先週、日本維新の会所属の新宿区議が区議会へ『売掛金禁止条例』の検討申し入れを行った。同会派の区議団は「歌舞伎町をはじめ、繁華街で売掛制度を活用する店舗が存在している。
【映像】ホストと女性客が歩く大久保公園付近(実際の様子) 多額の売掛金を支払うために、風俗を行う女性が多くおり、社会問題となっている大久保公園一帯の立ちんぼや、トー横問題と繋がる」と経緯を説明した。 新宿では主にホストクラブが売掛制度を取り入れている。客がホストに高額なお酒などを注文し、“ツケ払い”を行うもので、申し入れはこのシステムを禁止しようというもの。売掛(ツケ)が発生した場合、女性が使った飲食代は店ではなく、ホスト個人が責任を負うことがほとんどだが、時には数百万円という売掛金を支払わない女性に対し、ホストが風俗での仕事や路上での売春を強要するケースがあり、問題視されている。

SNSでは「普通に悪徳商法では?」「ホストも悪質だけど、女性も自己責任」「売掛金をホストに背負わすのもおかしい」との声があがっているが、法規制の是非は? 『ABEMA Prime』では、売掛禁止条例の署名活動を行う『日本駆け込み寺』理事を招き、実態を聞いた。なぜ「売掛金禁止条例」に賛成? ホスト沼に溺れていく実態 今回の申し入れについて、『日本駆け込み寺』理事の玄秀盛氏は「ウチは歌舞伎町で20年間1000人以上の相談に乗ってきた。色恋営業から恋愛詐欺、婚姻届まで書いて金をむしるのが現実。強要的なシャンパンタワーなどない。催眠療法のように、飲み慣れないカクテルを飲み、酔わされて150万、250万。これが実態だ。歌舞伎町には600m四方に300軒のホストクラブがある。それを相手にたった1人の団体で20年間対抗してきて、やむを得ず7月20日に青母連を立ち上げた。売掛金は法規制できない話ではない。だから署名運動をやっている」と述べた。 玄氏が立ち上げた青母連(青少年を守る父母の連絡協議会)には、開設約100日で150件の相談があった。いわゆる大久保公園での立ちんぼや女の子から直接ではなく「両親からの相談がほぼ100%」で、東北や中部地方、四国、九州など、都内より地方からの相談が多いという。「娘がホストに夢中となり、風俗で働いているという問題は取り上げにくかった。法的規制はゼロ。警察や弁護士に相談に行っても、成人が自らの意思でやっていることなので、売掛というシステムは抑えがきかない。600万~800万円という被害金額を親が負担し、“なんとか娘を抜け出せないか”という相談を受けるようになった」と、活動の経緯を語った。 特にコロナ禍では、大学入学や就職のタイミングで上京したものの友人を作れず、寂しさや孤独からSNSで繋がっていくパターンで、高卒・大卒の女性がホストにハマる事例が目立ったという。 ハマる過程も「概ね2000~3000円の体験入店で入っていき、LINE交換をして、朝から晩まで100通ほどやり取りをする。寂しさを克服させ、優しさを与えるなかで“恋愛”にはめ込んでいく色恋営業だ。ホストに親しみを感じて東京での孤独感が癒されていくというパターンが多い」と実に巧妙だ。「ホストが客のツケを立て替える」売掛金の問題点 そこで問題になるのが売掛金だ。玄氏はその仕組みを「表向きはホストの店に対する立替払い。ホストが客のツケを立て替えている。1回2万~3万から入って、30万~50万円と増えていき、女の子がツケを払えなくなると様々な職業を紹介のような形で半ば強要される。ツケ払いをさせてその間に恋愛に持っていく」と説明。 続けて「ストレートに言ったら洗脳だ。色恋営業で絶えず電話をかけていき、“同じ地方出身だ”“自分もバイトでホスト稼業をやっている”というところから入り込み、体験入店から術中にハマっていく感じだ。月1回のイベント時に1回20万~30万円ほどの金額から入っていく。そこからシャンパンタワーまで3カ月ほど。お姫様状態で良い気分になり、半年ほどであっという間にツケは700万~800万円を裕に超えていく」と実態を明かした。 2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられたが、「ホストは18歳、19歳になる客に目をつけて、売掛で回収できなかった時に風俗のアルバイトを紹介する。そこから店の中で煽るように売掛の連鎖が始まる。支払いが追いつかないと、デリバリーヘルスや出張風俗などより報酬が高額なものへ行き、“100万円を握って店に行ったら、次は120万円”という感じで、売掛が減らないのが実態だ」と指摘した。ハードル高い法規制 それでも「条例化しか方法はない」訳 従来から未成年の売掛は違法だが、成人の場合【図】の通り、ホスト業に限った禁止は、憲法の『法の下の平等』や『営業の自由』などに抵触する可能性があり、条例の制定は難しいとの指摘もある。 それでも玄氏は「今のところ売掛金禁止の条例化しか方法はない。法的に何の網もないし、行政や警察でも対応が難しい。署名を集めて、全国からどれくらい声が寄せられているかは家族の単位を見ればわかる。東京の話ではない。これは日本全国から来ている話だ。関心がある方は、一度歌舞伎町の駆け込み寺に来てほしい。それだけ多くの声が届いている」と述べた。 そのうえで「ホストから引き離す、貧困ビジネスのようなものもある。そこで親が何百万円という金額をむしり取られ、療養施設に入る二次被害も実際に起きている。1つの団体がやれる限界も感じているので今日は出演させてもらった」と胸の内を明かした。(『ABEMA Prime』より)
