東京のように家賃や物価の高い地域で一人暮らしをするのは大きな負担。特に20代の若い女性であれば、ほとんどの方は収入に余裕があるとはいえないだろう。そのため、昼間は会社勤めをしている女性であっても副業感覚でパパ活に手を染めるケースも少なくない。 5年前、それまで勤めていた会社を辞めて北海道から上京した伊藤里美さん(仮名・29歳)。東京では派遣社員として働いていたがその給料だけでは生活が苦しく、パパ活に手を染めてしまう。ただし、当時は特に罪悪感を感じていなかったという。
◆大手企業のアラフォー課長と月2回のパパ活契約
「私だけがやってるわけじゃないし、風俗やキャバクラでバイトするよりはまだいいかなって。実際に働いている方が聞いたら怒るでしょうけど、そこまで堕ちたくないと思っていました。パパ活はあくまでプライベートの範疇に過ぎず、仕事じゃないから嫌な相手とは会わなければいい。そんな風に自分に言い聞かせていました」
パパは有名マッチングアプリに登録してゲットし、相手は大手企業に勤めるアラフォー課長。半月に一度のペースで密会し、食事かお酒を軽く飲んだ後、ホテルに行くという流れで、パパからのお小遣いは1回2万5000円。アプリでやりとりしていた時、彼女のほうから提示した金額だ。
◆決してイケメンではなかったけど…
「調べたら2万円から3万円くらいの金額を設定している子が多かったので間を取りました。それでも月2回、夜の何時間が一緒に過ごすだけで5万円貰えますし、悪くないなって。それとマメな方でよくプレゼントもくれました。時計やアクセサリーに加え、『仕事関係で貰ったんだけど』って商品券や図書カードを頂いたり。お腹も少し出ているし、決してイケメンではなかったけど、物知りでいろんな話をしてくれるし、私の他愛のない話も嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。割り切った関係でしたがすごく居心地はよかったですし、できるだけこの関係を続けられたと思っていました」
ところが、男性との関係は予想外の形で突然終わりを迎える。2020年春、新型コロナが流行し始めると「しばらく会うのを控えよう」とメッセージが男性から届く。
でも、これに焦ったのが里美さん。この年の春にちょうど派遣先との契約が満了を迎え、新しい派遣先は出社早々にコロナの影響で出勤停止になってしまったからだ。
◆コロナ禍で収入を絶たれたなか、慰藉料を請求され…
「結局、そのまま派遣先の会社との契約は打ち切り。ああいう状況でしたから次の仕事も見つからず、なけなしの貯金を切り崩さなければならない状況でした。だから、彼になんとか会えないかLINEでやりとりしていましたがいい返事は貰えず、それどころか《当分連絡は控えてほしい。こちらか連絡するから》って。その様子からもう無理かなと半分諦めていましたが、その矢先に彼から着信があったんです。ところが、電話に出ると彼の奥さんで、『夫との件で話がしたい』と言われました」
このとき里美さんは男女の関係にあったことは咄嗟に否定するも男性の妻にはすでに証拠を掴んでいた。そのことを告げられると、もはや彼女に言い逃れする術はなかった。
後日、弁護士を通じて請求された慰謝料の額は200万円。彼女は自分でお金を用意することができず、実家の両親に泣きつくことに。コロナ禍の中、上京してた母親から会うなりいきなり平手打ちを食らったそうだ。
◆慰藉料は両親が肩代わり…実家に連れ戻される

「彼はパパ活とは最後まで言わなかったらしく、私たちの関係は不倫として扱われました。この後、私は北海道に連れ戻されることになり、わずか2年足らずで東京から去ることになりました」
◆パパ活のことは「口が裂けても言えない」
今も実家で暮らしているが、現在は高校時代の同級生と交際中。結婚を前提にした付き合いだがパパ活していたことは打ち明けておらず、今後も話すつもりはない。
「たぶん死ぬまで言わないと思います。もし知られたら絶対幻滅されるだろうし、口が裂けても言えません。周りにはパパ活のことは隠していたらたぶん大丈夫だとは思うけど、それでもバレたらどうしようって考えることはあります。ただ、すべて自分がやったことのツケなので……」
なお、パパ活相手の男性と妻は、この件が原因で離婚している。ひとつの家庭を壊してしまった事実は、ただの若気の至りでは済まされない。彼女が一生背負わなければならない業なのだ。
<TEXT/トシタカマサ>