ビッグモーターをめぐる一連の問題で、多くの関係者から不正横行の背景にあると話が出たのが、「ロイヤルファミリー」と呼ばれ恐れられていたという兼重宏一前副社長とその側近2人の存在。バンキシャ!が取材を進めると、その横暴な言動の実態が見えてきた。(真相報道バンキシャ!) 28日、バンキシャ!は、ビッグモーターの現役社員に話を聞いた。語られたのは社内で恐れられてきた“ある3人”の存在だ。

現役社員 「5~6年前から突如現れた『副社長の兼重宏一さん』、取り巻く『本部長』と『常務』。この3人が実権を握りだして会社は180度変わりました。それからですね、パワハラや頻繁な人事異動、降格が始まったのは。その偉そうな感じで、全社の中では“ロイヤルファミリー”って(呼ばれていた)」 兼重前社長の息子・宏一前副社長と2人の幹部。不正が横行した背景には、“ロイヤルファミリー”と呼ばれるこの3人の存在があったという。東日本の店舗で店長を務めていた元社員からも同じ証言が─。 店長を務めていた元社員 「ロイヤル、ロイヤルって呼んでたんですけど。あの3人がはけないことには、あの会社は良くなることはない」 保険金の不正請求問題をめぐり、ビッグモーターの兼重宏行前社長は25日、辞任を表明した。息子の宏一前副社長の辞任も発表されたが、宏一前副社長は会場には姿を見せなかった。 実態解明に国も動き出している。国土交通省は28日、全国34の店舗に一斉に立ち入り検査を行った。 しかし、宏一前副社長は、いまだ公の場に姿を見せていない。いったい今どこにいるのか。話を聞くため、バンキシャ!は、都内にある兼重前社長の自宅を訪ねた。しかし、呼び鈴を鳴らしたものの、応答はなかった。 ──(記者)誰も出ないですね。 そこでバンキシャ!は静岡県熱海市に向かった。そこにあったのは、大きくて立派な邸宅。兼重親子が取締役を務める資産管理会社の持ち物だ。 インターホンを押してみる。しかしここでも応答はない。バンキシャ!は、さらに長野県軽井沢町の高級別荘地を訪ねた。ここにも兼重親子の資産管理会社の持ち物である大きな邸宅がある。 ──入り口の門には、目隠しでしょうか、幕が張られています。 近所の人によると、ここ数日でセキュリティーが急に厳しくなったという。インターホンを押してみるが、やはり応答はない。広大な敷地の周囲を歩いてみたが、住人の気配は感じられなかった。 宏一前副社長は、どんな人物なのだろうか。 バンキシャ!が入手したのは、各地の店長らが参加するグループLINEの投稿だ。送り主は、宏一前副社長とみられている。 そこには、次のように書かれてあった。 「いくら言っても価値観が合わない人は、居場所はありません」 「こういう人を放置しないように。周りにも悪影響です」 社員を辞めさせるよう指示していたのか。社員の元にはこうした“暴言LINE”が、宏一前副社長らから日々届いていたという。 現役社員 「ロイヤルファミリーから、1000件くらい一日に来ていたので。ずっとLINEが鳴ってるんですよ、ずーっと。すぐ返信がなかったら、『こんなのも返信できないのか』『こんな能力ないやつダメだ』とかなる。パワハラの域を超えている。脅しですね。おかしなことはたくさんあったんですけど、誰も何も言える体制ではなかった」 “ロイヤルファミリー”の横暴ぶりが特に目立ったというのが、掃除や整理整頓が行き届いているかをチェックする「環境整備点検」だ。 現役社員 「大名行列みたいな感じで、すごい偉そうに店に入ってきて、あれやらこれやら難癖つけて。とにかく3人の機嫌を損なうことを一言でも言うと一発でアウトなので、どこに飛ばされるか、どんな降格の罰を与えられるかわからない」 ──降格はその場で言われる? 現役社員 「ほぼその場です。『ああ、もう君交代』とか」 さらに店の外でも“ある難題”が。 現役社員 「環境整備で各地を回るので、あの人たちはおいしいごはんをたくさん食べるんですよね、前泊とかして。そのお店は店長が用意しなくちゃいけない。店長は下手なところ連れて行ったら何言われるかわからないんで、1回行くんですよ、自分で。味とか接客とか見て、で、招待して。それで、その店がロイヤルファミリーの誰かが気に入らなかったら、それで降格になった人もいます」 元店長からも同じような証言があった。 ──ロイヤルファミリーが来る時に、店長がごはんの場所を探さないといけない? 店長を務めていた元社員 「接待というか、その段取りは泊まりであればこっち(店舗)で」 ──それがおいしくなければ、そこでも(降格)? 店長を務めていた元社員 「宏一さん(前副社長)の機嫌を損ねたら終わるので」 特別調査委員会の報告書によると、この3年で47人が前副社長らから一方的な降格処分を受けていたという。前副社長らによる暴言や降格人事の実態について、ビッグモーターはバンキシャ!の取材に対し、「現場の声を拾い上げる仕組みの構築と、再発防止に向け真摯(しんし)に対応していく」と回答した。 ただ、兼重親子の資産管理会社がビッグモーターの株の100%を保有していることから、親子を知る関係者からは懸念の声が。 親子を知る関係者 「兼重前社長は、ビッグモーターへの思いの強さと同じように息子のことを大切にしてきた。さすがに今回、後継にすることは諦めているだろうが、今後もかというと、前社長の性格からしてそう単純に割り切って諦めているとは思えない」 “いびつな企業風土”を断ち切れるのか、疑問視する声もあがっている。 (*7月30日放送『真相報道バンキシャ!』より)
ビッグモーターをめぐる一連の問題で、多くの関係者から不正横行の背景にあると話が出たのが、「ロイヤルファミリー」と呼ばれ恐れられていたという兼重宏一前副社長とその側近2人の存在。バンキシャ!が取材を進めると、その横暴な言動の実態が見えてきた。(真相報道バンキシャ!)
