25日夕、刃物を持った男性によるトラブルに見舞われたJR山手線の車両には、産経新聞記者も同乗していた。
男性の身柄が確保された新宿駅のホームには、逃げる乗客が落としていったとみられるスマートフォンや帽子、靴などが散乱し、パニックの大きさを物語っていた。
午後4時ごろ、山手線外回りの電車は新宿駅に到着後もドアが開かず、トラブルを伝える車内放送が流れた。間もなくドアが開き、「車両に乗らないでください」というアナウンスが聞こえたものの、車内は落ち着いていた。
数十秒たった頃、ホーム上を駅員が慌ただしく走っていく姿が見え、「逃げないとヤバイよ」と大声で話ながら反対方向に逃げていく女性もいた。警察官も深刻な様子で集まってきたため、ホームに降りた。
数分後、「山手線内に刃物を持った男が現れましたが、確保されました」との構内アナウンスが流れ、駅員の車両点検の後、運転が再開された。
ホーム上には、逃げ惑う乗客が落としていったとみれるスマートフォンやキーケース、ペンなどが散乱。片足だけ脱げてしまったような靴も複数あった。
同じ電車に乗っていた歯科衛生士の女性(25)は「隣の車両から『キャー』と言いながら大勢の乗客が走って逃げてきたので、何が何だか分からないまま一緒に逃げた。もみくちゃになり、靴も脱げてしまった」と焦燥した様子で話し、はだしで靴を探していた。
靴などを探していた女性会社員(24)は「新宿で止まったのにドアが開かず、『何でだろう』と思っていると走って逃げてくる人がいた。流れにのってとにかく逃げるしかなかった」と話した。