もしかしたら一部、非合法になってしまったモノも含まれているかもしれない」
A子さんはそう言いながら持参してくれた夥しい量の脱法大麻製品を見せてくれた。電子リキッドが5、6本。吸い尽くして空になったものも含まれている。クッキーやワックス、そして今社会を騒がしているグミも2袋ある。
「ほとんどがネットで合法的に買ったものです。いま大麻グミはネット上では品薄になっていて、さっき新宿のCBDショップを回って買ってきました。家に3袋すでにストックがあります」
有名私大を卒業後、誰もが知る一流企業に勤務しているA子さんは、ごく普通に見える20代OLだ。だが、1年半くらい前から脱法大麻にどっぷりハマった生活を送っているという。いったいどんな感覚で利用しているのか。
「世間ではドラッグというイメージで語られていますが、大袈裟ですよ。軽く感覚が麻痺するくらいでお酒と変わらないですから。大量に入れると気持ち悪くなりますが2~3時間で元通りになります。だからそんな罪の意識はないです。誰に迷惑をかけている話でもないし、法を犯しているわけではないですし……」
平日はリキッドタイプをちょこっと、休日はグミでドカンとキマるのが最近の過ごし方だという。
「仕事で嫌なことがあっても、自宅で寝る前にこれを入れるとぼうっとして忘れられるんです。そのままぐっすり寝付ける。グミの方は一つでずっしり効くので、土日の昼にビールと一緒に。ぼけっとしながらNetflixを見るのが最近ハマっている最高の休日の過ごし方です」
始まりは22年3月頃のこと。脱法大麻HHCが流行しているというネットニュースを見ていて「試したい」と思った。HHCは今ニュースになっているHHCHとは別物で、すでに指定薬物に指定済みの脱法大麻だ。その規制がかかる直前、数日後に入手困難になるというタイミングで、1グラム入りのリキッドタイプを約1万円で購入した。
「最初にポチる時は緊張しました。注文記録が残って警察にマークされるんじゃないかとか。しかも、ご丁寧なことに1000円くらいプラスすると、業者が直接自宅の郵便受けまで“手押し”で運んでくれたんです。ポストに入っていたのは、宛先、商品名も何も書いていない封筒。犯罪をおかすような感覚があった」
A子さんが脱法大麻を試してみようと思ったのも大学時代にアメリカに留学経験があり、現地で本物の大麻を経験していたからだ。
「大麻が解禁されている向こうでは、アルコールと大して変わらない扱いなんです。もちろん本物の効力はすごくて、2~3時間はぶっ飛びます。時空を飛ぶような感覚にもなる。でも、効果が切れたらそれでおしまいで、禁断症状に襲われることもない。大麻吸ったら運転するなよ、くらいな感じ」
で、日本で初めて購入したHHCはそれと比してどうだったのか。
「うーん……かな。宣伝文には”3パフ(註・電子パイプを吸い込む回数の単位)くらいでハイになる”とか書いてあるけど、全く何ともない。けど、10~20パフ、激しく肺まで吸い込むと、“似ている”になった。ご飯が美味しくなる“マンチー”も感じられるように。期待していたほど効果はなかったけど、逆にこれくらいがいいかもって思ったんです。体感は人それぞれで、『夜の営みに効く』と話す男友達もいます。ただニュースを見ていて、昔、運転手が”しぇー、しぇー”言いながら事故を起こした危険ドラッグと同列みたいに語られているのにはすごく違和感がある。そこまでヤバいものではないです」
HHCに規制がかかった後は、HHCO、それにまた規制がかかるとTHCOと、次々と試していった。
「最初はポチるたびにドキドキでしたが、徐々に慣れて罪の意識は薄れていきました。実際、楽天やAmazonで簡単に買えちゃいますので。購入して数日後にポストを開けると怪しい封筒が入っている。相場は大抵、電子リキッドが1万円くらいで1カ月かけて吸い切る。その繰り返しです」
いまグミが問題視されているHHCHに“代替わり”して、「久しぶりに興奮した」と話す。
「人が感じる微妙な感覚の話で、眉唾でもあるんですが、HHCO、THCOはふーんという感じだった。けどHHCHは、1年半前のHHCの時の、“アレ、似てるじゃん”に戻ったんです。しかもグミは経口摂取ですから効き目が違う。本物の50%くらいの感覚かな。何も知らずに食べて混乱して救急車に乗った人がいるのもわかります」
HHCHも近日中に指定薬物になるということで、買い溜めに走っているというA子さん。「グミはあと5袋くらい買い足そうかな。そうしたら半年くらいは楽しめる」。7個入りで1袋7000円もするが、独身暮らしのA子さんにとっては家計を揺るがすほどの出費ではない。
ただし、罪の意識がないわけではないという。
「いくら合法だと言っても背徳感はあります。会社の同僚には言えない。知り合いとは学生時代の気心の知れた友人とだけ、クラブに遊びに行く前とかにこっそり吸ったりして楽しんでいます。ゲートウェイドラッグになるという批判もわからないでもない。実際、物足りなくてもっと刺激を求めたくなる自分もいますから」
一方で、騒ぎ過ぎだとも感じる。
「私だってニュースで騒いでいなければ、多分やってみることはなかったしハマることもなかった。こないだイギリスの友人に日本で起きている大麻グミの騒動の話をしたら、『日本は平和な国ね』と笑っていました。学生時代にパーティーでMDMAを試すくらい普通の国も存在するんです」
脱法大麻製品に危険はないのか。過去に取り扱っていた販売業者は「怪しい業者が多い。中に何が入っているかわからないので注意した方がいい」と警告する。
「広告で90%、高濃度とか謳っていますが、あんなのは適当。なぜなら、これまで指定薬物になった全ての製品の100%原液を試しましたが、どれもめちゃくちゃ効きました。全て薄めて売っているんです」
すでに禁止された成分が混入している可能性もあるという。
「在庫を抱えている業者が混ぜて販売しているという話を聞いたことがある。逆に効き目がない商品を偽って、メルカリに出品している業者もいます」(同)
まだまだイタチごっこは続きそうだ。
デイリー新潮編集部