【恋愛カウンセラー安藤房子のこじらせ恋愛相談室】
心と身体両面からのアプローチで婚活・恋活を応援する、恋愛カウンセラーの安藤房子(あんどうふさこ)が、大人女性の恋愛の悩みに答えます。
◆Q:遠方の母は認知症でごみ屋敷。私は離婚・再婚したいのに
●相談者:貴理子(仮名/45歳・SE&パート主婦)
親を介護する世代は、恋愛をしてはいけないのでしょうか? 自分の人生は捨てなければいけませんか? 実家の母の介護と、自分の離婚と再婚問題で悩んでいます。
私は富山県出身。大学入学で上京し、現在は千葉に住んでいます。中学3年生と小学4年生の女の子、おなじ年の料理人の旦那と4人暮らしです。が、旦那はアルコール依存症。食堂などに就職先が決まっても、仕事を休んでは家で朝から飲んでいます。なのですぐクビになり、家にお金も入れません。
私はフリーランスのSEで、それなりに仕事もあります。が、やはり少し足りないのと、生活費を稼ぐために週に4日はチェーンのパン屋さんでパートもしていて、厚生年金はそちらで入っています。もう5年くらいしていますから、ベテランです。パート以外の時間は寝る間を惜しんでSEをして、なんとか家族を養っています。
◆「お前らのせいで人生まっくらだ」暴れて子供を殴る夫
旦那は、20年前に知りあった頃はまじめな料理人でした。でも、人と接するのが苦手らしく、社会になじめず、10年ほど前からダメダメになっていきました。彼が人生を立て直すようにと励ましてきましたが、もう限界ですね。最近は暴力もふるうようになってきました。家でお酒を飲んでは、学校から帰宅した子供たちに「お前らのせいで俺の人生はまっくらだ」なんて暴れて殴る……もうこれってダメですよね。離婚しようと腹をくくりました。
実は、3年ほど前。パート先の店長だった人と不倫をはじめて、今も続いているんです。彼、今はもう違う店舗に勤務しているのですが、電車で10分ほどのところに住んでいるので会いやすいんです。1つ年上で穏やかな性格。独身で、私の家庭状況もぜんぶわかってる。そのうえで、私を待ってくれています。私の実家で、ひとり暮らしの母がいることも知っているんです。 ◆ごみ屋敷寸前の家で、まるまって眠る母親
私はひとりっこで、富山では両親がふたり暮らしでした。3年前に父が他界する前から、私は母に「私は富山に戻れないから千葉にこない? そうしたら一緒に住めるから」と言っていたんです。でも、生まれ育った町で暮らしたいと。それなら、そこで快適に暮らせるようにしてあげたいのですが、今はごみ屋敷寸前。一軒家のどの部屋も足の踏み場もなく、母は居間のテレビ近くのわずかなスペースにまるまって寝ています。私が帰省しても、荷物を置く場所すらない。
かつて帰省のたびに片づけようとしていたのですが「触るな!」と怒る。もう物忘れが激しくて認知症だと思うのですが、お願いしても病院にすら行かない。だから公的な安価なサポートも受けられない。ときどき電話がかかってきて「年金じゃ足りないから生活費を送って」というんです。
◆そうそう帰省もできないんです。お金がかかりますから

母の手元にはわずかな年金のみで、貯金がないこともわかっています。保険にも入っていない。だから私がなんとか出してあげたいので、まずは話し合ったり片づけたりしたいのですが、それすら嫌がるんです。電話をしても、会話の途中で切られてしまって、今後の話が全然できないんです。
かといって、私も千葉で仕事と生活がありますから、無計画にしょっちゅう帰省もできない。帰省するなら、家に居場所がないのでホテル代もかかりますしね。片づけの段取りをしてからでないと、そうそう帰省もできないんです。お金がかかりますから。 ◆私のしあわせは考えてはいけないのでしょうか?
地元の親戚に相談しようにもできません。母と親戚とは昔から仲が悪かったし、頼れる知り合いもいないんです。なのに親戚は「あそこの娘は親の介護もしないひどい娘だ」などと、私の悪口を言いふらしているそうです。どこで何を聞いたのか、あることないことどころか、ないことだらけです。
私は一応、地域の役所の高齢者の担当者さんには電話をし、状況は話しています。何度か自宅を訪問はしてくれたそうですが、「ひとりでだいじょうぶだ」と、自分の先祖がお金持ちだったことを延々と自慢して話しているそうです。
ひとり暮らしの母を見捨てるわけにもいかない。だけどこれ以上、なにをどうすればいいのでしょう? 私自身の離婚や再婚など、私のしあわせは考えてはいけないのでしょうか?
