ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。侵攻はいつまで続くのか?識者とともに考えます。【写真を見る】「甘く見ても3~5年は続く」ウクライナ侵攻、いつまで?プーチン体制から変わる=終戦の条件にならないワケウクライナ侵攻から1年…時系列で振り返る日比麻音子キャスター:依然としてウクライナからもいろいろな国々へ避難している方々がたくさんいる状況が続いています。この1年間について、まとめました。<ウクライナ侵攻 時系列>・22年2月24日 ロシア、ウクライナ侵攻開始・22年4月2日 キーウ近郊の街・ブチャで市民の虐殺・22年5月20日 ロシアがマリウポリを制圧・22年9月30日 ロシアが4州併合を宣言(ザポリージャ、ヘルソン、ドネツク、ルハンシク)・22年11月9日 ヘルソン州ドニプロ川西側地域からロシア軍が撤退・23年2月20日 バイデン大統領はキーウを電撃訪問・23年2月24日 侵攻から1年

現在の様子を見てみますと、ロシア軍が掌握しているとみられるエリアは、ウクライナ全土の中でも約18%とみられています。一方で、ウクライナ側も反撃を主張している場所もあり、ロシア軍が侵攻、掌握したとみられる場所を半分以上取り戻しているという状況です。ただ、ロシアからの攻撃は続いています。2月10日だけみても、1日でミサイルは106発です。“民間人への攻撃はしない”と言っていたのにも関わらず、この1年で犠牲になったウクライナの民間人は8006人、負傷者も1万3287人いらっしゃいます。(国連人権高等弁務官事務所より)ホラン千秋キャスター:日々、犠牲になっている方が増えてしまっている状況だと思いますが、ウクライナが反撃をして取り返した、ロシア軍を追い払った地域もあるかと思います。今現在はどのような状況なのでしょうか?防衛省 防衛研究所 高橋杉雄さん:ここ何か月か戦争は膠着状態です。ただ、何か所かでは非常に激しい戦闘が行われていて、多くの死傷者が出ている状況です。ウクライナに西側の戦車が入ってくるという、ある種の変化があるため、ロシア側はその戦車が入ってくる前に攻勢を仕掛けたいという形になっています。恐らくウクライナは戦車が入ってから満を持して仕掛けるという形に恐らくなるため、そうした時間差が生じることで戦況への影響というのがあるようには思いますね。ホランキャスター:そうすると、今後の鍵になってくるのは、ウクライナ側に武器や戦車などの供与がどのタイミングでなされるのかというところが状況を変えそうだということでしょうか?高橋杉雄さん:タイミングにもよりますけれども、供与がうまくいけば、昨年9月みたいにまとまった形で占領された場所を奪い返せる可能性というのはありますね。国連で圧倒的多数で採択も…「侵攻は3~5年は続く」日比キャスター:23日、ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSにこのように投稿しました。「我々は屈しない。我々の領土に悪と戦争をもたらした者の責任を問う」そして、国連でも国連総会緊急特別会合(日本時間午前5時すぎ)が行われまして、ウクライナの平和とロシア軍に無条件の即時撤退などを求める決議案に関しては、賛成141か国ということで、圧倒的多数で採択となりました。ただ、反対7か国、棄権32か国あるというのも現状なわけですね。一方で、ロシアのプーチン大統領ですが、21日年次教書演説を行い、このような発言がありました。「戦争を始めたのは西側諸国であり、我々はそれを止めるために武力を行使するつもりだ」あくまでも武力行使を正当化する、そういった内容でした。核戦力の増強も表明されています。停戦交渉というのは全く進んでいないわけですけれども、高橋さんによりますと、「ロシアによる侵攻は少なくとも3年~5年は続く」のではないか。季節は進んで春はもうすぐということで、また戦況が変わるかもしれません。ホランキャスター:3年~5年続くのではないかということなんですけれども、ロシアとしてもそこまで長引かせたいという思いは別にあるわけではないんですよね?高橋杉雄さん:ロシアはウクライナを属国化するという目標があり、その目標の下方修正は一切してないんですよ。この戦争はロシアが撤退すれば翌日に終わるんですけど、それをしないでウクライナを属国化するという目標を捨てない限りは、ウクライナは戦い続けますし、逆にウクライナが占領された場所を全部奪い返したとしても、ロシアが目標を変えない限りは戦争は続くと。その意味で、ロシアが下方修正するまで相当時間がかかるでしょうから、それはどんなに甘く見ても3年~5年ということではないでしょうかってことですかね。ホランキャスター:属国化というお話がありましたけれども、南東部の4州をロシアの方に組み入れることができれば、ロシアとしては引きますよ、という姿勢ですか?高橋杉雄さん:そういうことではないですね。