「行為が終わると『拭くものを持ってくる』と言って、見えるところに封筒をおいて立ち去っちゃって、帰ってきませんでした。後で中身を確認したら“100万円”って書いてあるおもちゃの偽札だったんです」(被害女性)
【画像】ニセ札パパとの生々しいやりとり実際に使われたおもちゃのお札 文藝春秋 いま、妖怪がパパ活市場を徘徊している。「偽札パパ」という妖怪がーー。現場でトラブルが起きやすいパパ活 日常生活でも当たり前のように耳にするようになったパパ活は、若い女性と経済的に余裕のある年嵩の男性、いわゆる「パパ」とが、金銭を介してマッチングすることをいう。喫茶店でおしゃべりするだけのライトなものから、セックスまで含む私的な売買春まで、ひと口にパパ活と言っても、その範囲は広く複雑だ。
ゆえに、事前の打ち合わせが大事になる。金額や場所、プレイ内容についてたがいのニーズをすりあわせておかなければならない。SNSの発達で、相手を探す苦労も詳細を詰める面倒も軽減されたというが、見ず知らずの赤の他人とのやり取りだけに、いざという時に現場でトラブルが起こることも少なくない。「ブラックリスト」入りする悪質なパパも 事前の条件を守らない悪質なパパも存在する。そんなマナーを守らない、条件を破るパパは、パパ活女子たちの間で「ブラックリスト」入りする。SNSのアカウントや本名、容姿やメッセージの特徴などが情報共有されることも珍しくない。 2023年に入ってから、ブラックリストに名を連ねる悪質パパの筆頭として、パパ活女子の間で急速に話題になっているのが「偽札パパ」だ。その正体を仮にX氏とする。X氏は得てして実態の見えづらいパパ活トラブルのうち、最もタチの悪い「金を払わない」というパパにあるまじき人物である。「はじめは相場より高めに言い寄ってきたんです。私の場合は7(万円)。少し怪しいなと思ったけど、結局は生外(なまそと)でOKしました」猫なで声を出し、清瀬駅近くのビルの薄暗い地下へ 大学生のAさんは、Twitter上でハッシュタグなどを駆使してパパ活を行っている。X氏とはSNSのダイレクトメッセージ(DM)を介して知り合い、“偽札”の被害に遭った。「Xはやり取りしているときは居酒屋の経営をしていると言ってました。東京郊外の駅に呼ばれたんですけど、はじめに封筒に入った現金を見せてくれたし、猫なで声みたいな感じで穏やかに接してくれてそこまで悪い印象はなかったです。『仕事の合間だから地下でもいい?』って言われて、駅から1分くらいのところにあるビルの薄暗い地下でやりました。 行為が終わると『拭くものを持ってくる』と言って、見えるところに封筒をおいて立ち去っちゃって、後で中身を確認したら“100万円”って書いてあるおもちゃのお札だったんです。最初はまじでムカついたんですけど、後で冷静になったら『偽札って(笑)』ってなっちゃいました」6万円を見せ「住んでいるアパート」の階段の踊り場で 会社員のBさんもTwitter上でX氏と知り合った。「DMがきたのは2月のはじめで、その日中に会うことになりました。『大人(性行為)あり4(万円)くらいで会えませんか』と言っていたんですが、最終的に6に値上げして生外になりました。仕事の合間にホテルでやりたいって言われて某駅の前で合流したんですが、時間がないからと住んでいるアパートに行こうと言われました。 自宅って言われてかなり渋ったけど、本物の6万円を事前に見せてくれたし、OKしました。部屋でするのかと思ったら『同棲中の女がいるから』とか言い出して、結局5階と6階の間にある階段の踊り場で行為しました。 私の場合は最後までやらずに、途中で『女から連絡がきた』と立ち去っちゃってそのまま帰ってこなかったです。する前にひとつ上の踊り場に封筒を置いてくれていたので中身を見たらおもちゃのお札でした。パパ活してる仲間に聞いたら、なんか昔からずっとこのやり方だったみたいで、呆れるを通り越してもうプロだなっていうか(笑)」 実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。 AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。 しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。偽札パパことX氏を直撃すると… こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。 しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」 X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
実際に使われたおもちゃのお札 文藝春秋
いま、妖怪がパパ活市場を徘徊している。「偽札パパ」という妖怪がーー。
日常生活でも当たり前のように耳にするようになったパパ活は、若い女性と経済的に余裕のある年嵩の男性、いわゆる「パパ」とが、金銭を介してマッチングすることをいう。喫茶店でおしゃべりするだけのライトなものから、セックスまで含む私的な売買春まで、ひと口にパパ活と言っても、その範囲は広く複雑だ。
ゆえに、事前の打ち合わせが大事になる。金額や場所、プレイ内容についてたがいのニーズをすりあわせておかなければならない。SNSの発達で、相手を探す苦労も詳細を詰める面倒も軽減されたというが、見ず知らずの赤の他人とのやり取りだけに、いざという時に現場でトラブルが起こることも少なくない。
事前の条件を守らない悪質なパパも存在する。そんなマナーを守らない、条件を破るパパは、パパ活女子たちの間で「ブラックリスト」入りする。SNSのアカウントや本名、容姿やメッセージの特徴などが情報共有されることも珍しくない。
2023年に入ってから、ブラックリストに名を連ねる悪質パパの筆頭として、パパ活女子の間で急速に話題になっているのが「偽札パパ」だ。その正体を仮にX氏とする。X氏は得てして実態の見えづらいパパ活トラブルのうち、最もタチの悪い「金を払わない」というパパにあるまじき人物である。
「はじめは相場より高めに言い寄ってきたんです。私の場合は7(万円)。少し怪しいなと思ったけど、結局は生外(なまそと)でOKしました」猫なで声を出し、清瀬駅近くのビルの薄暗い地下へ 大学生のAさんは、Twitter上でハッシュタグなどを駆使してパパ活を行っている。X氏とはSNSのダイレクトメッセージ(DM)を介して知り合い、“偽札”の被害に遭った。「Xはやり取りしているときは居酒屋の経営をしていると言ってました。東京郊外の駅に呼ばれたんですけど、はじめに封筒に入った現金を見せてくれたし、猫なで声みたいな感じで穏やかに接してくれてそこまで悪い印象はなかったです。『仕事の合間だから地下でもいい?』って言われて、駅から1分くらいのところにあるビルの薄暗い地下でやりました。 行為が終わると『拭くものを持ってくる』と言って、見えるところに封筒をおいて立ち去っちゃって、後で中身を確認したら“100万円”って書いてあるおもちゃのお札だったんです。最初はまじでムカついたんですけど、後で冷静になったら『偽札って(笑)』ってなっちゃいました」6万円を見せ「住んでいるアパート」の階段の踊り場で 会社員のBさんもTwitter上でX氏と知り合った。「DMがきたのは2月のはじめで、その日中に会うことになりました。『大人(性行為)あり4(万円)くらいで会えませんか』と言っていたんですが、最終的に6に値上げして生外になりました。