28日、バンキシャ!は、ビッグモーターの現役社員に話を聞いた。語られたのは社内で恐れられてきた“ある3人”の存在だ。
現役社員 「5~6年前から突如現れた『副社長の兼重宏一さん』、取り巻く『本部長』と『常務』。この3人が実権を握りだして会社は180度変わりました。それからですね、パワハラや頻繁な人事異動、降格が始まったのは。その偉そうな感じで、全社の中では“ロイヤルファミリー”って(呼ばれていた)」
兼重前社長の息子・宏一前副社長と2人の幹部。不正が横行した背景には、“ロイヤルファミリー”と呼ばれるこの3人の存在があったという。東日本の店舗で店長を務めていた元社員からも同じ証言が─。
店長を務めていた元社員 「ロイヤル、ロイヤルって呼んでたんですけど。あの3人がはけないことには、あの会社は良くなることはない」
保険金の不正請求問題をめぐり、ビッグモーターの兼重宏行前社長は25日、辞任を表明した。息子の宏一前副社長の辞任も発表されたが、宏一前副社長は会場には姿を見せなかった。
実態解明に国も動き出している。国土交通省は28日、全国34の店舗に一斉に立ち入り検査を行った。
しかし、宏一前副社長は、いまだ公の場に姿を見せていない。いったい今どこにいるのか。話を聞くため、バンキシャ!は、都内にある兼重前社長の自宅を訪ねた。しかし、呼び鈴を鳴らしたものの、応答はなかった。
──(記者)誰も出ないですね。
そこでバンキシャ!は静岡県熱海市に向かった。そこにあったのは、大きくて立派な邸宅。兼重親子が取締役を務める資産管理会社の持ち物だ。
インターホンを押してみる。しかしここでも応答はない。バンキシャ!は、さらに長野県軽井沢町の高級別荘地を訪ねた。ここにも兼重親子の資産管理会社の持ち物である大きな邸宅がある。
──入り口の門には、目隠しでしょうか、幕が張られています。
近所の人によると、ここ数日でセキュリティーが急に厳しくなったという。インターホンを押してみるが、やはり応答はない。広大な敷地の周囲を歩いてみたが、住人の気配は感じられなかった。
宏一前副社長は、どんな人物なのだろうか。
バンキシャ!が入手したのは、各地の店長らが参加するグループLINEの投稿だ。送り主は、宏一前副社長とみられている。
そこには、次のように書かれてあった。
「いくら言っても価値観が合わない人は、居場所はありません」 「こういう人を放置しないように。周りにも悪影響です」
社員を辞めさせるよう指示していたのか。社員の元にはこうした“暴言LINE”が、宏一前副社長らから日々届いていたという。
現役社員 「ロイヤルファミリーから、1000件くらい一日に来ていたので。ずっとLINEが鳴ってるんですよ、ずーっと。すぐ返信がなかったら、『こんなのも返信できないのか』『こんな能力ないやつダメだ』とかなる。パワハラの域を超えている。脅しですね。おかしなことはたくさんあったんですけど、誰も何も言える体制ではなかった」
“ロイヤルファミリー”の横暴ぶりが特に目立ったというのが、掃除や整理整頓が行き届いているかをチェックする「環境整備点検」だ。
現役社員 「大名行列みたいな感じで、すごい偉そうに店に入ってきて、あれやらこれやら難癖つけて。とにかく3人の機嫌を損なうことを一言でも言うと一発でアウトなので、どこに飛ばされるか、どんな降格の罰を与えられるかわからない」
──降格はその場で言われる?
現役社員 「ほぼその場です。『ああ、もう君交代』とか」
さらに店の外でも“ある難題”が。
現役社員 「環境整備で各地を回るので、あの人たちはおいしいごはんをたくさん食べるんですよね、前泊とかして。そのお店は店長が用意しなくちゃいけない。店長は下手なところ連れて行ったら何言われるかわからないんで、1回行くんですよ、自分で。味とか接客とか見て、で、招待して。それで、その店がロイヤルファミリーの誰かが気に入らなかったら、それで降格になった人もいます」
元店長からも同じような証言があった。
──ロイヤルファミリーが来る時に、店長がごはんの場所を探さないといけない?
店長を務めていた元社員 「接待というか、その段取りは泊まりであればこっち(店舗)で」
──それがおいしくなければ、そこでも(降格)?
店長を務めていた元社員 「宏一さん(前副社長)の機嫌を損ねたら終わるので」
特別調査委員会の報告書によると、この3年で47人が前副社長らから一方的な降格処分を受けていたという。前副社長らによる暴言や降格人事の実態について、ビッグモーターはバンキシャ!の取材に対し、「現場の声を拾い上げる仕組みの構築と、再発防止に向け真摯(しんし)に対応していく」と回答した。
ただ、兼重親子の資産管理会社がビッグモーターの株の100%を保有していることから、親子を知る関係者からは懸念の声が。
親子を知る関係者 「兼重前社長は、ビッグモーターへの思いの強さと同じように息子のことを大切にしてきた。さすがに今回、後継にすることは諦めているだろうが、今後もかというと、前社長の性格からしてそう単純に割り切って諦めているとは思えない」
“いびつな企業風土”を断ち切れるのか、疑問視する声もあがっている。