近年は路上飲酒で酔った若者が暴徒化するなど、逮捕者が出るケースも目立つハロウィン。
今年は新型コロナウイルスが「5類」に移行し、28日は本番の31日を控えた最初の週末だ。特に大阪ではプロ野球日本シリーズ阪神-オリックスの第1戦も重なる。昨年韓国で150人以上が死亡する雑踏事故が起きたことも踏まえ、警察が厳戒態勢を敷くとともに、自治体も対策に乗り出している。
ハロウィンの「西の聖地」として例年仮装した若者らが集結する大阪・ミナミ。大阪府警は28~31日、最大約230人態勢で道頓堀川周辺やアメリカ村(アメ村)の御津(みつ)公園(通称・三角公園)などを中心に警備を強化する。
今年は日本シリーズが「関西ダービー」となり、28、29日には京セラドーム大阪(大阪市西区)、31日に甲子園球場(兵庫県西宮市)で試合が行われるだけに、府警幹部は「野球ファンらもミナミに集まる可能性がある」と懸念する。
警備では、道頓堀の戎橋からの飛び込みを防ぐため、橋の上に警察官数十人を配置。スロープも立ち入れないようにする。また、人通りの増加で車両の通行が混雑する恐れがあるため、御堂筋の一部で車両の通行止めを行う予定だ。
府警南署の担当者は「人が密集するエリアでは立ち止まらず、通行ルールや警察の誘導に従って、安全に十分気を付けたうえで楽しんでほしい」としている。
一方、他の都市では警察の警備に加え自治体も対策を講じる。
「今年はハロウィン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」。東京都渋谷区の長谷部健区長は今月5日の記者会見で、異例ともいえる呼びかけを行った。28日朝には名物のハチ公像の周辺に仮の囲いを設置し、白い幕をかける作業などを実施。11月1日朝までハチ公像を見物できないようにして、混雑を避ける狙いがある。
例年、ハロウィン時期にセンター街のスクランブル交差点を中心に多数の人々が集う渋谷区。平成30年には、酒に酔った男らが駐車中の軽トラックを横転させるなどの騒動が多発し、計20人以上が逮捕される事態に。
渋谷区は今年の期間中、コロナ禍前の令和元年の4万人を超える6万人の人出を予測しており、警戒を強める。
区によると、新型コロナの水際対策緩和以降、訪日客を中心に路上飲酒も常態化。こうした中でのハロウィンとあって、職員と警備員計450人を動員。ハロウィン時期の路上飲酒を禁止する条例の周知を徹底し、周辺の店舗にも酒類の販売自粛を要請する。
長谷部区長は「渋谷に来ないでと伝えることはつらいが、対策をしなければ安全確保ができない」と理解を求めた。
福岡市でも27日から11月1日朝にかけ、混雑が懸念される同市の繁華街天神の中心部にある警固(けご)公園を夕から翌日早朝まで封鎖する。
高島宗一郎市長は今月10日の記者会見で「ハロウィンであっても近隣の迷惑や物を壊すことはあってはならない。仮装は自由だが、節度を守ってほしい」と訴えた。(小川恵理子、鈴木源也)