4月5日、『週刊金曜日』が在日韓国人男性が銀行窓口で預金口座を開設しようとした際に起きたトラブルを報じ、ネットで波紋を広げている。
本人確認として運転免許証を提示したが特別永住者証明書を提示しなかったため口座が開設できず、それが”外国人差別”に当たるとして人権救済申立書を提出したと『週刊金曜日』が報じた。
記事によると、男性は韓国籍の在日3世で、2021年12月に口座開設のため大阪市内のりそな銀行の支店窓口を訪問。運転免許証を提示し、韓国籍で特別永住者であることを告げると、特別永住者証明書の提示を求められたが、男性は運転免許証で本人確認をしているとして提示する必要はないと主張したという。
支店長が、銀行の内規を示しながら日本国籍でない顧客については国籍、在留資格、在留期間を確認できる書類の提示を求めていると説明したが、男性は特別永住者証明書などを提示しなければ口座を開設できないというのは差別的取り扱いだとして提示を拒否。男性は他の2金融機関でも同様の扱いを受け、人権救済申し立てに踏み切ったと報じている。
このニュースがネットで配信されると、たちまち話題になり一時Twitterでは「外国人差別」がトレンドワード入り。ネット上では、内規に従ったものであることから銀行の対応は問題ないのでは、と指摘する声もあった。
特別永住者の本人確認事項において、銀行窓口で在留期間などを必須の確認事項とする法的根拠はないため、調査方法は各銀行に委ねられている。そこでメガバンク3行ではどのような対応をしているか取材した。
三菱UFJ銀行のホームページによると、店舗での口座開設時に必要な、運転免許証やマイナンバーカードなどの”顔写真付き公的書類”は「うち1点」と記載されている。三菱UFJ銀行の広報担当者によると、
「ホームページに記載のある“顔写真付き公的書類”のうち1点あれば形式上は作れます。なので、今回問題となっているような、運転免許証に加えて特別永住者証明書が必要という認識は手前どもは持っていないという風に理解いただいて結構です。
今回のケースでいえば、運転免許証だけで口座は作れます。ただ、在留カードを持っている外国籍の方の場合は、在留期間等の確認のために在留カードが必要になるので、逆にいえば、在留カードさえあれば基本的に口座は作れるとご理解いただければいいかなと思います」
三井住友銀行のホームページでは、<1点でお手続いただける必要書類の例>として、(1)「在留カード・特別永住証明書」(2)「運転免許証」(3)「個人番号(マイナンバー)カード」 (4)「各種健康保険被保険証」等が挙げられている。広報担当者によると、
「ホームページに書いてあるとおり、基本的に窓口でのお手続きであれば、どれか1点確認させていただければ口座の開設のお手続きはできます。”顔写真付きのご本人しか入手ができない公的証明書”というカテゴライズがされていまして、それに該当するものであれば1点で手続きができます。なので、運転免許証1点でご開設いただけますが、日本の運転免許証にはなると思います。今回のケースであれば、普通の運転免許証があれば問題ございません。
ただ、ホームページ上からのお申し込みに関しては、法令によって2点求められます。また、口座を作って海外送金をするといったケースの場合、色々と手続きは変わりますが、口座開設の観点であればホームページに書いてある通りのご認識で問題ございません」
みずほ銀行のホームページでも「顔写真付き本人確認書類の原本(いずれか1点)」と、運転免許証や在留カード、特別永住者証明書などを挙げている。広報担当者によると、
「ホームページにある通り、特別永住者の方は免許証に限らず、ご本人確認資料があれば大丈夫です。例えば免許証の場合、免許証と特別永住者証明書の両方を求めるといったことはありません。特別永住者証明書のみでもいいですし、免許証のみでも大丈夫です。在留カードの場合は、原本のご提示はお願いしております」
メガバンク3行は全て「この男性のケースであれば口座は開設できた」ということで一致した結果となった。