東京や大阪など大都市を中心に多数の業者が存在する「デートクラブ」。「エスコートクラブ」や「交際クラブ」とも呼ばれるが、システムとしては男性客と登録女性とのデートを斡旋するというもの。その歴史は古く、バブル期にはすでに業者が乱立状態にあり、1997年には都が『東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例』を施行している。これ以降、入会に際しては身分証明書の提示が義務づけられている。 ただし、仕組み自体は現在のパパ活に近く、最近では“パパ活斡旋業者”なんて呼ばれ方もする。業者が仲介するのでリスクが少なく、マッチングアプリよりデートクラブを選ぶ女性も多いようだ。
◆身体目的が怖いからデートクラブに登録
「最初はアプリも考えましたが大学時代にそこで繋がった方に付きまとわれて大変な目に遭ったので……。当時は単に出会い目的でやってましたが、パパ活だと相手も身体目的の方ばかりだろうし、やっぱり怖いなと思って。それでデートクラブに登録したんです」
そう語るのは、派遣オペレーターの橋本香奈実さん(仮名・32歳)。大学卒業後に就職したウェブサービス会社の給料は悪くなかったが欲しい物がいろいろあり、そこで思いついたのがデートクラブに登録してのパパ活だった。
彼女が登録していた業者は、1回デートに付き合って貰える報酬は1~2万円。それ以上の関係については自由恋愛を謳っていたため、どうするかは本人の裁量に委ねられていたそうだ。
◆“マイルール”を守り続けていたが…
「手っ取り早く稼ぎたいからお客さんと簡単に男女の関係になっちゃう子もいれば、安売りしない子もいたし、女の子によって結構違ったと思います。私は基本的に食事だけの報酬でも数をこなせばいいやと思っていたため、すぐホテルに誘おうとする方は断ってましたね。もちろん応じることもありますが、半分もなかったです。だから、1回会っておしまいの方ばかりでリピーターは少なかったです(苦笑)」
一方、関係を持った男性たちからはデートクラブを通さずに会おうとしきり言われていたが、「それはやんわりと断っていました」と香奈実さん。彼女なりの自衛策だったが、この秘密のアルバイトを始めて1年半が過ぎたころ、ついにそのマイルールを破ってしまう。
◆自分から誘う形でホテルへ…
相手は1回り年上の外資系証券会社に勤める佐々木蔵之介似の男性Fさん。知的だけど嫌味がなく、それでいて話上手。下心をあまり見せず、最初に会った時も2回目に会った時も食事だけでそれ以上誘ってこなかったため、逆に気になってしまったそうだ。
それが向こうの狙いだったのかもしれないが3回目に会った際、自分から誘う形でホテルへ。以来、男性とは店を通さずに会うようになり、デートクラブを退会してしまう。
◆客であるはずのパパに入れ込んでしまい…
「Fさんとは月2~3回と結構なペースで会っていました。でも、関係が始まって10か月が経ったころ、彼氏にバレしまったんです。デートクラブはすでに辞めていたため、そっちは隠し通せましたが、『お前、ほかに男がいるだろ』って。実は、しばらく前から疑われていたらしく、この数日前にFさんを連れて私の家に行き、そのままお泊りしたんですけど、手を繋いでマンションに入るまでの一部始終を見られていたんです。突然だったのでごまかすこともできず、ただ謝ることしかできませんでした。当然、彼氏は許してくれるわけもなく、『お前、最低だな』と言い残してそのまま別れることになりました」

◆三十路に突入で彼氏なし。パパ活が人生を狂わせた
「私たちのいたサークルは本当に仲が良くて、卒業後も定期的に集まっていたんです。彼氏と別れてから5年以上経ちますけど、以来誘われることは一度もありません。インスタには今も飲み会やキャンプの画像が定期的にアップされていますが、私は完全に“いない存在”として扱われています」
それでもFさんとゴールインしていればまだよかったが、こちらも彼氏と別れてから約5か月後に破局。突然、「今日で最後にしよう」と言われ、理由を尋ねても教えてくれなかったという。
「本命彼女がいて、私は遊びだったんだと思います。所詮はお金を介しての関係でしたから。結局、2人から捨てられた、友人たちも失ってしまいました。しかも、もう三十路を超えましたが今も恋人はいません。こんな未来になると知っていたらデートクラブに登録することもパパ活することも絶対にしなかったのに……」
軽い小遣い稼ぎのつもりで始めたパパ活は、彼女の人生を大きく狂わせることになってしまったようだ。
<TEXT/トシタカマサ>