神戸市西区の草むらで保育園児の穂坂修(なお)ちゃん(6)の遺体が見つかった事件で、市側が保育園から「体にあざがある」との虐待通告を受けながら、48時間以内の安否確認を求めるマニュアルに反した対応を取っていたことが市への取材で判明した。区職員が修ちゃんと面会したのは通告から7日後で、あざは確認できず、結果的に最悪の事態を防げなかった。市は一連の対応について学識経験者らによる第三者委員会を設置し、検証する。
祖母「遺体隠すよう次男が指示」 県警に説明 市によると、修ちゃんが久しぶりに登園した4月20日、園職員が尻と肩にあざがあるのを確認し、4日後の24日に区役所に通告した。区はその日のうちに修ちゃんを児童福祉法上の「要保護児童」に指定し、家庭訪問した。しかし、祖母(57)と母親の沙喜容疑者(34)=祖母への傷害容疑などで逮捕=は「心当たりがない」と説明し、修ちゃんにも「遊びに行っている」との理由で会えなかった。 区はその後も一家に接触を試みたが、自宅は留守続きで、修ちゃんと面会できたのは通告から1週間後の5月1日だった。このとき区職員は修ちゃんの服を脱がすことができず、肩だけを確認したところ、あざは消えていたという。沙喜容疑者が修ちゃんの一時保護を求めたため、市こども家庭センター(児童相談所)が動いたが、祖母が「一時保護は不要」と話すなどしたため見送られた。 市のマニュアルは国の「児童相談所運営指針」に基づいて作成され、区職員が虐待の有無を確認するのに活用している。今回、マニュアルに沿った対応ができなかったことについて、市家庭支援課の平川公則課長は「その時々で必要な対応は取っていたが、結果的に遅くなったかもしれない」と釈明した。 修ちゃんは6月22日に遺体で発見。捜査関係者によると、19日に亡くなった可能性が高く、背中全体から多数の殴打痕が確認された。兵庫県警が死亡の経緯を調べている。 児童虐待に詳しい才村純・東京通信大名誉教授(児童福祉論)は、市側の対応について「区は児相と連携し、早期に安否確認する必要があった。あざの情報や保護者からの一時保護要請など危険因子を総合的に判断し、最悪の事態を想定して危機感を持って対応すべきだった」と語った。【山本康介】
市によると、修ちゃんが久しぶりに登園した4月20日、園職員が尻と肩にあざがあるのを確認し、4日後の24日に区役所に通告した。区はその日のうちに修ちゃんを児童福祉法上の「要保護児童」に指定し、家庭訪問した。しかし、祖母(57)と母親の沙喜容疑者(34)=祖母への傷害容疑などで逮捕=は「心当たりがない」と説明し、修ちゃんにも「遊びに行っている」との理由で会えなかった。
区はその後も一家に接触を試みたが、自宅は留守続きで、修ちゃんと面会できたのは通告から1週間後の5月1日だった。このとき区職員は修ちゃんの服を脱がすことができず、肩だけを確認したところ、あざは消えていたという。沙喜容疑者が修ちゃんの一時保護を求めたため、市こども家庭センター(児童相談所)が動いたが、祖母が「一時保護は不要」と話すなどしたため見送られた。
市のマニュアルは国の「児童相談所運営指針」に基づいて作成され、区職員が虐待の有無を確認するのに活用している。今回、マニュアルに沿った対応ができなかったことについて、市家庭支援課の平川公則課長は「その時々で必要な対応は取っていたが、結果的に遅くなったかもしれない」と釈明した。
修ちゃんは6月22日に遺体で発見。捜査関係者によると、19日に亡くなった可能性が高く、背中全体から多数の殴打痕が確認された。兵庫県警が死亡の経緯を調べている。
児童虐待に詳しい才村純・東京通信大名誉教授(児童福祉論)は、市側の対応について「区は児相と連携し、早期に安否確認する必要があった。あざの情報や保護者からの一時保護要請など危険因子を総合的に判断し、最悪の事態を想定して危機感を持って対応すべきだった」と語った。【山本康介】