季節も移り変わり始め、新生活への準備も慌ただしくなる今日この頃。引っ越したばかりの地域で「美容室を探さなきゃ」と某クーポンサイトで検索すると、数え切れないほどの美容室。
【写真】この記事の写真を見る(2枚) どれもキレイなヘアスタイルの写真が並び、どの店もお洒落で素敵。そうしていくつも美容室を見ていると、カットなどの「料金」が全然違うことに気付くはずです。お店によって、A店とB店の差が2倍近いこともあります。

「やっぱり高い方が上手なのか……?」「安い方が魅力的だし……」 この価格の差は一体何なのか?AFLO1000円カットは、仕事量を減らして実現している「安い」というと、1000円カットをイメージする方も多いと思います。1000円カットは、「10分でカットを終える」「シャンプーをしない」「ヘアカラーやパーマはしない」「切った髪の毛は掃除機で吸う」など現場の仕事量を減らし、効率化することで1000円を実現しています。美容師、理容師の負担になる一切の無駄を省くことで、業界でも例外的な「安売り」を可能にしているのです。・安いお店で省略されている手間や時間 もちろん美容室は「高いから上質」とは限らない側面もあります。ですが「低価格帯の美容室」は、1000円カット程ではなくとも運営面で様々な部分を省略しているため、現場の美容師は「上質」を作るのが難しい環境にあります。・お客様一人当たりの時間の配分が違う 低価格帯の美容室では、“人数をこなす”ために、予約段階でお客様一人当たりの時間の配分が短く設定されています。例えばカットの場合、高価格帯の美容室が1時間に設定しているところを、低価格帯の美容室は40分で終える、カット&カラーの場合は2時間を1時間30分で終える、といった具合です。 そのため、作業の手を早めたりすることが多くなったり、丁寧さを欠いてしまう場面が増えやすくなります。一見様と常連の方でフォローが手厚さが変わる・時短のためにカルテを書かない また、低価格帯の美容室では、カルテを書かない店も多いです。多くの美容師には、お客様の施術内容をカルテに書き記しておく習慣があります。一日に担当したお客様全員のカルテに記入するのには手間がかかりますが、細かい薬剤の配合や気に留めていた点に至るまで、次回来店時の履歴として活かすために時間を割いています。 低価格帯の美容室では、美容師一人が一日に担当する人数が増えます。このお客様全員のカルテを時間をかけて書き記し、保存しておいても、全員が「2回目の来店」をする訳ではありません。すると、その時間と手間は「無駄になった」とも考えられます。そのため、時短することや、労力を減らすことに比重を置いて、カルテを書かないことが多いのです。 対して高価格帯の場合、一見様より常連の方へのフォローが手厚くなります。低価格帯の場合、「2回目の来店」をしてもカルテを書き残していないため、担当が替わると内容が引き継がれないことも多く、場当たり的な対応になりやすくなります。安価であるほどヘアケアへの配慮が薄れる・安価な薬剤を使う 低価格で提供するということは、諸々の運営費用も抑える必要があります。人件費を削ると人材が不足してしまうため、まず削られるのは「材料費」です。 美容室の主要な「材料費」は、カラーやパーマなどの薬剤です。薬剤の価格やグレードはピンキリで、高価であるほど美容師やお客様のニーズに応える、特殊な用途のものになります。 そして当然、低価格帯の美容室では「安価な薬剤」を使うことになります。ですが、薬剤は安価であるほどヘアケアへの配慮が薄れる傾向にあります。 理由は、「高価な薬剤」は“使用感の良さ”を重視して開発されるのに対し、「安価な薬剤」は無駄を省いて安く作られるからです。薬剤は髪にダメージを伴うことがほとんどなので、そのダメージが軽減されるものが良いとされます。ですが、ヘアケアに配慮した原料ほど高価だったり、ヘアケアの成分を添加するプラスの費用がかかることで、「高価な薬剤」は必然的に費用がかかるのです。