ジャニーズの名前がついたものはすべて捨て去る――。9月以来2回目となる2日のジャニーズ事務所の記者会見。社名を変更する現事務所は将来廃業し、新たに設立する新会社名はファンクラブで公募することなどが発表された。ファンや被害者からは評価や複雑な思いの一方、これまでの対応に厳しい指摘も聞かれた。
【写真まとめ】ジュリー氏からの手紙全文 記者会見を受け、被害者らでつくる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の平本淳也代表は同会の公式サイトにコメントを発表。個人の意見とした上で「記者会見では『解体』『痕跡を残さない』といった言葉が並び、ジャニー氏との『決別』という意志が表れている面は高く評価できる」とした。また被害への補償については「すべての被害者の救済を望みます」と訴えた。

ジャニーズのファンら有志からなる「PENLIGHT(ペンライト) ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」の発起人、高田あすみさん(仮名)は「救済のための具体的な方法が公表され、被害者らに向き合おうとする姿勢は感じられた」と評価。しかし「会見では人気タレントの東山紀之さん、井ノ原快彦さんの存在が目立っており、事務所側は『(性加害問題という)困難をファンに応援してもらうことで乗り越えよう』という狙いがあるのでは、と感じた。エンターテインメントと性加害の問題は切り離して考えないといけない」と話した。【屋代尚則】「ジャニーさんがしたことの責任なのに…」 東京・原宿のジャニーズグッズを販売するショップを訪れた埼玉県鴻巣市の保育士、須永恵美さん(26)は「ファンとしては悲しいが被害者はつらい思いをしている。ジャニーズの名前がなくなるのはしょうがない」と受け止める。 ファン歴21年目で、年に20回以上はコンサートに参加し、ジャニーズグループ全体を応援してきた。ただ、性加害を巡る事務所の対応については「見て見ぬふりをしていたのではないか。早く対応し、謝罪すべきだった」と批判する。公募する新社名は「親しみが持てるようにしてほしい」と語った。 故ジャニー喜多川氏が社長を務めていた2018年に慈善事業「ジャニーズ・スマイルアップ・プロジェクト」が発足し、変更後の社名にも一部使われた。大阪府のパート従業員、河村綾さん(27)は「元々のプロジェクト名に『ジャニーズ』が入っていたので、名残があるのではないか」と疑問を投げかける。 ジャニーズ事務所(東京都港区)前を歩いていた東京都の女子大学生(19)はデビュー当初から「Snow Man」を応援してきた。この日はメンバーの向井康二さんが出演する舞台を鑑賞した帰りに事務所前を訪れた。「ジャニーズの名称がなくなると思うと舞台を見て、涙が出てきた。事務所の看板を見るのも最後かもしれない」とスマートフォンで撮影していた。 「ジャニーズショップ大阪」(大阪市北区)には2日も多くのファンが詰めかけ、目当てのタレントのグッズを求めて列を作った。記者会見が始まった午後2時過ぎには、スマートフォンで速報をチェックする人も目立った。 「なにわ男子」のグッズを買いに来ていた大阪府枚方市の事務職女性(21)は、新社名について「私自身は名前が変わっても気にならないけど、グループのメンバーにはジャニーズブランドに憧れて入った人もいるのでは。ブランドの『華』が無くなってしまうのは少し残念」と語る。 ジャニーズのファン歴は、「関ジャニ∞(エイト)」が好きだった時から合わせると10年以上。コンサートへの旅費や写真集などのグッズ購入で、年間約20万円を費やす。多くの企業がタレントの広告起用を見送る方針を打ち出していることについて「なぜ個人で見てくれないのか。ジャニーさんがしたことの責任を取らされることに納得がいかない」とし、事務所に対して「告発本が出たり、裁判になったりした時に組織のあり方を見直せば今のようにはならなかった」と憤る。 今後について「コンサートの自粛など、ファンとのやり取りが急になくなってしまったら悲しい」と懸念する。NHKが番組にタレントの新規起用を控える方針を示しているが、民放各局にその動きが広がらないか心配だといい、「もしテレビに出演できなくなっても、有料配信など、メンバーの活躍を見られる場を与えてほしい」と話した。【島袋太輔、谷口豪】
