今夏はコロナ禍が明けたことで花火大会など“4年ぶり”となるイベントが数多く開催された。春先は「日本人はマスクを外せるのか」などと懸念もされたものの、ふたを開けてみればノーマスクの人は増えている。かつてマスク着用を巡って議論になったことがはるか昔のことのように思えるが、マスクトラブルは今でも起きていた。
29日、広島・呉市の元市議が、マスク着用を断って飛行機を降ろされたのは不当だとして航空会社を訴えていた裁判で、広島地裁は訴えを退けた。元市議は昨年2月に北海道の釧路空港から羽田空港に向かう際にノーマスクを貫いたため搭乗を拒否されていた。元市議は控訴する意向を示している。
コロナ禍からノーマスクの男性会社員は「無念です。マスパセ氏の控訴審判決が10月30日にありますが、相変わらず裁判所はノーマスクに厳しそうです」と嘆いた。「マスパセ」とは飛行機でマスク着用を拒否し、客室乗務員に大声を出すなどして威力業務妨害などに問われている男性のことだ。
コロナ禍では“マスク警察”が出没するなどマスクトラブルが相次いだ。しかし現在、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類相当から5類になり、マスク着用も個人の判断となっている。外出すればマスクをしていない人の方が多いこともあるくらい。マスクを購入しなくなった人もいるだろう。
一方でマスク着用を巡るトラブルがなくなったわけではない。医療関係者は「多くの病院は今でもマスク着用を求めています。普段の感覚のままノーマスクで来院すると『着けてください』と言われるでしょう」と話した。病院でトラブルが起きやすいという。
実際に、病院でマスク着用を巡って修羅場が起きた現場に居合わせた男性が語った。
「先日、病院で看護師と若い男性の患者でマスク着用を巡って口論になっていました。看護師が『マスクをしないなら外でお待ちください』と言うと、マスク未着用の男性が『マスクはしない』『差別だ』『あくまでお願いでしょ』と言い張り譲らなかったのです」
さらに、待合室にいた患者らが「警察呼べ」「撮影してネットに上げろ」「迷惑なんだよ」とノーマスク男性を非難し出したという。「修羅場でしたね。結局、男性はノーマスクを貫いていましたが、警察沙汰になってもおかしくありませんでした」と居合わせた男性は振り返った。
病院ではまだマスク着用を求められることがあると頭の片隅に入れておこう。