京都の「祇園祭」や「青森ねぶた祭」などの各地の祭りで、数十万円から100万円もするVIP席の設置が相次いでいます。その狙いを取材しました。
■官民あげ…訪日「富裕層」ターゲットに
京都三大祭りの一つ「祇園祭」のハイライト「山鉾巡行」。美しい装飾が施された山車(だし)が街の中を巡ります。
その「山鉾巡行」で今年、1席40万円の「プレミアム観覧席」が84席新設されます。
また、徳島の夏を彩る名物「阿波おどり」では、今年はじめて、20万円のプレミアム桟敷席(さじきせき)が20席。さらに、東北の三大祭りの一つ「青森ねぶた祭」でも100万円のVIPシートの販売が予定されるなど、高額なプレミアム席が相次いで登場しています。
とても手が出ない価格のように思えますが、こうしたVIP席のターゲットは海外の富裕層です。
富裕層向け訪日観光ツアーを企画 TOKYO LUXEY 前田知映社長:「一番いい席ですよね。一生に一度というか、なかなかない体験で。海外の方から見ると、日本のものって非常に安いというか、価値のわりにすごくお得なので。逆に安いと感じられる方もいらっしゃるのでは」
今、官民をあげて、日本を訪れる「富裕層」をターゲットにした取り組みが進んでいます。
富裕層向け訪日観光ツアーの企画などを手がける都内の企業が制作したPR動画。有名老舗すし店での食事だけではなく、実際に握ることができる体験に、著名な刀鍛冶の手ほどきを受けながらの鍛冶体験。
海外でも高い人気を誇るジャパニーズウイスキーを飲みながらアートを鑑賞するなど、日本の伝統文化を前面に打ち出したツアーを企画しています。
前田社長:「富裕層の方々っていうのは、お金を積んでもできないような体験とか、行けない場所とか人とか、そういうものに非常に価値を置かれるので。それについて説明してくださる方、私たちストーリーテラー(語り手)って呼んでいるんですけれども、そういうスト―リーテラーをちゃんとつけて、ここでしかない体験、オンリージャパンのものを出したら、すごく価値があると思って買われる方はいらっしゃると思います」
政府は、訪日客による消費額を年間5兆円にする目標を掲げていて、インバウンド商戦は今後、さらに激しくなりそうです。