56万8,600人──。日本政府観光局(JNTO)が発表した、今年2月に日本を訪問した韓国人の数である。記録的な日本旅行ラッシュといってもいい。SNSには日本旅行のレビューや写真がたくさんあがっている。
【写真で見る】〈明治神宮に行くことになったら、やってはいけないこと〉…信じがたい投稿の数々 しかし水を差すような動きも韓国内には見られる。反日系の代表的な左翼コミュニティサイト「クリアン(CLIEN)」には最近、韓国人の日本旅行ラッシュをネタにした投稿がほぼ毎日掲載されている。そこには「親日、売国行為」といった韓国語が溢れている。

なかには過激な投稿も見られ、一般市民も眉をひそめている。 今年1月末、〈東京の明治神宮に行くことになったら、やってはいけないこと〉という投稿があった。「お守りを買うこと」、「絵馬に願いごとを書くこと」をとりあげ、「絵馬に願いごとを書いて、朝鮮を侵略して植民地にした明治天皇に祈るなら、天皇はあなたたちを見下すだろう」と書かれていた。目を疑うような投稿が…(「クリアン」の投稿より、ぼかしは編集部の処理によるもの) そんなことを気にするなら明治神宮へ、いや日本へ行かなければいいのに……というのが普通の感覚だ。しかしこれに反日派のものと思しき賛同のコメントが数十個も書き込まれている。さらに韓国語で書かれた絵馬をやり玉にあげ、「最近の若者は歴史教育がなっていない」、「歴史を忘れた者で羞恥心もない」「日本が滅亡しろという願いごとを書かなければならない」などという、目を覆いたくなるような書き込みがつづく。秀吉像に中指を突き立てる 少し古くなるが、記者は2008年8月に明治神宮を訪問した。そこで偶然、韓国語で書かれた絵馬を見つけた。そこには「独島は絶対に韓国のものだ」と日本語で書かれていた。脇には同じ韓国人の絵馬がもうひとつあり、そこには、恋人に会うために来日し、彼との愛が永遠であることへの願いが書かれていた。恋愛成就を明治神宮に願い、同時に「独島は韓国の領土!」とも書く。その心理に首を捻った。このときもどんな生活を送っている人かと思った。「クリアン」への書き込みは、さらに過激になってきている。「私は大阪城に行くたびに写真を1枚ずつ撮ってくる」というコメントと共に、大阪城の豊臣秀吉銅像の前で中指を突き立てて撮った写真もあった。この写真を撮るために大阪旅行をしたような書きぶりなのだ。 日本旅行を利用した、悪意のある虚偽情報も投稿されているのも問題だ。3月中旬、あるユーザーは日本旅行に行く人へ向けた「私ならこんな時期にムカついて日本に行けない」との書き込みを掲載。韓国人観光客の間でも有名な、大阪の難波にある飲食店で写したという写真を載せ、「福島産米を使っている。日本への観光は命がけ」「この写真を日本に行く人に見せてあざ笑ってください」という文章を添えた。 福島への風評被害を煽る行為であるのはもちろんのこと、この写真は2019年に韓国内の日本製品不買運動の嵐が吹き荒れていた時に出回っていたものだったことが判明した。最近撮影されたものですらないというわけだ。野党の煽りも一因? クリアンに限らず、左翼系コミュニティのサイトには、露骨な反日と日本旅行者への蔑視が溢れている。多くが根拠の薄い、腹いせ的な投稿だが、こうした動きを左翼野党が煽っているという批判もある。 左翼政党である「共に民主党」は3月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄首相の首脳会談の直後に論評を発表した。会談を「屈辱外交」と切り捨てたうえ、李在明(イ・ジェミョン)党代表は、「半島の恒久的脅威となる日本の軍事大国化、平和憲法の無力化に同調しているようだ。日本の自衛隊が再びこの半島に進駐するのではないかと心配だ。戦って防がなければならない」と述べた。3月29日には「韓日首脳会談真相究明のための国政調査招集」の要求書を国会に提出し、今回の会談結果を受け入れていない。 団体職員のHさん(48)はこういう。「私は尹錫悦政権を支持しているわけではありませんが、左翼系コミュニティの言動は不快です。残念な気持ちになります。もし外国人が韓国の観光地であるソウルの景福宮や慶州の仏国寺に来て、韓国への不満が込められた紙をあちこちに貼られたら、どんな気持ちになるだろうかと思うんです。韓国人は不愉快な思いをするでしょ。そう考える余裕もないんでしょうか。自分たちのいうことは全面的に正しいと皆が思っているのでしょう」 これが一般の韓国国民の感覚なのだが……。ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト)デイリー新潮編集部
