結婚する前は理想的な相手だと思っていたのに、結婚してみたら「なんか違う…」。二度と会いたくないと思えるほど、人として許しがたい存在になることもあります。
利根晴香さん(仮名・41歳)も、夫にモラハラと浮気をされ苦しんだ一人。そのつらい15年間について、お話を聞きました。
◆無言でスマホをいじり、育児も家事も一切しない夫
夫との出会いは職場。顔は全くタイプではなかったものの、優しさや気遣いに心を動かされ、付き合うことに。1年ほど経った頃、夫の実家に連れていかれ、とんとん拍子で結婚に至りました。
「『結婚しよう』というやりとりはなく、彼の母親が『結婚する』と受け取ったので、いつの間にか結婚していました」
ノープロポーズというめずらしい形で結婚し、すぐに子どもを妊娠。その頃の夫は結婚前と変わらず優しいままでしたが、子どもが生まれて育児が始まると、ガラッと変貌。家事も育児も全くしません。
「当時は初めての育児に手いっぱいで、夫が何もしないことに気づけませんでした。とにかく、ただ大変で。でも2人目を妊娠した頃、さすがに夫の無関心さに腹が立つようになったんです」
つわりで寝ていても、子どもがお腹を空かせていても、夫は一切関与せず。無言でスマホをいじるだけで、利根さんが食事を作るのを待っているのです。
◆「◯◯ちゃん、会いたいな」職場の女性にLINE
そんな時、職場の先輩から「後輩女性と仲が良すぎるのでは」と密告が。
「不器用な人なので、まさか浮気なんて…と思っていましたが、ある時、子どもが泣いていてもスマホをいじっているので、さすがの私もキレてしまい『見せろ』と問い詰めたんです。そしたら、その噂の女性とLINEしていて。『◯◯ちゃん、会いたいな(ハートマーク)』とか書いていて、本当にショックでした」
しかし、夫は「ただLINEをしているだけ」の一点張り。仕方なく許しましたが、その後も夫は変わらず。利根さんは、深夜の授乳中に横で爆睡する夫に、「殺意すら芽生えることもあった」と言います。
◆何もしないだけでなく、子どもに怒鳴るように
2人目の育休を終え、職場に復帰した利根さん。残業で夫より遅く帰宅した日も、子どもはお菓子を食べて飢えをしのいでいる状況。夫は何もしてくれません。
「ただ無言でスマホを触っているだけでなく、明らかに機嫌が悪くて。物を投げたり子どもに当たったりして、とても怖いんです。もともと無口な人なのですが、それが逆に恐ろしくて。子どもたちもビクビクしていて、とてもかわいそうでした」
しかも、また夫が職場の女性とLINEをしていたことが発覚。しかし決定的な不貞の証拠はなく、その時も許さざるを得ませんでした。
その後、夫への愛はなくなっていたものの、夫に無理やり体を求められ、3人目の子どもを妊娠。夫は日増しに何もしなくなり、利根さんの負担は増える一方でした。
◆若い女性との密会が発覚し、ついに爆発
3人目を出産後、夫妻に転勤の辞令が出て、利根さんが数か月先に引っ越すことに。別居中、仕事とワンオペ育児で大変な状況を夫に話したくて連絡を取りますが、なかなか電話に出てくれません。
「子どもが電話しても『無理』とすぐ切られました。一緒に住むようになってからも嬉しそうな感じはなく、むしろよそよそしくて。なんか怪しいなと思ったら、やはり私がいない間に浮気をしていたんです」
またも先輩の密告から、夫が24歳の女性と逢引きしていたことが判明。さすがの利根さんも堪忍袋の緒が切れてしまいました。
◆血尿が出るほど体が限界だったのに

それから利根さんはしばらく耐えましたが、何も変わらない夫にほとほと愛想が尽き、離婚を決意。夫は拒み続けたものの、話し合いを重ね、約1年で離婚が成立しました。
「今思えば、ねぎらいの言葉とか、料理を『美味しい』って言われたことが一度もないんですよね。義母の料理は、即『うまっ!』とか言うのに。子どもも私も、別れてから本当に幸せです」
◆夫と離婚した後にやってきた“大逆転”
実は後日談として、夫との離婚話が出た頃から利根さんを支えてくれる大切な存在が現れました。
「7歳も年下の後輩が、突然告白してきたんです。年下のイケメンだし、私は当時結婚していたしで全く意識していなかったのですが、強くアプローチされるうちに、気持ちはどんどん彼の方に向かっていて。『離婚が成立するまで待って』と彼に告げ、今ようやく無事に付き合うことができました」
出会いはどこから生まれるか、わからないもの。自分のためにならない人間関係を解消することで、自分にマッチした人が現れるのかもしれませんね。
―シリーズ「二度と会いたくない人」―<取材・文/関由佳 イラスト/パウロタスク>