おひとりさま老後の住まいは「終の棲家」にはならない!?おひとりさま老後の住まいは、大きく分けて次の3パターンに集約できるでしょう。
1.親の家に同居2.持ち家3.賃貸
最初に、肝に銘じておいてほしいことがあります。それは、どのパターンの住まいを選んでも、「終の棲家」にはならない可能性があるということ。長生きをすると、ひとりで生活するのは難しくなり、ケアを受けられる住まいに住み替えが必要になるかもしれないからです。
「終の棲家」になる可能性のある住まいについては、別の機会に触れさせていただくとして、ここでは、3つのパターンの住まいに潜む落とし穴と、回避するための対策を考えてみます。
パターン1:親の家に同居親の家に同居しているおひとりさまは、親を扶養しているのでなければ、住居費や食費などとして家に入れているお金は、持ち家・賃貸の人と比べて少ないはず。もしかしたら、家にはお金を入れずに住まわせてもらっている人もいるかもしれませんね。
どちらにしても、住まいにかかるお金が少なくてすむ分、貯蓄が積み上がっていて当然です。というより、貯蓄を積み上げていないと、落とし穴を回避できないかもしれませんよ。
さて、このパターンのおひとりさまには、どんな落とし穴が潜んでいるでしょう。親の介護と相続、建て替え・リフォーム費用の3つが考えられます。
▼親の介護をする可能性大おひとりさま自身が老後の域に入るころは、親も高齢ですでに介護が必要な状態になっているか、なるのは時間の問題と思われます。親が要介護状態になると、同居しているだけに、介護のメインの担い手にならざるを得ないでしょう。
介護資金は親の年金か貯蓄で賄えればいいですが、足りなければ補てんしないといけないかもしれません。兄弟姉妹がいれば、その人たちにも負担してもらうとしても、自分の老後資金が目減りすることになります。
貯蓄を積み上げてあれば、回避できるかもしれない落とし穴ですね。
▼相続トラブルの恐れも親が死亡すると、相続が発生します。そのとき、ひとりっ子なら家も含めた財産をそっくり受け継ぎ、家に住み続けられます。
でも、兄弟姉妹がいるとどうなるでしょう。親と同居していて介護もしてくれたのだからと、家を相続することを認めてくれればいいですが、家も含めた財産の分配を要求されたら?
こんな落とし穴に落ちそうになったときにも、貯蓄が役に立ちます。家を相続させてもらう代わりに、兄弟姉妹に現金を渡すわけです。もちろん、家に住み続けることにこだわりがないなら、兄弟姉妹に明け渡す、売却して現金化して分配するのもアリです。
▼建て替え・リフォーム費用も必要に?さて、親が死亡した後、そのまま住み続けられるとしても、建物はかなり老朽化しているでしょうから、建て替えかリフォームが必要になります。これにも、貯蓄が役に立ちますね。建て替える場合は、「終の棲家」になり得るような建物にするといいでしょう。
リフォームは、あまりお金をかけないで最低限にとどめたほうがいいかもしれません。体がきかなくなって住み替えが必要になるからです。どちらの場合も、ローンで借りるのは避けましょう。
パターン2:おひとりさま自身の持ち家おひとりさまがローンを借りて住宅を購入した場合、定年退職時には完済しておきたいもの。退職後も働くにしても、収入は減るでしょうし、公的年金を受け取れるようになっても金額が少なめなので、ローン返済が続くと生活が厳しいからです。
もちろん、退職金やそれまでの貯蓄で残金を返済してもいいですが、老後資金が心細くならない程度にしましょう。
さて、持ち家の落とし穴は、長年にわたって住んでいると内装が老朽化してくることと、ケアが必要になって住み替えることなったときに住まいをどうするかです。
前者はリフォームで対応することになりますが、最低限にとどめておくこと、ローンは借りないことを心掛けてください。後者は、売るか・貸すかで、老後資金を積み増すことができます。
ただし、売れない物件、借り手がつかない物件だと、そのまま持ち続けることになり、固定資産税や管理費などのコストがかかり続けます。これも、落とし穴の1つといえそうです。
パターン3:賃貸賃貸住まいは、好きなように住み替えられるので、親の家や持ち家の人に比べると、気楽かもしれません。ケアが必要になったら、そのまま、ケアつきの住まいに住み替えればいいのですから。
落とし穴があるとしたら、親と同居・持ち家の人(ローンはないケース)に比べて割高な賃貸料がかかり続けること、住まいを売ったり貸したりで老後資金を積み増せないことでしょうか。その分、貯蓄をしておかないと、住まいのグレードをどんどん落としていかざるを得なくなります。
どの住まいのパターンでも、貯蓄しておくのは大原則結論としては、老後の住まいで落とし穴に落ちないよう、お金を貯めておきなさいということです(もっともこれは、おひとりさま老後に限ったことではありませんが)。
そして、家も含めて、自分の財産(残った場合)は誰に引き継いでもらいたいのか、遺言書を書いておきましょう。でないと、意に反する人の手に財産がわたってしまいます。