しかし水を差すような動きも韓国内には見られる。反日系の代表的な左翼コミュニティサイト「クリアン(CLIEN)」には最近、韓国人の日本旅行ラッシュをネタにした投稿がほぼ毎日掲載されている。そこには「親日、売国行為」といった韓国語が溢れている。
なかには過激な投稿も見られ、一般市民も眉をひそめている。
今年1月末、〈東京の明治神宮に行くことになったら、やってはいけないこと〉という投稿があった。「お守りを買うこと」、「絵馬に願いごとを書くこと」をとりあげ、「絵馬に願いごとを書いて、朝鮮を侵略して植民地にした明治天皇に祈るなら、天皇はあなたたちを見下すだろう」と書かれていた。
そんなことを気にするなら明治神宮へ、いや日本へ行かなければいいのに……というのが普通の感覚だ。しかしこれに反日派のものと思しき賛同のコメントが数十個も書き込まれている。さらに韓国語で書かれた絵馬をやり玉にあげ、「最近の若者は歴史教育がなっていない」、「歴史を忘れた者で羞恥心もない」「日本が滅亡しろという願いごとを書かなければならない」などという、目を覆いたくなるような書き込みがつづく。
少し古くなるが、記者は2008年8月に明治神宮を訪問した。そこで偶然、韓国語で書かれた絵馬を見つけた。そこには「独島は絶対に韓国のものだ」と日本語で書かれていた。脇には同じ韓国人の絵馬がもうひとつあり、そこには、恋人に会うために来日し、彼との愛が永遠であることへの願いが書かれていた。恋愛成就を明治神宮に願い、同時に「独島は韓国の領土!」とも書く。その心理に首を捻った。このときもどんな生活を送っている人かと思った。
「クリアン」への書き込みは、さらに過激になってきている。「私は大阪城に行くたびに写真を1枚ずつ撮ってくる」というコメントと共に、大阪城の豊臣秀吉銅像の前で中指を突き立てて撮った写真もあった。この写真を撮るために大阪旅行をしたような書きぶりなのだ。
日本旅行を利用した、悪意のある虚偽情報も投稿されているのも問題だ。3月中旬、あるユーザーは日本旅行に行く人へ向けた「私ならこんな時期にムカついて日本に行けない」との書き込みを掲載。韓国人観光客の間でも有名な、大阪の難波にある飲食店で写したという写真を載せ、「福島産米を使っている。日本への観光は命がけ」「この写真を日本に行く人に見せてあざ笑ってください」という文章を添えた。
福島への風評被害を煽る行為であるのはもちろんのこと、この写真は2019年に韓国内の日本製品不買運動の嵐が吹き荒れていた時に出回っていたものだったことが判明した。最近撮影されたものですらないというわけだ。
クリアンに限らず、左翼系コミュニティのサイトには、露骨な反日と日本旅行者への蔑視が溢れている。多くが根拠の薄い、腹いせ的な投稿だが、こうした動きを左翼野党が煽っているという批判もある。
左翼政党である「共に民主党」は3月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄首相の首脳会談の直後に論評を発表した。会談を「屈辱外交」と切り捨てたうえ、李在明(イ・ジェミョン)党代表は、「半島の恒久的脅威となる日本の軍事大国化、平和憲法の無力化に同調しているようだ。日本の自衛隊が再びこの半島に進駐するのではないかと心配だ。戦って防がなければならない」と述べた。3月29日には「韓日首脳会談真相究明のための国政調査招集」の要求書を国会に提出し、今回の会談結果を受け入れていない。
団体職員のHさん(48)はこういう。
「私は尹錫悦政権を支持しているわけではありませんが、左翼系コミュニティの言動は不快です。残念な気持ちになります。もし外国人が韓国の観光地であるソウルの景福宮や慶州の仏国寺に来て、韓国への不満が込められた紙をあちこちに貼られたら、どんな気持ちになるだろうかと思うんです。韓国人は不愉快な思いをするでしょ。そう考える余裕もないんでしょうか。自分たちのいうことは全面的に正しいと皆が思っているのでしょう」
これが一般の韓国国民の感覚なのだが……。
ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト)
デイリー新潮編集部