連日続く猛暑の影響で、スズメバチの活動が活発化しています。炎天下に繰り広げられる、“凶暴性ナンバーワン”のスズメバチとハンターの攻防に密着取材しました。
■“凶暴性ナンバーワン”キイロスズメバチ
この日、最初の駆除依頼があったのは千葉県野田市。巣が作られていたのは、神社のほこらです。
スズメバチハンター 松原暢明さん:「キイロスズメバチですね」
体長2センチほどで、ミツバチより一回り大きいキイロスズメバチ。名前の通り、黄色い体が特徴です。
厄介なのは、その“気性の荒さ”です。
スズメバチハンター 田迎真人さん:「攻撃性は極めて強いですね。ちょっとの振動でもすぐ刺されるので、危ないですね。やばい、やばい。飛んでるよ。かなり追っかけてきてるよ。やばいね、これ」
縄張り意識が非常に強く、スズメバチの中でも“凶暴性ナンバーワン”と言われています。
防護服を着たスタッフが近付くと、すごい量のスズメバチがいました。
大量に出てきて、威嚇を始めます。そこで、松原さんが取り出したのが、お手製の秘密兵器。改造した掃除機でスズメバチをどんどん吸い込んでいきます。
松原さん:「怒ってる、怒ってる」
内田さん:「怒ってます、ものすごく怒ってます。さすがキイロ(スズメバチ)です」
松原さん:「夏本番になってきたね」
巣を攻撃されたスズメバチは、さらに凶暴に!それでも、ひるむことなく吸い続け、ついに巣を取り出しました。
捕まえたキイロスズメバチは、およそ200匹。4段にわたって巣を作っていました。
これを見た依頼者の男性は、次のように話します。
依頼者(70代):「こんなに大きいと思わなかった。しばらくは安心だ」
■7月上旬から活動が活発に…駆除依頼が殺到
駆除歴45年の大ベテラン、スズメバチハンターの田迎さん。今年は、スズメバチの動向に“ある異変”を感じていました。
田迎さん:「(動き出しが)早いよ、今年は。桜が咲くのが今年は早かったし、その後すぐに温暖な20℃以上の25℃近くの温度がずっと続いたので、(早く)巣作り開始になっちゃった」
今年は気温が高いため、早めに始まったというスズメバチの巣作り。それに合わせて働きバチの増加も早まり、例年より半月ほど早い、7月上旬からスズメバチの動きが活発になっているのです。
そのため、ハンターの元には駆除依頼がひっきりなしにやってきます。
田迎さん:「今、こっち片付けてて、30分くらい経ったら出発します」
■夜間も活動 閉鎖空間に…モンスズメバチ
続いて向かったのは、茨城県坂東市です。
田迎さん:「こっからかっぽじって、取っちゃえばいいよ」
住宅の軒下に巣を作っていたのは、モンスズメバチです。
松原さん:「モンスズメバチは、スズメバチの中で唯一、夜動けるハチです。夜も活動できるハチ」
依頼者(70代):「朝起きたら、枕元にハチが亡くなっていて。死んだハチがいるんですよ。もうびっくりして、(巣の)下をなるべく通らないようにしてました」
閉鎖された空間を好むモンスズメバチ。わずかな隙間に侵入して巣を作り、駆除が難しいため、まさに“ハンター泣かせのスズメバチ”です。
今回もわずか10センチほどの隙間から軒の裏に侵入し、巣を作っていました。巣を丸ごと取ることができないため、壊しながら駆除を進めます。
松原さん:「おー、出てきた、出てきた」
内田さん:「引っ張り出すしかない」
この日の最高気温は37℃で、防護服を着ていると中はサウナ状態になります。屋根瓦の上での作業は過酷を極めます。
さらに、あまりの暑さに想定外の事態も起きました。
松原さん:「電気抜けたよ!抜けてない!?暑すぎてモーター止まっちゃった!?」
秘密兵器がまさかの故障。それでも汗を拭きながら、モンスズメバチの駆除を続けます。
松原さん:「逃げやがった。結構いるはずなのに」
作業開始からおよそ45分。ついにモンスズメバチを一網打尽にしました。巣を取り除くと、近所の人たちが集まってきました。
■ハンターが警鐘「生活圏内の巣は危ない」
安心して寝ることができなかったという依頼者の女性は、次のように話します。
依頼者(70代):「もう、これで一安心です。取ってもらえて良かったです」
猛暑になると、巣を大きくし、攻撃的になるというスズメバチ。ハンターは警鐘を鳴らします。
松原さん:「増えるね、今年は。キイロ(スズメバチ)多い。去年も多かったけど、今年多いね。生活圏内にあるハチの巣は(どのスズメバチでも)やっぱり危ない」