環境省は29日、初めて行われた全国調査で自治体が把握しているごみ屋敷の件数が、5200件以上確認されたと発表しました。
全国の市区町村のうち、直近5年間でゴミ屋敷を認知したという自治体は約4割。その件数が最も多かったのは東京都で、880件に上るといいます。
調査では、ゴミ屋敷に対応する条例などを制定したと回答した市区町村は101あったものの、1585市区町村が「制定予定なし」と回答。
報告書の中には、対応の際の課題として、所有者が「ごみではない」と主張した場合や処分費用が用意できないケースもあげられています。
「めざまし8」はゴミ屋敷の対応にあたる清掃業者を取材。最近急増している“隠れゴミ屋敷”の実態を追いました。
一見、普通の家でも、ドアの向こうは物が散乱している、いわゆる“隠れゴミ屋敷”。今、この隠れゴミ屋敷が急増しているといいます。
ゴミ屋敷専門パートナーズ 能勢賢投さん:飛躍してバンッて上がったんで、増えたんじゃないですかね。“隠れゴミ屋敷”が増えたのは間違いないと思います。 (外からゴミが)もろに見えてる人たちは、もう気にしていない。でも開けてみたら「あ、意外と」っていうところが多いですね。
訪れたのは、家主が亡くなった集合住宅の部屋の前。マンションの廊下は整然とし、至って普通の外観ですが、ドアを開けると入り口には多くの荷物が天井近くまで積み上がっています。
集合住宅の一室に見られる傾向があるという隠れゴミ屋敷。
清掃業者が中に入ろうとすると、積み上がった荷物や服が行く手を阻みます。荷物を引っ張ろうとしても、固まっていて動きません。
ゴミの山によじ登り、ライトで照らしながら奥へ進むと、水回り一式があると思われる部屋が見えるものの、ゴミで埋め尽くされていて洗面所などは見えてきません。
過酷な状況の中、作業を続ける清掃業者。奥の部屋に到達するまでに、90Lの袋を2000枚使い切ったといいます。清掃作業が終了するまでに2日間かかりました。
外からは見分けがつきにくい集合住宅の“隠れゴミ屋敷”。最近は、若年層が増加傾向にあるといいます。
ゴミ屋敷専門パートナーズ 能勢賢投さん:やっている感じだと、結構若い人たちの方が多いですね。大体皆さんお仕事(が忙しくて)。あとはゴミ収集の時間が早すぎるとか。あと近隣の方にゴミを開ける人がいて怖くて出せなくなっちゃったとかで、ため込む人が多い。
集合住宅の5階にあるワンルームに住んでいる20代の女性は、最初は自分自身で片づけてはいたものの、管理人に「不要品を出しすぎだ」と注意を受け、次第に“おっくう”になってしまったといいます。
清掃作業中に、洗面台の水道が出しっぱなしなことに気がつきますが、壊れているのか蛇口の水を止めることもできなくなっていました。
別のワンルームに住む30代の女性も、自力で片付けようとしていたといいますが、途中で断念し、清掃業者に依頼。ワンルームの中は足の踏み場もないほどゴミが積まれていました。
ゴミ屋敷専門パートナーズ 能勢賢投さん:僕らのニーズがあるのは、みんなに知られる前に何とかしたいっていう方が多いと思うので、周りが知らないところっていうのが多いと思います。今のところ僕らは、まだ通常運行できるなって感じ。もうちょっと増えてきちゃうとヤバいですね。
増加する“隠れゴミ屋敷”。増え続けている理由について、ごみ屋敷清掃士認定協会の田中義彦理事は、以下の4つが考えられるといいます。
・単身世帯が増加し、近所付き合いは減少した1人暮らしで仕事から帰って寝るだけの生活などの場合、ゴミを溜めてしまっても、そのことを無視出来てしまい、片付けも一人だと労力に。近所の人に気付かれることも減るため、ゴミ屋敷化しやすくなる。
・24時間コンビニなどを利用24時間のコンビニやスーパーのお弁当や、お惣菜で食事を済ませる人も多く、ゴミが増えやすく、放置もしやすくなってしまっている。
・ゴミの分別の複雑化住んでいる地域によってはゴミの分別が複雑で「分別が面倒」「捨てる日を逃すと溜まる」ケースが。
・新型コロナで外出の機会が減少新型コロナの感染拡大により外出の機会が減っていた。
ごみ屋敷清掃士認定協会 田中義彦氏:一軒家のゴミ屋敷は収集癖などのある人が陥ることが多いが、“隠れゴミ屋敷”は一般の人が陥る可能性がある。
(めざまし8 3月31日放送)