「高価格帯」と「低価格帯」、美容師のおすすめは? 美容室のカット料金は、繁華街など地域的な競争の激しい地域の場合、「高価格帯」と「低価格帯」では、およそ2倍近い金額差があります。このことから「安くてお得」がいいか、「高くても上質」を求めるか、お客様のニーズも二極化していることが窺えます。 ですが、安さによる集客力は言うまでもなく圧倒的です。どの美容室を見ても「初回〇〇%オフクーポン」と銘打たれ、新規顧客の獲得合戦が行われています。割引クーポンは、「お得感」と「お試し」の要素を兼ね備えていて、仮にその選択が失敗だったとしても、「通常料金」より「お試し価格」で損する方が、諦めもつきやすい。 そのため、「低価格帯の美容室」のように、競争から「安売り」に走る美容室は多くあります。 いち美容師としては、「上質」を求めるなら「高価格帯の美容室」がオススメです。「高価格帯の美容室」は「低価格帯」と比較して高額に見えますが、実は適正価格です。 どんな働き方であっても、美容師が仕事に対する真っ当な対価を得て、お客様も豊かな生活を送れるようになることを、願ってやみません。(操作イトウ)
どれもキレイなヘアスタイルの写真が並び、どの店もお洒落で素敵。そうしていくつも美容室を見ていると、カットなどの「料金」が全然違うことに気付くはずです。お店によって、A店とB店の差が2倍近いこともあります。
「やっぱり高い方が上手なのか……?」「安い方が魅力的だし……」
この価格の差は一体何なのか?
AFLO
「安い」というと、1000円カットをイメージする方も多いと思います。1000円カットは、「10分でカットを終える」「シャンプーをしない」「ヘアカラーやパーマはしない」「切った髪の毛は掃除機で吸う」など現場の仕事量を減らし、効率化することで1000円を実現しています。美容師、理容師の負担になる一切の無駄を省くことで、業界でも例外的な「安売り」を可能にしているのです。
・安いお店で省略されている手間や時間
もちろん美容室は「高いから上質」とは限らない側面もあります。ですが「低価格帯の美容室」は、1000円カット程ではなくとも運営面で様々な部分を省略しているため、現場の美容師は「上質」を作るのが難しい環境にあります。
・お客様一人当たりの時間の配分が違う
低価格帯の美容室では、“人数をこなす”ために、予約段階でお客様一人当たりの時間の配分が短く設定されています。例えばカットの場合、高価格帯の美容室が1時間に設定しているところを、低価格帯の美容室は40分で終える、カット&カラーの場合は2時間を1時間30分で終える、といった具合です。
そのため、作業の手を早めたりすることが多くなったり、丁寧さを欠いてしまう場面が増えやすくなります。
・時短のためにカルテを書かない
また、低価格帯の美容室では、カルテを書かない店も多いです。多くの美容師には、お客様の施術内容をカルテに書き記しておく習慣があります。一日に担当したお客様全員のカルテに記入するのには手間がかかりますが、細かい薬剤の配合や気に留めていた点に至るまで、次回来店時の履歴として活かすために時間を割いています。
低価格帯の美容室では、美容師一人が一日に担当する人数が増えます。このお客様全員のカルテを時間をかけて書き記し、保存しておいても、全員が「2回目の来店」をする訳ではありません。すると、その時間と手間は「無駄になった」とも考えられます。そのため、時短することや、労力を減らすことに比重を置いて、カルテを書かないことが多いのです。
対して高価格帯の場合、一見様より常連の方へのフォローが手厚くなります。低価格帯の場合、「2回目の来店」をしてもカルテを書き残していないため、担当が替わると内容が引き継がれないことも多く、場当たり的な対応になりやすくなります。
