自民党の秋本真利衆院議員(47)が洋上風力発電を手掛ける日本風力開発側から数千万円の資金を受領した収賄疑惑で、東京地検特捜部が4日、永田町の衆院議員会館や秋本氏の自宅マンションなどを家宅捜索した。
特捜部が家宅捜索で踏み込んだのは議員会館の秋本氏の事務所や千葉市にある自宅マンション、千葉・佐倉市にある地元事務所などだ。
秋本氏は党内では数少ない脱原発派で、河野太郎デジタル相の右腕といわれる。洋上風力発電の事業者公募時の評価基準見直しを求め、事業者が参入しやすいように門戸を広げる国会質問をしていたが、日本風力開発に便宜を図り、その見返りで賄賂の意味合いのある資金提供を受けていたと特捜部はにらんでいるようだ。
日本風力開発の塚脇正幸社長の弁護士は賄賂を否定。同社長から秋本氏側への3000万円の移動は秋本氏らと設立した馬主組合の馬の購入費や餌代に充てられたとしている。
議員会館事務所に秋本氏や秘書は不在で、特捜部の家宅捜索には議員会館事務所の職員が立ち会った。「前日までに荷物は整理していたようで、もぬけの殻。日本風力開発側は賄賂ではないとしているが、特捜部が議員会館の事務所までガサ入れして、何もなかったはあり得ません。社長への任意の事情聴取から賄賂性があるカネの流れをつかんでいるとみられ、立件は免れないでしょう」(永田町関係者)
秋本氏はこの日、政務官を辞任し、離党する意向を示したものの岸田政権へのダメージは大きい。「早ければ今月末にも内閣改造に踏み切る中で、現役政務官に捜査の手が入ったのは予想外だったはず。秋本氏はこれまでも事務所の違法建築、秘書給与を巡っての違反疑惑などを国会で追及され、しらばっくれていたが、もっと大きな疑惑が出た。今後の捜査次第で、岸田首相の任命責任も問われる」(同)
岸田首相はこの日、混乱するマイナンバーの問題で会見を開いたが、秋本氏の疑惑には「国民の疑念を招くような事態となり、大変遺憾だ」と話すのみ。問題山積で、衆院解散・総選挙どころではないようだ。