東京・新橋のビルで起きた爆発火災で、火元となった飲食店の店長は「ガス臭いと思いながらも、たばこを吸おうと、ライターに火をつけた瞬間に爆発した」と話していることが分かりました。
■ドラレコが捉えた…爆発の瞬間
3日午後3時すぎ、昼下がりの東京・新橋を行き交う人たちの様子が撮影されていました。
何気ない日常の光景は、次の瞬間、一変します。車中の車のドライブレコーダーが捉えたのは、ビルで爆発が起きた瞬間の映像です。
巨大な爆発音とともに、ビルから吹き出すオレンジの炎。次の瞬間には、10メートルほど離れた車の近くまで、大きな看板のようなものが飛んできます。画面左側に目を向けると、通行人に大量のがれきが降り掛かる様子が捉えられていました。
男性はかぶっていた帽子が爆風で吹き飛ばされ、画面奥にいた女性も急いで建物の陰に逃げ込みます。向かいの店やビルの中にいた人も道路へ出てきて、変わり果てた光景にぼうぜんとしていました。
近くで働く人:「映画のワンシーンじゃないですけど、テロみたいな。今まで聞いたことない、すさまじい音でした」
撮影者;「上に人いるよ。人いる。あそこ2階、何だっけ。何だったっけ、2階。やばい、やばい、やばい」
警察;「有害なガス等が出る恐れがあります」
撮影者:「みんな今、逃げてきてる。逃げてきてる」
警察:「下がるようにお願いします。そこの交差点まで下げます」
■大量のガス引火 大規模爆発の可能性も
爆発があったのは、JR新橋駅から徒歩4分の雑居ビルの2階にあるバーです。
ホームページには「『人と馬と夢を繋ぐ場所』皆様の夢を叶えるための出会いの場所になりたい」と記載されています。カウンター席の前には白馬の絵が飾られ、「馬好きのオアシス」がコンセプトだったといいます。
爆発当時、開店の準備をしていたとみられ、店長の男性(52)と、店員の女性(53)、通行人の男性(53)など4人が重軽傷を負いました。
警視庁の聞き取りに対し、店長は「ガス臭いなと思いながら、喫煙室でたばこを吸おうと、ライターをつけた瞬間に爆発した」と話しているということです。
ガスの臭いは、ビルの外にいた人も感じていました。
現場近くにいた人:「今いる(地点から)100メートルくらい離れているが、結構ガス漏れの臭いがして、どこかしら漏れてるのかなと思ったが」 「1階のテナントの人が『ガス臭い』『ずっとガス臭いと思っていた』という話を聞いたので」
専門家は、大量のガスに引火したことで大きな爆発が起きた可能性を指摘します。
元東京消防庁 市民防災研究所・坂口隆夫理事:「表にいる人がガスの臭いを感じたということですから、かなりの量のガスが漏れていたと思いますね。道路側の方がかなり爆風で飛ばされたものが散乱してますから、かなり大きな爆発だったと思いますね」「真下の方には、窓枠とか電化製品みたいな真四角な白いものが落ちてましたから。当たり所、飛んできたものによって(通行人が)命を落としていたと思う」
■経営者を直撃 専門家の指摘と食い違いも
なぜ、大量のガスが漏れていたのか。番組はバーの経営者に直接、話を聞くことができました。
バーの経営者:「けがをした方には、申し訳ないと思う。ただ、バーの調理はIHを使っていて、ガスを使っていない。なぜ爆発が起きたのか分からない。警察からの連絡を待っています」
経営者の男性は爆発発生時には店内にいなかったといい、「店では調理が必要なフードメニューを提供しているものの、ガスは使っていない」と話しました。
しかし、専門家は「他の店舗などから、ガスが入ってきた可能性は低い」と指摘します。
坂口理事:「爆発をするということは、元栓を閉めない限りガスが出続けているわけですから。2階で火のついたガスは(他の店舗に)伝わるということがあるわけですが。ただ、(他の店舗は)被害受けてないんですよね。そうすると、2階が爆発した元であると、その店舗内にガス配管はそのままになっていたと考えられる。配管まで撤去は多分していないんじゃないか」
警視庁は4日、現場検証を行い、出火原因を詳しく調べる方針です。