横浜市鶴見区のマンションで住人の大学1年冨永紗菜(さな)さん(18)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された元交際相手の伊藤龍稀(はるき)容疑者(22)が事件前日の6月28日、冨永さんのアルバイト先に押しかけていたことが、関係者への取材で分かった。
事件当日の朝にも冨永さん宅に侵入して追い返されており、神奈川県警は、復縁を迫ったものの拒まれたことが動機につながったとみて調べている。
捜査関係者や遺族によると、2人は事件の約1週間前、親族を交えた話し合いで交際を終えていた。しかし、伊藤容疑者はその後も、一方的に冨永さんにメッセージを送るなどしており、逮捕後の調べには、「よりを戻したかったが、説得できなかった」と供述している。
冨永さんと小学生時代からの友人という男性(19)らによると、伊藤容疑者は6月28日、冨永さんのアルバイト先に押しかけていた。駆けつけた冨永さんの父親に諭されるなどして立ち去ったという。
県警の発表などでは、冨永さんは翌29日午前10時15分頃、自宅マンションの駐車場で襲われた。伊藤容疑者はこの直前、冨永さんのバッグから抜き取ったとみられる鍵を使って室内にまで侵入。追い返された後、冨永さんが自宅から出てくるのを待ち伏せし、駐車場に一人でいたところを包丁で刺殺した疑い。冨永さんは上半身を中心に複数箇所を刺されたり切られたりしており、出血性ショックで死亡した。
県警は1日、伊藤容疑者を殺人容疑で横浜地検に送致した。