夫に無断で撮影された自分の性的写真を消して欲しいーー。切実な思いを抱える女性たちから、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。
ある相談者は自身の夫に対して、同意なく撮影された性的写真の削除を何度も申し出ているそうです。その度に断られ「相手の事を生理的に嫌になってしまった」として、離婚を考えるようになりました。
他にも、「旦那がお風呂場に小型カメラを設置しているのを発見してしまった」「夫が私の下着姿を盗撮したもの、裸の画像をサイトへ投稿してました。勿論私の合意などありません」といった相談が寄せられています。
夫の「盗撮」行為に法的問題はないのでしょうか。また、写真の削除を拒否されたらどう対応するべきなのか。後藤貞和弁護士に聞きました。
–合意なく盗撮されていた場合、そのことを理由に離婚や慰謝料を求めることは可能でしょうか
裸や下着姿、性行為中の姿の撮影は、後述する改正法に触れ犯罪となる可能性のある行為です。改正法適用前の行為であっても、少なくともプライバシー侵害や夫婦間の信頼関係を壊す行為といえます。
相談内容にあるような盗撮行為は、違法な行為として離婚原因や慰謝料の根拠となりえます。
–合意ない盗撮行為、その画像の販売は、犯罪となり得るのでしょうか
性的姿態等撮影罪(報道などでは単に「撮影罪」と呼ばれています)が新設され、裸(性器、臀部、胸部等の性的部位)や下着姿、性交等の姿態を同意なく撮影するといった行為が処罰対象となりました。
令和5年(2023年)7月13日以降の行為が対象ですが、それ以前の行為でも各都道府県の迷惑行為防止条例により処罰される可能性はあります。
–夫が削除に応じなかった場合、どのように対応すればよいのでしょうか
データのバックアップを取ることは容易なので、確実に全て削除させることは現実的には難しい面があります。
まずは、夫が普段使用しているスマートフォン、パソコン、外付けの記録媒体(USBメモリ、ハードディスク)、クラウドやサーバ等について、可能な限り目の前で完全に削除させることかと思います。
その上で、万一、後日データが残っていたり、外部に流出した場合には金○○万円を支払うといった合意を取り付け、書面化しておくことも考えられます。このあたりは交渉によるほかありません。
夫が削除を拒絶するようなら警察への相談、被害届の提出ということも検討すべきです。今後の対応に備え、気分は良くないことかと存じますが、隠しカメラや、盗撮された画像等を証拠として保全しておくことも重要です。
【取材協力弁護士】後藤 貞和(ごとう・さだかず)弁護士2014年弁護士登録、仙台弁護士会所属。当事者の納得いく解決を目指した親切・丁寧な対応をモットーとしています。Chatwork等のビジネスチャット、ビデオ通話による相談にも対応しています。お気軽にご相談ください。事務所名:弁護士法人後藤東京多摩法律事務所事務所URL:https://goto-lawoffice.com/