自殺を考えていた女性客を諭し、思いとどまらせたとして兵庫県警福崎署は10月31日、西脇市のタクシー運転手東野正宗さん(61)に感謝状を贈った。
同署によると、東野さんは10月13日夕、神崎郡内のJR駅から若い女性を乗せ、郡内のダムに向かった。
現地に到着後、女性の様子がおかしいと感じた東野さんは「そのままにはしておけない」と考え、しばらく女性と一緒にダムの堤防を散策。やがて女性が「駅に戻る」と言ったため、タクシーに乗せて走り始めると、女性は「死ぬためにダムに来た」と言いながら泣き出したという。
東野さんは「(死んでしまったら)悲しむ人がいっぱいいるよ」など話して諭し、女性から聞いた家族やカウンセラーに電話で連絡。駆けつけた福崎署員が女性を保護した。
同署で竹迫博樹署長から感謝状を受け取った東野さんは「女性は『ダムが好き』と言っていたのに、到着しても高揚感がなかった」などと当時を振り返って説明。竹迫署長は「機転を利かせて尊い命を救っていただいた」とたたえた。