熊本市の大西一史市長(写真・時事通信)
11月3日に開かれた、熊本市に住む外国人と市長との対話集会が話題となっている。外国人は台湾、米国、ウクライナなどが出身の15人。「行政書類の年号が元号中心でわかりにくい」「学校の給食メニューは、文化や宗教に配慮してほしい」などの意見を市長に伝えたという。
この外国人の要望について、SNSで論争となっているのだ。11月4日、X(旧Twitter)では「行政書類の年号」「熊本市長」などがトレンド入りしている。
とくに目立つのが、批判的な意見だ。
《そんなに嫌なら文句言ってないで国に帰ればいいと思う》
《郷に入っては郷に従えができないなら帰るべき。日本には日本のルールや習慣がある。それを外から来た人間が否定するとか何様か?》
《なんで「そっち」にあわせにゃいかんのか。他国の文化受け入れないやつは来ないで欲しい》
《同じノリでイギリスとかアメリカ行って、ヤード・ポンドは判らんから変えろって言ってくれない?》
スウェーデン出身で、日本に帰化した庭師・俳優の村雨辰剛も、この件を報じた「RKK熊本放送」の記事を引用し、自身のXに
《日本は日本のままでいいです。これくらいで?と思う人もいるかも知れませんが今のスウェーデン、フランス、イギリスを見れば分かります。日本には今のヨーロッパみたいになって欲しくない》
と投稿。日本は日本の文化を守るべきだと主張している。
ただ、批判的な意見ばかりではなく、
《定住外国人がどんなことで困っているのか聞くことは、当該自治体として当たり前。「郷に従え」とイキる話ではない》
《確かにこれは一理ある。入管業務やってると令和5年度(令和4年分)課税証明書と言っても、慣れてない外国人には西暦の方がわかりやすい。日本人がポンドやマイルにしっくりこないようなものかも》
などの声もみられる。
「熊本市の大西一史市長は2022年12月、条例で『市民』の定義に外国籍の人も含めるとする改正案を発表しました。しかし『外国人に参政権を与えることにつながる』と反対意見が多く、これを断念しています。近年、外国人の参政権をめぐっては多くの論争があり、今回の件がこれだけ注目を集めているのも、そういった経緯があったからと考えられます」(週刊誌記者)
大西市長は11月4日午前に、自身のXを更新。《ニュース記事の表題を見て少し誤解されている方もいらっしゃるので補足します》と、対話について説明。熊本は住みやすく満足しているというのが、外国人の大半の意見であり、
《自分たちの国のルールに日本人が合わせろというような意見を言う人はお1人もいらっしゃいませんでしたので、その点は誤解しないでいただければと思います》
と、理解を求めている。
多文化共生、多様性社会とは言うものの、なかなか難しい問題をはらんでいるのだ。