考えれば考えるほど、夜も眠れなくて、だんだん鬱っぽくなってきました。再婚したい相手の人はとても優しく、母が千葉に来てくれるなら同居しようとも言ってくれています。そんな話も母にはしているんですが、とにかく会話にならなくて……。夫のことといい、なんか私は、がんばってもいつも、空回りするんです。ふりかえってみるといつも不幸体質な気がします。
◆A:充分やったのだから、あとは自分のしあわせを第一に
<回答>なかなかつらい日々を送ってきましたね。よくがんばってきたと思います。あなたのように、なぜか不幸が続いてしまう人がいます。たまたまの運もありますが、おそらくあなたが優しすぎるのです。きっとご主人は、あなたになら何を言っても、何をしても許してもらえるはずと思っているのではないでしょうか。
そして、そういう甘え体質の人の性質は、なかなかなおりません。暴力も甘え体質のあらわれのひとつ。これもまた、なかなかなおらないんです。もう、あなたがぜんぶを受け入れる必要はありません。離婚にまっすぐすすみましょう。
◆児童相談所や警察に相談をしてみては
ただ、このタイプの人の場合、離婚を嫌がり、ごねたりする場合が多いです。その場合は、法テラスや離婚関係のNPOなどに相談してみるのがいいですよ。お子様がまだ10代ですから、地域の児童相談所に相談してみてもいいです。
児童相談所は「子供のこと」を相談する場所ではありますが、あなたとご主人ことも相談にのってくれます。夫婦のことがお子様に影響を与えますからね。ご主人の暴力から逃げる方法もアドバイスしてくれると思いますので、ぜひ相談してみてください。
地元の警察にも届けてみましょう。警察も児童相談所も「絶対にたすけてくれる」機関とは言えませんが、誰にもなにも相談しないよりは、たすけになります。正直言うと、対応してくれる人によっても、やってくれる内容が変わります。親身になってくれる担当者もいますので、連絡をしてみてください。
◆お母さまとは少し距離を置いたらどうですか

話し合いに応じないのはお母さまのほうなのですから、少し距離を置いたらどうですか。
あなたにはあなたの生活がある。お母さまが「お金がないから送って」というたびに送れないのは仕方ないですよね。今後も公的な機関と連絡をとりながら、話をすすめていきましょう。
認知症の恐れもあるということですから、本来でしたら、お母さまに病院で診察をしてもらい、なんらかの診断を受けたいところです。地域のヘルパーさんやデイケアサービスを受けるためにもそうしたいところですが、本人にその気がないなら、これはもう仕方がないです。本当に生活に困ったら、お母さまも病院に行くでしょうし、公的サービスを検討もするでしょう。
◆お母さんが会話のテーブルについてくれるのを待って
あなたは「できるだけ実家に帰ってあげたい」。そしておそらくお母さまも、本心では「帰ってきてほしい」はずなんですね。でも、たとえ親子でも、会話のテーブルについてくれない相手とは、なかなか話がすすまない。そのときに、どこまでも「親子だから」と自分を犠牲にしてしまうと、あなたの人生が前に進まないです。
だから、お母さまが会話のテーブルについてくれるのを待ちながらも、あなたはあなたのしあわせを考えることです。
◆お母さんを軸にして未来を考えると、あなたの未来はやってきません
お母さんの暮らしがこうだから、ああだからと、お母さんを軸にして未来を考えると、いつまでもあなたの未来はやってきません。お母さんの気持ちは、お母さんにしか動かせない。そのお母さんは、今はちっとも終活をしないし、あなたと終活についての話をしてくれない。あなたが金銭的なサポートや住まいや介護について前向きに話してもダメ……。
ならば、あなたはあなたの道を歩んでください。自分のしあわせを考えて生きてください。それはなにも、悪いことではありません。お母さまへの愛情さえ持っていれば、自由に生きていいのです。
◆誰かのためだけでなく、自分のために生きてください
時に、あなたを非難する人もいることでしょう。だけど、誰でも誰かから非難されます。100人いたら100通りの言い方をされます。そんな意見は無視しましょう。誰かのためだけでなく、自分のために生きてください。
<文/安藤房子>