記者会見を受け、被害者らでつくる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の平本淳也代表は同会の公式サイトにコメントを発表。個人の意見とした上で「記者会見では『解体』『痕跡を残さない』といった言葉が並び、ジャニー氏との『決別』という意志が表れている面は高く評価できる」とした。また被害への補償については「すべての被害者の救済を望みます」と訴えた。
ジャニーズのファンら有志からなる「PENLIGHT(ペンライト) ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」の発起人、高田あすみさん(仮名)は「救済のための具体的な方法が公表され、被害者らに向き合おうとする姿勢は感じられた」と評価。しかし「会見では人気タレントの東山紀之さん、井ノ原快彦さんの存在が目立っており、事務所側は『(性加害問題という)困難をファンに応援してもらうことで乗り越えよう』という狙いがあるのでは、と感じた。エンターテインメントと性加害の問題は切り離して考えないといけない」と話した。【屋代尚則】
「ジャニーさんがしたことの責任なのに…」
東京・原宿のジャニーズグッズを販売するショップを訪れた埼玉県鴻巣市の保育士、須永恵美さん(26)は「ファンとしては悲しいが被害者はつらい思いをしている。ジャニーズの名前がなくなるのはしょうがない」と受け止める。
ファン歴21年目で、年に20回以上はコンサートに参加し、ジャニーズグループ全体を応援してきた。ただ、性加害を巡る事務所の対応については「見て見ぬふりをしていたのではないか。早く対応し、謝罪すべきだった」と批判する。公募する新社名は「親しみが持てるようにしてほしい」と語った。
故ジャニー喜多川氏が社長を務めていた2018年に慈善事業「ジャニーズ・スマイルアップ・プロジェクト」が発足し、変更後の社名にも一部使われた。大阪府のパート従業員、河村綾さん(27)は「元々のプロジェクト名に『ジャニーズ』が入っていたので、名残があるのではないか」と疑問を投げかける。
ジャニーズ事務所(東京都港区)前を歩いていた東京都の女子大学生(19)はデビュー当初から「Snow Man」を応援してきた。この日はメンバーの向井康二さんが出演する舞台を鑑賞した帰りに事務所前を訪れた。「ジャニーズの名称がなくなると思うと舞台を見て、涙が出てきた。事務所の看板を見るのも最後かもしれない」とスマートフォンで撮影していた。
「ジャニーズショップ大阪」(大阪市北区)には2日も多くのファンが詰めかけ、目当てのタレントのグッズを求めて列を作った。記者会見が始まった午後2時過ぎには、スマートフォンで速報をチェックする人も目立った。
「なにわ男子」のグッズを買いに来ていた大阪府枚方市の事務職女性(21)は、新社名について「私自身は名前が変わっても気にならないけど、グループのメンバーにはジャニーズブランドに憧れて入った人もいるのでは。ブランドの『華』が無くなってしまうのは少し残念」と語る。
ジャニーズのファン歴は、「関ジャニ∞(エイト)」が好きだった時から合わせると10年以上。コンサートへの旅費や写真集などのグッズ購入で、年間約20万円を費やす。多くの企業がタレントの広告起用を見送る方針を打ち出していることについて「なぜ個人で見てくれないのか。ジャニーさんがしたことの責任を取らされることに納得がいかない」とし、事務所に対して「告発本が出たり、裁判になったりした時に組織のあり方を見直せば今のようにはならなかった」と憤る。
今後について「コンサートの自粛など、ファンとのやり取りが急になくなってしまったら悲しい」と懸念する。NHKが番組にタレントの新規起用を控える方針を示しているが、民放各局にその動きが広がらないか心配だといい、「もしテレビに出演できなくなっても、有料配信など、メンバーの活躍を見られる場を与えてほしい」と話した。【島袋太輔、谷口豪】