神戸市西区の草むらでスーツケースに入れられた男児(6)の遺体が見つかった事件で、男児の祖母(57)は「(自身の)次男が他の3姉妹に遺体を隠すよう指示した」と兵庫県警に説明していることが、捜査関係者への取材で明らかになった。次男は祖母への暴行を主導していたとの情報もあり、自宅から鉄パイプとみられる複数の棒が押収されたことも判明した。
「祖母の片目周りにあざ」 深夜発見の男性証言 事件は29日で遺体発見から1週間。県警は次男が一家を支配して暴力を繰り返していた疑いもあるとみて、詳しい経緯を捜査している。

亡くなったのは保育園児の穂坂修(なお)ちゃんで、自宅の集合住宅から約800メートル先の草むらで22日に見つかった。背中全体に多数の殴打痕が確認され、死因は外傷性ショックだった。同居の祖母が監禁されていた自宅の押し入れから逃げ出し、この2日前に保護されたことで事件が発覚した。 県警は祖母への監禁と傷害の疑いで実子4人を逮捕した。4人は長女で修ちゃんの母親の沙喜(34)と次男の大地(32)、双子で次女の朝美(ともみ)(30)、三女の朝華(あさか)(30)の各容疑者=いずれも無職。沙喜容疑者は修ちゃんの遺棄について「きょうだい4人でスーツケースに遺体を入れて運んだ」と話していることが分かっている。 捜査関係者によると、祖母は修ちゃんの遺体について、大地容疑者が3姉妹に隠蔽(いんぺい)を持ちかけていたと説明。修ちゃんは19日ごろに死亡した可能性が高い。 また、4人のうち一部の容疑者が「祖母への暴行も次男から指示された」という趣旨の供述をしていることが明らかになった。祖母は背中などを鉄パイプのようなもので複数回殴られたとされる。修ちゃんの負傷部位と似ており、県警は関連を調べている。 一家の様子は大地容疑者の転居をきっかけに急変したと証言する近隣住民もいる。大地容疑者は2022年12月に移り住み、6人暮らしになった。70代の女性は「『俺の言うことが聞かれへんのか』という男性の怒鳴り声が聞こえるようになり、修ちゃんがベランダに閉め出されていた姿も見かけた」と明かした。 神戸市は事件後の記者会見で、23年4月に保育園が修ちゃんの体にあった複数のあざに気付き、市に連絡していたことを発表。一時保護も検討したものの家族に拒否されて見送っていたとしていたが、修ちゃんを養育が期待できない児童福祉法上の「要保護児童」と位置付けていたことも判明した。市は当時の対応について、第三者委員会を設置して検証する方針だ。 一方、事件を巡る容疑者らの動きも明らかになりつつある。捜査関係者によると、供述や関係者の目撃情報から、4人は修ちゃんの遺体を死後間もなく草むらに運び込んだとみられる。その後も全員で行動していたとされ、6月21~22日は京都市南区のインターネットカフェに滞在していたことを示す会員証が押収された。 ある捜査幹部は「最大の焦点は修ちゃんがなぜ亡くなったかだ。容疑者たちの供述を精査し、当時の家庭状況も含めて慎重に捜査していく必要がある」と語った。【中田敦子、澤俊太郎、山本康介、洪香】
事件は29日で遺体発見から1週間。県警は次男が一家を支配して暴力を繰り返していた疑いもあるとみて、詳しい経緯を捜査している。
亡くなったのは保育園児の穂坂修(なお)ちゃんで、自宅の集合住宅から約800メートル先の草むらで22日に見つかった。背中全体に多数の殴打痕が確認され、死因は外傷性ショックだった。同居の祖母が監禁されていた自宅の押し入れから逃げ出し、この2日前に保護されたことで事件が発覚した。
県警は祖母への監禁と傷害の疑いで実子4人を逮捕した。4人は長女で修ちゃんの母親の沙喜(34)と次男の大地(32)、双子で次女の朝美(ともみ)(30)、三女の朝華(あさか)(30)の各容疑者=いずれも無職。沙喜容疑者は修ちゃんの遺棄について「きょうだい4人でスーツケースに遺体を入れて運んだ」と話していることが分かっている。
捜査関係者によると、祖母は修ちゃんの遺体について、大地容疑者が3姉妹に隠蔽(いんぺい)を持ちかけていたと説明。修ちゃんは19日ごろに死亡した可能性が高い。
また、4人のうち一部の容疑者が「祖母への暴行も次男から指示された」という趣旨の供述をしていることが明らかになった。祖母は背中などを鉄パイプのようなもので複数回殴られたとされる。修ちゃんの負傷部位と似ており、県警は関連を調べている。
一家の様子は大地容疑者の転居をきっかけに急変したと証言する近隣住民もいる。大地容疑者は2022年12月に移り住み、6人暮らしになった。70代の女性は「『俺の言うことが聞かれへんのか』という男性の怒鳴り声が聞こえるようになり、修ちゃんがベランダに閉め出されていた姿も見かけた」と明かした。
神戸市は事件後の記者会見で、23年4月に保育園が修ちゃんの体にあった複数のあざに気付き、市に連絡していたことを発表。一時保護も検討したものの家族に拒否されて見送っていたとしていたが、修ちゃんを養育が期待できない児童福祉法上の「要保護児童」と位置付けていたことも判明した。市は当時の対応について、第三者委員会を設置して検証する方針だ。
一方、事件を巡る容疑者らの動きも明らかになりつつある。捜査関係者によると、供述や関係者の目撃情報から、4人は修ちゃんの遺体を死後間もなく草むらに運び込んだとみられる。その後も全員で行動していたとされ、6月21~22日は京都市南区のインターネットカフェに滞在していたことを示す会員証が押収された。
ある捜査幹部は「最大の焦点は修ちゃんがなぜ亡くなったかだ。容疑者たちの供述を精査し、当時の家庭状況も含めて慎重に捜査していく必要がある」と語った。【中田敦子、澤俊太郎、山本康介、洪香】