安価であるほどヘアケアへの配慮が薄れる・安価な薬剤を使う 低価格で提供するということは、諸々の運営費用も抑える必要があります。人件費を削ると人材が不足してしまうため、まず削られるのは「材料費」です。 美容室の主要な「材料費」は、カラーやパーマなどの薬剤です。薬剤の価格やグレードはピンキリで、高価であるほど美容師やお客様のニーズに応える、特殊な用途のものになります。 そして当然、低価格帯の美容室では「安価な薬剤」を使うことになります。ですが、薬剤は安価であるほどヘアケアへの配慮が薄れる傾向にあります。 理由は、「高価な薬剤」は“使用感の良さ”を重視して開発されるのに対し、「安価な薬剤」は無駄を省いて安く作られるからです。薬剤は髪にダメージを伴うことがほとんどなので、そのダメージが軽減されるものが良いとされます。ですが、ヘアケアに配慮した原料ほど高価だったり、ヘアケアの成分を添加するプラスの費用がかかることで、「高価な薬剤」は必然的に費用がかかるのです。「高価格帯」と「低価格帯」、美容師のおすすめは? 美容室のカット料金は、繁華街など地域的な競争の激しい地域の場合、「高価格帯」と「低価格帯」では、およそ2倍近い金額差があります。このことから「安くてお得」がいいか、「高くても上質」を求めるか、お客様のニーズも二極化していることが窺えます。 ですが、安さによる集客力は言うまでもなく圧倒的です。どの美容室を見ても「初回〇〇%オフクーポン」と銘打たれ、新規顧客の獲得合戦が行われています。割引クーポンは、「お得感」と「お試し」の要素を兼ね備えていて、仮にその選択が失敗だったとしても、「通常料金」より「お試し価格」で損する方が、諦めもつきやすい。 そのため、「低価格帯の美容室」のように、競争から「安売り」に走る美容室は多くあります。 いち美容師としては、「上質」を求めるなら「高価格帯の美容室」がオススメです。「高価格帯の美容室」は「低価格帯」と比較して高額に見えますが、実は適正価格です。 どんな働き方であっても、美容師が仕事に対する真っ当な対価を得て、お客様も豊かな生活を送れるようになることを、願ってやみません。(操作イトウ)
・安価な薬剤を使う
低価格で提供するということは、諸々の運営費用も抑える必要があります。人件費を削ると人材が不足してしまうため、まず削られるのは「材料費」です。
美容室の主要な「材料費」は、カラーやパーマなどの薬剤です。薬剤の価格やグレードはピンキリで、高価であるほど美容師やお客様のニーズに応える、特殊な用途のものになります。
そして当然、低価格帯の美容室では「安価な薬剤」を使うことになります。ですが、薬剤は安価であるほどヘアケアへの配慮が薄れる傾向にあります。
理由は、「高価な薬剤」は“使用感の良さ”を重視して開発されるのに対し、「安価な薬剤」は無駄を省いて安く作られるからです。薬剤は髪にダメージを伴うことがほとんどなので、そのダメージが軽減されるものが良いとされます。ですが、ヘアケアに配慮した原料ほど高価だったり、ヘアケアの成分を添加するプラスの費用がかかることで、「高価な薬剤」は必然的に費用がかかるのです。
美容室のカット料金は、繁華街など地域的な競争の激しい地域の場合、「高価格帯」と「低価格帯」では、およそ2倍近い金額差があります。このことから「安くてお得」がいいか、「高くても上質」を求めるか、お客様のニーズも二極化していることが窺えます。
ですが、安さによる集客力は言うまでもなく圧倒的です。どの美容室を見ても「初回〇〇%オフクーポン」と銘打たれ、新規顧客の獲得合戦が行われています。割引クーポンは、「お得感」と「お試し」の要素を兼ね備えていて、仮にその選択が失敗だったとしても、「通常料金」より「お試し価格」で損する方が、諦めもつきやすい。
そのため、「低価格帯の美容室」のように、競争から「安売り」に走る美容室は多くあります。
いち美容師としては、「上質」を求めるなら「高価格帯の美容室」がオススメです。「高価格帯の美容室」は「低価格帯」と比較して高額に見えますが、実は適正価格です。
どんな働き方であっても、美容師が仕事に対する真っ当な対価を得て、お客様も豊かな生活を送れるようになることを、願ってやみません。
(操作イトウ)