仕事の合間にホテルでやりたいって言われて某駅の前で合流したんですが、時間がないからと住んでいるアパートに行こうと言われました。 自宅って言われてかなり渋ったけど、本物の6万円を事前に見せてくれたし、OKしました。部屋でするのかと思ったら『同棲中の女がいるから』とか言い出して、結局5階と6階の間にある階段の踊り場で行為しました。 私の場合は最後までやらずに、途中で『女から連絡がきた』と立ち去っちゃってそのまま帰ってこなかったです。する前にひとつ上の踊り場に封筒を置いてくれていたので中身を見たらおもちゃのお札でした。パパ活してる仲間に聞いたら、なんか昔からずっとこのやり方だったみたいで、呆れるを通り越してもうプロだなっていうか(笑)」 実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。 AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。 しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。偽札パパことX氏を直撃すると… こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。 しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」 X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「はじめは相場より高めに言い寄ってきたんです。私の場合は7(万円)。少し怪しいなと思ったけど、結局は生外(なまそと)でOKしました」
大学生のAさんは、Twitter上でハッシュタグなどを駆使してパパ活を行っている。X氏とはSNSのダイレクトメッセージ(DM)を介して知り合い、“偽札”の被害に遭った。
「Xはやり取りしているときは居酒屋の経営をしていると言ってました。東京郊外の駅に呼ばれたんですけど、はじめに封筒に入った現金を見せてくれたし、猫なで声みたいな感じで穏やかに接してくれてそこまで悪い印象はなかったです。『仕事の合間だから地下でもいい?』って言われて、駅から1分くらいのところにあるビルの薄暗い地下でやりました。
行為が終わると『拭くものを持ってくる』と言って、見えるところに封筒をおいて立ち去っちゃって、後で中身を確認したら“100万円”って書いてあるおもちゃのお札だったんです。最初はまじでムカついたんですけど、後で冷静になったら『偽札って(笑)』ってなっちゃいました」6万円を見せ「住んでいるアパート」の階段の踊り場で 会社員のBさんもTwitter上でX氏と知り合った。「DMがきたのは2月のはじめで、その日中に会うことになりました。『大人(性行為)あり4(万円)くらいで会えませんか』と言っていたんですが、最終的に6に値上げして生外になりました。仕事の合間にホテルでやりたいって言われて某駅の前で合流したんですが、時間がないからと住んでいるアパートに行こうと言われました。 自宅って言われてかなり渋ったけど、本物の6万円を事前に見せてくれたし、OKしました。部屋でするのかと思ったら『同棲中の女がいるから』とか言い出して、結局5階と6階の間にある階段の踊り場で行為しました。 私の場合は最後までやらずに、途中で『女から連絡がきた』と立ち去っちゃってそのまま帰ってこなかったです。する前にひとつ上の踊り場に封筒を置いてくれていたので中身を見たらおもちゃのお札でした。パパ活してる仲間に聞いたら、なんか昔からずっとこのやり方だったみたいで、呆れるを通り越してもうプロだなっていうか(笑)」 実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。 AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。 しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。偽札パパことX氏を直撃すると… こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。 しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」 X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
行為が終わると『拭くものを持ってくる』と言って、見えるところに封筒をおいて立ち去っちゃって、後で中身を確認したら“100万円”って書いてあるおもちゃのお札だったんです。最初はまじでムカついたんですけど、後で冷静になったら『偽札って(笑)』ってなっちゃいました」
6万円を見せ「住んでいるアパート」の階段の踊り場で 会社員のBさんもTwitter上でX氏と知り合った。「DMがきたのは2月のはじめで、その日中に会うことになりました。『大人(性行為)あり4(万円)くらいで会えませんか』と言っていたんですが、最終的に6に値上げして生外になりました。仕事の合間にホテルでやりたいって言われて某駅の前で合流したんですが、時間がないからと住んでいるアパートに行こうと言われました。 自宅って言われてかなり渋ったけど、本物の6万円を事前に見せてくれたし、OKしました。部屋でするのかと思ったら『同棲中の女がいるから』とか言い出して、結局5階と6階の間にある階段の踊り場で行為しました。 私の場合は最後までやらずに、途中で『女から連絡がきた』と立ち去っちゃってそのまま帰ってこなかったです。する前にひとつ上の踊り場に封筒を置いてくれていたので中身を見たらおもちゃのお札でした。パパ活してる仲間に聞いたら、なんか昔からずっとこのやり方だったみたいで、呆れるを通り越してもうプロだなっていうか(笑)」 実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。 AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。 しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。偽札パパことX氏を直撃すると… こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。 しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」 X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
会社員のBさんもTwitter上でX氏と知り合った。
