たこ焼き屋で売られていた「白い粉」の正体は、まさかの麻薬だった。
「粉モノ屋が別のコナを売っていた」というシャレにならない事件が発覚したのは名古屋市中区。麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたのは、たこ焼き店経営者・島津真道容疑者(29)とその従業員の洲崎孝勇容疑者(31)だ。
「2人は2月15日、島津容疑者のたこ焼き店で販売目的のコカイン0.7グラム、末端価格で1万4000円相当を所持した疑いが持たれています。たこ焼き店はテイクアウト専門店で、決められた『隠語』を言うと、容疑者らがたこ焼きを手渡す際、コカインを同じ袋に入れて、客に販売するシステムだったといいます」(全国紙社会部記者)
元神奈川県警の刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が、事件の背景を解説する。
「どのくらいで摘発されたかによりますが、常習的に違法薬物売買が行われていた可能性はあると思います。つい最近、東京では美容室で大麻を売っていた事件がありました。実は正規の職業の裏で違法に麻薬を売るのはよくあるパターン。隠れて麻薬だけを売っていたらすぐばれてしまう。その点、何かの店をオープンにやっているとよい隠れ蓑になりますからね。コカインは『コーク』や『スノー』などの隠語で表現されますが、それを伝えれば買えるという情報がネットや口コミで共有されているのでしょう。麻薬を求める者たちのコミュニティーというのがあるからです。仮の姿を使っている点で手口が巧妙化しています」
さらに警察は売上金が三重県最大規模の風俗店グループに流れていたとみており、このグループのリーダーの児玉和也容疑者(31)ら4人を逮捕した。小川氏が続ける。
「家宅捜索をやるにあたって、防犯カメラや容疑者のスマートフォン、その他の通信機器を押収しています。この店でコカインを買った客を調べるためです。当然、容疑者本人がコカインを作っているわけではないので、どこから仕入れているのかの突き上げ捜査も並行して行われるでしょう。さらに逮捕された組織犯罪グループが、他にも麻薬の売人を飼っている可能性があるので、そういった点についても調べが進められるでしょう。
犯罪組織へ資金が流れていたことは問題です。容疑者の前科次第ですが、麻薬の所持は使用目的と販売目的では罪の重さがまったく違うので、一発実刑の可能性もなくはない。1グラム以下、所持量が少ないから軽いわけではありません。今後の余罪も当然、視野に入ってくるでしょう」
警察は2人の認否を明らかにしていない。賑わう繁華街で二度とこのようなことが起きないように、コカインの入手経路や暴力団との関連など、一刻も早い事件の全容解明が待たれる。