好意を寄せる女性の飲み物に、トリカブトに含まれる毒成分を混入。
女性を急性中毒にした疑いで逮捕された、診療放射線技師の長浜拓夢容疑者(27)。
女性に好意を抱いていた長浜容疑者は、「介抱して距離を縮めよう」と犯行に及んだとみられている。
被害者の20代女性とは、東京都内の病院の同僚だった。
6月、長浜容疑者は、病院のスタッフルームで、女性のペットボトルの水にトリカブトの毒成分を注射器を使って入れたという。
そして後日、女性がペットボトルにゴミのようなものが浮いていたのを見つけ、不審に思い警視庁に相談。
警察官が病院内を警戒していたところ、女性のペットボトルに覚醒剤を注入する長浜容疑者を発見し、現行犯逮捕。
長浜容疑者のバッグからは、覚醒剤約0.2グラムとトリカブトの毒成分「アコニチン」の粉末約1グラムが見つかった。
アコニチンは、わずか3mgから6mgで人が死に至るほどの猛毒。
過去には、昭和、平成と世間を震撼(しんかん)させたトリカブト殺人事件が起きている。
“昭和のトリカブト殺人”が起きたのは、1986年。
新婚夫婦が沖縄旅行中に、妻が急死。当初、死因は急性心不全と診断された。
しかし、死の直前、妻に1億8,500万円もの保険がかけられていたことで話題を集め、5年後に夫が逮捕されたことで事態が急変する。
夫が植物店から、トリカブトを大量に購入していたことなどが発覚。
夫に無期懲役の判決が下された。
“平成のトリカブト殺人”として知られるのは、埼玉・本庄市の保険金殺人事件。
八木茂死刑囚「薬物は1,000%出ませんから。僕は潔白ですから」
八木茂死刑囚は愛人と共謀し、男性にトリカブト入りのパンを食べさせるなどして殺害。
保険金3億円をだまし取るなど、あわせて3人を死傷させ、殺人などの罪に問われた。
2010年に、死刑判決が確定している。
そして、今回起きた“令和のトリカブト事件”。
長浜容疑者の供述「女性に好意を抱いていた。体調が悪くなれば、声をかけて距離を縮めることができると思った」
トリカブトの毒成分「アコニチン」を、好意を寄せる同僚の20代女性のペットボトルに混入。
急性薬物中毒などにさせた疑いで逮捕された、診療放射線技師の長浜拓夢容疑者(27)。
トリカブトの毒成分が入った水を飲んだ女性は、口や手のしびれや吐き気、さらに嘔吐(おうと)などの症状が出たという。
実は、このトリカブトは、わたしたちの身近なところにも自生する野草だという。
東京都薬用植物園・中村耕主任研究員「このへんがトリカブト類。ヤマトリカブトとかの種類のものは、日本国内の山の方に自然に生えている」
山あいの木陰などの涼しい場所に生えているというトリカブト。
葉っぱは見たところモミジのようで、どこにでもありそう。
山菜採りなどに訪れた人が、ニリンソウやモミジガサなどと間違って食べてしまう事故も多いという。
東京都薬用植物園・中村耕主任研究員「間違えて食べて亡くなるケースもある。日本3大有毒植物と言われているくらい、毒性はかなり強いんじゃないかと思う」
トリカブトは、秋には青紫色の美しい花を咲かせることで知られ、フリマアプリでは観賞用として販売されるなど簡単に入手できてしまう。
では、このトリカブトから毒成分のアコニチンだけを抽出し、ペットボトルに混入することは可能なのだろうか。
法科学研究センター・雨宮正欣所長「毒の成分だけを取り出すという意味の抽出だと、一般の方がなかなか簡単にはできない」
調べに対し、“アコニチンはネットで買った”と供述している長浜容疑者。
最初に逮捕された際には、被害女性のペットボトルに覚醒剤を注入するところを発見され、現行犯逮捕されている。
警視庁は、好意を抱いていた女性を介抱して距離を縮めようとして犯行に及んだとみて捜査。
長浜容疑者は、女性に好意を抱いていたことは認めているが、「(アコニチンを)注入するつもりはなかったが、混ざってしまいました」と容疑を否認している。