「DMがきたのは2月のはじめで、その日中に会うことになりました。『大人(性行為)あり4(万円)くらいで会えませんか』と言っていたんですが、最終的に6に値上げして生外になりました。仕事の合間にホテルでやりたいって言われて某駅の前で合流したんですが、時間がないからと住んでいるアパートに行こうと言われました。 自宅って言われてかなり渋ったけど、本物の6万円を事前に見せてくれたし、OKしました。部屋でするのかと思ったら『同棲中の女がいるから』とか言い出して、結局5階と6階の間にある階段の踊り場で行為しました。 私の場合は最後までやらずに、途中で『女から連絡がきた』と立ち去っちゃってそのまま帰ってこなかったです。する前にひとつ上の踊り場に封筒を置いてくれていたので中身を見たらおもちゃのお札でした。パパ活してる仲間に聞いたら、なんか昔からずっとこのやり方だったみたいで、呆れるを通り越してもうプロだなっていうか(笑)」 実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。 AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。 しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。偽札パパことX氏を直撃すると… こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。 しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」 X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
「DMがきたのは2月のはじめで、その日中に会うことになりました。『大人(性行為)あり4(万円)くらいで会えませんか』と言っていたんですが、最終的に6に値上げして生外になりました。仕事の合間にホテルでやりたいって言われて某駅の前で合流したんですが、時間がないからと住んでいるアパートに行こうと言われました。
自宅って言われてかなり渋ったけど、本物の6万円を事前に見せてくれたし、OKしました。部屋でするのかと思ったら『同棲中の女がいるから』とか言い出して、結局5階と6階の間にある階段の踊り場で行為しました。
私の場合は最後までやらずに、途中で『女から連絡がきた』と立ち去っちゃってそのまま帰ってこなかったです。する前にひとつ上の踊り場に封筒を置いてくれていたので中身を見たらおもちゃのお札でした。パパ活してる仲間に聞いたら、なんか昔からずっとこのやり方だったみたいで、呆れるを通り越してもうプロだなっていうか(笑)」
実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。 AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。 しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。偽札パパことX氏を直撃すると… こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。 しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」 X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
実際にBさんとX氏が性行為を行ったとされるアパートの住人に話を聞くと「最近階段の踊り場にティッシュのごみが捨ててあって不審に思っていました」と語った。
AさんやBさんによると、X氏の被害に遭ったパパ活女子らはほかにもおり、彼女らがTwitter上で情報発信を始めると、X氏の手口は広く知られることになった。かくしてX氏は「偽札パパ」としてたちまちブラックリスト入りしたのだという。
しかし、X氏は、ブラックリストなどどこ吹く風。3月に入ってからも変わらずパパ活を続け、女性たちにおもちゃのお金を掴ませ続けているという。
こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。
「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。
しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」
X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。「弁護士に任せてますので」――被害を訴える声は間違っているということですか?「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」 女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。 だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」――反省というと?「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?「偽札は使っていないですよ」ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?「まあ、はい」 X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。◆◆◆ コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。 昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。 今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))
X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。
――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。
「弁護士に任せてますので」
――被害を訴える声は間違っているということですか?
「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」
女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。
だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。
――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?
「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」
――反省というと?
「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」
――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?
「偽札は使っていないですよ」
ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?
「まあ、はい」
X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。
◆◆◆
コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。
昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。
今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。
(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))