収容中の女性死刑囚から面会相手の車いす利用者の介助を頼まれたのに、大阪拘置所(大阪市)が一方的に拒んだのは人権侵害だとして、日本弁護士連合会は3日、同拘置所に、再発防止や対応の改善を求めて勧告したと発表した。
勧告は2日付。女性死刑囚が2019年11月、日弁連に人権救済を申し立てていた。
勧告書によると、女性死刑囚は19年7月、和歌山市から面会に訪れる夫が身体障害者で車いすを利用していることから、面会の受け付けや施設内の移動で介助するよう同拘置所に依頼した。しかし、同拘置所は、これまで夫が養子の介助を受けて面会し、施設内にスロープが設置されていることを理由に、話し合いもせずに拒否したという。
勧告では「養子の介助が受けられるとは限らず、受付前には段差がある。対話せず依頼を拒んだことは障害者の人権侵害にあたる」と指摘。障害者差別解消法で、行政機関には負担が過剰にならない範囲で障害者からの要望に対応する「合理的配慮」が義務付けられており、同拘置所の対応は同法に反するなどとした。
大阪拘置所は「勧告書の内容を精査した上で、個々の事情に配慮した適切な対応を行っていきたい」とのコメントを出した。