逮捕から2カ月余り。
「頂き女子りりちゃん」と称する女の初公判が開かれた。
詐欺容疑などで逮捕・起訴された“頂き女子りりちゃん”こと渡辺真衣被告(25)。
2日午後3時過ぎ、名古屋地裁の証言台に立った。
2日の渡辺被告は、黒髪に眼鏡をかけ、上は紺色のスエット、下は黒のズボン姿。動画で見せていたキラキラした印象は影を潜めていた。
しかし、裁判官とのやり取りでは…。
渡辺被告「渡辺真衣で~す」裁判官「住所は?」渡辺被告「ないでーす」裁判官「仕事はしていますか?」渡辺被告「してないでーす」
2023年8月、恋愛感情を利用した“詐欺マニュアル”を作成・販売し、詐欺の手助けをした疑いで逮捕された渡辺被告。
自身が男性からだまし取った現金の総額は、2億円以上にのぼるとみられている。
裁判での解明が待たれるのが、だまし取った巨額の現金の流れ。
SNSへの投稿(7月)「風俗と詐欺で何億か稼いで手元に1円も残らずホストさんの応援に使ってしまいました」
渡辺被告がだまし取った多額の現金を受け取っていたホストが、新宿・歌舞伎町のホスト“狼谷歩”こと田中裕志容疑者(26)。
田中裕志容疑者(26)「金って持ってみたらわかるけど、紙切れなんだよ。人が本当に欲しいものって、お金じゃ買えないんだよ」
詐欺で得た金と知りながら貢がせていたとして、10月に逮捕された。
渡辺被告は、“おぢ”と呼ぶ数十人の男性から“頂き”と称して、2億円以上の金をだまし取り、その多くを田中容疑者と過ごす際のホスト代として貢いでいたとみられている。
頂き女子りりちゃんは、法廷で何を語ったのだろうか。
詐欺のほう助について間違いないか問われると、「いや、ないです」と話し、起訴内容を認めたのだ。
渡辺被告は、どのようにしてホストにはまっていったのだろうか。
歌舞伎町の社会学を研究する現役大学生の佐々木チワワさんは、最近のホストクラブは“カジュアル化”していて、学生やOLなどの20代の女性客が多いと話す。
歌舞伎町の社会学を研究、ライター・佐々木チワワさん「ホストクラブは最初の敷居が、とても低くなってきた。60分飲み放題3,000円から始まる。自分の担当ホストをNo.1にしたい、ホストからの扱いをよくされたいとなると、月20万円しか使っていなかったら、ホストは外で会ってくれなかったりする。50万、100万と使うと会ってくれたり扱いがよくなる」
さらに、ホストと客の関係も大きく変わってきていると指摘する。
歌舞伎町の社会学を研究、ライター・佐々木チワワさん「“推し活”の投げ銭のような感覚のお金の使い方がまざっていて、その人との関係性を買うために、その人の売り上げを上げるという、お金を使うことが目的になっている」
田中容疑者は、店で原価3,000円ぐらいの魚の形をしたやかんを1,277万円で売っていた。
渡辺被告も、SNSでこの魚の形をした器の写真をアップ。多額の現金を貢いでいたものとみられる。
SNSの普及と相まってカジュアル化したホストクラブ。ひと月の売り上げが、1億円にのぼる店もあるという。
しかし、ホストにはまった末、見境なく貢いでしまうと大きな落とし穴が待っているという。
歌舞伎町の社会学を研究、ライター・佐々木チワワさん「カジュアルに楽しめるけど、その中ではまってしまい、自分が大金を使いたいと思ったとき、夜の仕事に流れるというケースが多い印象です」
逮捕された際の渡辺被告は、カプセルホテル暮らし。所持品は、壊れたスマホとホストの名刺、そして数千円程度の現金だったという。
詐欺の罪については、11月に行われる次回の裁判で審議されるという。