多額の売掛金を支払うために、風俗を行う女性が多くおり、社会問題となっている大久保公園一帯の立ちんぼや、トー横問題と繋がる」と経緯を説明した。
新宿では主にホストクラブが売掛制度を取り入れている。客がホストに高額なお酒などを注文し、“ツケ払い”を行うもので、申し入れはこのシステムを禁止しようというもの。売掛(ツケ)が発生した場合、女性が使った飲食代は店ではなく、ホスト個人が責任を負うことがほとんどだが、時には数百万円という売掛金を支払わない女性に対し、ホストが風俗での仕事や路上での売春を強要するケースがあり、問題視されている。
SNSでは「普通に悪徳商法では?」「ホストも悪質だけど、女性も自己責任」「売掛金をホストに背負わすのもおかしい」との声があがっているが、法規制の是非は? 『ABEMA Prime』では、売掛禁止条例の署名活動を行う『日本駆け込み寺』理事を招き、実態を聞いた。
今回の申し入れについて、『日本駆け込み寺』理事の玄秀盛氏は「ウチは歌舞伎町で20年間1000人以上の相談に乗ってきた。色恋営業から恋愛詐欺、婚姻届まで書いて金をむしるのが現実。強要的なシャンパンタワーなどない。催眠療法のように、飲み慣れないカクテルを飲み、酔わされて150万、250万。これが実態だ。歌舞伎町には600m四方に300軒のホストクラブがある。それを相手にたった1人の団体で20年間対抗してきて、やむを得ず7月20日に青母連を立ち上げた。売掛金は法規制できない話ではない。だから署名運動をやっている」と述べた。
玄氏が立ち上げた青母連(青少年を守る父母の連絡協議会)には、開設約100日で150件の相談があった。いわゆる大久保公園での立ちんぼや女の子から直接ではなく「両親からの相談がほぼ100%」で、東北や中部地方、四国、九州など、都内より地方からの相談が多いという。
「娘がホストに夢中となり、風俗で働いているという問題は取り上げにくかった。法的規制はゼロ。警察や弁護士に相談に行っても、成人が自らの意思でやっていることなので、売掛というシステムは抑えがきかない。600万~800万円という被害金額を親が負担し、“なんとか娘を抜け出せないか”という相談を受けるようになった」と、活動の経緯を語った。
特にコロナ禍では、大学入学や就職のタイミングで上京したものの友人を作れず、寂しさや孤独からSNSで繋がっていくパターンで、高卒・大卒の女性がホストにハマる事例が目立ったという。
ハマる過程も「概ね2000~3000円の体験入店で入っていき、LINE交換をして、朝から晩まで100通ほどやり取りをする。寂しさを克服させ、優しさを与えるなかで“恋愛”にはめ込んでいく色恋営業だ。ホストに親しみを感じて東京での孤独感が癒されていくというパターンが多い」と実に巧妙だ。
そこで問題になるのが売掛金だ。玄氏はその仕組みを「表向きはホストの店に対する立替払い。ホストが客のツケを立て替えている。1回2万~3万から入って、30万~50万円と増えていき、女の子がツケを払えなくなると様々な職業を紹介のような形で半ば強要される。ツケ払いをさせてその間に恋愛に持っていく」と説明。
続けて「ストレートに言ったら洗脳だ。色恋営業で絶えず電話をかけていき、“同じ地方出身だ”“自分もバイトでホスト稼業をやっている”というところから入り込み、体験入店から術中にハマっていく感じだ。月1回のイベント時に1回20万~30万円ほどの金額から入っていく。そこからシャンパンタワーまで3カ月ほど。お姫様状態で良い気分になり、半年ほどであっという間にツケは700万~800万円を裕に超えていく」と実態を明かした。
2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられたが、「ホストは18歳、19歳になる客に目をつけて、売掛で回収できなかった時に風俗のアルバイトを紹介する。そこから店の中で煽るように売掛の連鎖が始まる。支払いが追いつかないと、デリバリーヘルスや出張風俗などより報酬が高額なものへ行き、“100万円を握って店に行ったら、次は120万円”という感じで、売掛が減らないのが実態だ」と指摘した。
従来から未成年の売掛は違法だが、成人の場合【図】の通り、ホスト業に限った禁止は、憲法の『法の下の平等』や『営業の自由』などに抵触する可能性があり、条例の制定は難しいとの指摘もある。
それでも玄氏は「今のところ売掛金禁止の条例化しか方法はない。法的に何の網もないし、行政や警察でも対応が難しい。署名を集めて、全国からどれくらい声が寄せられているかは家族の単位を見ればわかる。東京の話ではない。これは日本全国から来ている話だ。関心がある方は、一度歌舞伎町の駆け込み寺に来てほしい。それだけ多くの声が届いている」と述べた。
そのうえで「ホストから引き離す、貧困ビジネスのようなものもある。そこで親が何百万円という金額をむしり取られ、療養施設に入る二次被害も実際に起きている。1つの団体がやれる限界も感じているので今日は出演させてもらった」と胸の内を明かした。
(『ABEMA Prime』より)