新潟県の上越市立小学校で9月、乳アレルギーがある児童が乳成分を含む給食を誤って食べて発疹などを起こし、一時入院した食物アレルギー事故で、市教育委員会は30日、発症後の学校側の対応がマニュアルに沿わない不適切なものだったと発表した。
児童を1人でトイレに行かせるなどしたため、アレルギーへの対処が遅れたといい、児童の主治医は「死亡事故になりかねないずさんな対応」と指摘している。
発表によると、児童は、「冷凍クリームコーン」などの給食を食べ始めてすぐにのどに違和感を感じ、3分の1ほど食べた時点で担任に腹痛を訴えて1人でトイレに行った。担任は、ふらふらの状態で教室に戻った児童の顔が赤いことなどを見て、初めてアレルギーのショック症状「アナフィラキシー」を発症していることに気付き、児童に症状を緩和する注射薬「エピペン」を打つなどした。児童は、新潟県立中央病院に救急搬送され、翌日まで入院した。
市の緊急対応マニュアルでは、児童が腹痛などを訴えた場合、児童を1人にせず、緊急性の高いアレルギー症状かどうかを5分以内に判断する。アレルギーの場合は直ちにエピペンを使用するとしている。担任は、児童を1人でトイレに行かせるなどしたため、気付くのが遅れ、エピペンを使用したのは腹痛を訴えてから18分後だった。給食に食物アレルギーの除去食の指示がなかったことから、担任らは腹痛がアレルギー症状とは考えなかったという。
この事故では、栄養教職員が乳成分が含まれていないと思い込み、配合成分表を取り寄せるなどの確認作業を怠って発注し、調理員も原材料の確認で「脱脂濃縮乳」の記載を見落とすなどしていたため、児童に提供してはいけないメニューが出されていたことも明らかになっている。
主治医の田中泰樹医師によると、児童は重症の乳アレルギーで、事故後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になり、学校生活に支障が出ているという。
早川義裕教育長は取材に「命を預かっている責任の重さを実感した。児童のケアに全力であたりたい」と話した。