北海道の苫小牧駅前にある建物。
以前はデパートとして営業していたが、2017年に経営不振などの影響により閉店。
巨大な“廃墟のデパート”として、町の玄関口である駅前に9年もの間、残されたままとなっているのだ。
現在の建物の様子を見てみると…
天井が剥がれ落ち、ボロボロの状態。外壁も朽ちてしまっている。
観光で訪れた人もビルを目の前にポツリ…
「一見不気味な感じがするね。なんで使ってないんだろうとかね」
ドローンで撮影した映像を見ると、利用客を出迎えた入り口はところどころタイルが崩れ、店舗部分の天井も垂れ下がっているなど、異様な雰囲気。
5月30日に撮影された施設内部の写真をみると、床一面に物が散乱している部屋や、食品サンプルが置き去りになったままの飲食店。
天井は今にも落ちてきそうな大変危険な状態になっていた。
なぜ危険な状態のまま放置されているのか…。
市は、背景にある複雑な事情を明かした。
苫小牧市役所 総合政策部・林 巧さん:複数の権利者がいらっしゃる建物ということで
建物がある場所の元々の地権者は約30人。施設の閉店後、地権者の大多数は市に土地を譲渡したが、一部が譲渡に応じなかったため、再開発が思うように進まないという。
以前、この“廃デパート”にテナントとして店を構えていた貴金属店の店主は、閉店時のトラブルについても明かした。
ヘリテージ・キムラ 木村司さん:突然退去を命じられまして、明後日からもう入れませんぐらいの話だったので、今のままだとマイナスでしかないので
突然の閉店により、即日の退去を求められたという木村さん。退去後の現状にも不安を抱いている。
この土地をうまく活用することはできないのか?
状況の打開に向け、市は今年新たな策を打ち出した。
苫小牧市役所 総合政策部・林 巧さん:一日も早く解決したいという思いで、「駅周辺ビジョン」を作って、今年度それを具体化して行くと
駅周辺を大きく再開発し、ホテルや商業施設などが入る駅ビルとバスターミナルや住宅オフィスが入るビルを建てる構想。10億円以上かかると見られる“廃デパート”の解体も、事業内容に盛り込みたい考えだ。
地元住民は、「子どもが遊べる場所だったり集まるようなところだったら面白いな」と話すなど、新しい街作りに期待の声が上がる苫小牧駅前。
しかし、先日行われた市長と地権者の話し合いでも進展はみられず、事業にゴーサインは出ていない。
ヘリテージ・キムラ 木村司さん:地権者の方がハンコを押さない限り、スタートラインにも立ってないわけなので、まずスタートラインに立ってから、色んなビジョンを進めてほしい
駅前の街並みを生まれ変わらせることはできるのか。問題解決への道筋をつけることが急がれる。
(「イット!」6月26日放送)