それはまず第一段階であって、あくまでプーチン大統領としては、ウクライナは“ロシアの一部”であると考えているわけです。ところがウクライナ側は、我々は“ロシアの一部”ではなくて“ヨーロッパの一部”になりたいんだって考えてるんですよね。ロシアの一部にするための第一歩、第二歩として、ドンバス地方なり4州の併合というのがあるので、それができたらその後、先に進んでいくっていうのが現状観察できるロシア側の戦争目的であると言えますね。ホランキャスター:こういった戦争というものは過去を振り返って歴史を振り返ってみますと、その体験を通して、絵画であったり小説であったり、いったいどういう状況のものだったのかというのは後に語られることも多いわけですよね。歴史・時代小説家 今村翔吾さん:高橋さんにちょっとお聞きしてみたいのは、最低でも3年~5年っていう話でしたけど、もっと長くなる可能性はありうるということですか?高橋杉雄さん:終わらないという可能性ももちろんあるんですよね。特に国際社会の関心もなくなって、ダラダラと続いていくということも可能性としてはあり得ると思います。ホランキャスター:それはプーチン体制が終わりを迎えたとしても、その後も続きそうなんでしょうか。高橋杉雄さん:プーチン体制の終わり方ですよね。終わったときに後継者が全然違う、ヨーロッパよりの選択をとるかどうかわからないですから、プーチン体制が変わるってことは、多分、終戦の条件にはならないと思いますね。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。侵攻はいつまで続くのか?識者とともに考えます。
【写真を見る】「甘く見ても3~5年は続く」ウクライナ侵攻、いつまで?プーチン体制から変わる=終戦の条件にならないワケウクライナ侵攻から1年…時系列で振り返る日比麻音子キャスター:依然としてウクライナからもいろいろな国々へ避難している方々がたくさんいる状況が続いています。この1年間について、まとめました。<ウクライナ侵攻 時系列>・22年2月24日 ロシア、ウクライナ侵攻開始・22年4月2日 キーウ近郊の街・ブチャで市民の虐殺・22年5月20日 ロシアがマリウポリを制圧・22年9月30日 ロシアが4州併合を宣言(ザポリージャ、ヘルソン、ドネツク、ルハンシク)・22年11月9日 ヘルソン州ドニプロ川西側地域からロシア軍が撤退・23年2月20日 バイデン大統領はキーウを電撃訪問・23年2月24日 侵攻から1年

現在の様子を見てみますと、ロシア軍が掌握しているとみられるエリアは、ウクライナ全土の中でも約18%とみられています。一方で、ウクライナ側も反撃を主張している場所もあり、ロシア軍が侵攻、掌握したとみられる場所を半分以上取り戻しているという状況です。ただ、ロシアからの攻撃は続いています。2月10日だけみても、1日でミサイルは106発です。“民間人への攻撃はしない”と言っていたのにも関わらず、この1年で犠牲になったウクライナの民間人は8006人、負傷者も1万3287人いらっしゃいます。(国連人権高等弁務官事務所より)ホラン千秋キャスター:日々、犠牲になっている方が増えてしまっている状況だと思いますが、ウクライナが反撃をして取り返した、ロシア軍を追い払った地域もあるかと思います。今現在はどのような状況なのでしょうか?防衛省 防衛研究所 高橋杉雄さん:ここ何か月か戦争は膠着状態です。ただ、何か所かでは非常に激しい戦闘が行われていて、多くの死傷者が出ている状況です。ウクライナに西側の戦車が入ってくるという、ある種の変化があるため、ロシア側はその戦車が入ってくる前に攻勢を仕掛けたいという形になっています。恐らくウクライナは戦車が入ってから満を持して仕掛けるという形に恐らくなるため、そうした時間差が生じることで戦況への影響というのがあるようには思いますね。ホランキャスター:そうすると、今後の鍵になってくるのは、ウクライナ側に武器や戦車などの供与がどのタイミングでなされるのかというところが状況を変えそうだということでしょうか?高橋杉雄さん:タイミングにもよりますけれども、供与がうまくいけば、昨年9月みたいにまとまった形で占領された場所を奪い返せる可能性というのはありますね。国連で圧倒的多数で採択も…「侵攻は3~5年は続く」日比キャスター:23日、ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSにこのように投稿しました。「我々は屈しない。我々の領土に悪と戦争をもたらした者の責任を問う」そして、国連でも国連総会緊急特別会合(日本時間午前5時すぎ)が行われまして、ウクライナの平和とロシア軍に無条件の即時撤退などを求める決議案に関しては、賛成141か国ということで、圧倒的多数で採択となりました。ただ、反対7か国、棄権32か国あるというのも現状なわけですね。一方で、ロシアのプーチン大統領ですが、21日年次教書演説を行い、このような発言がありました。「戦争を始めたのは西側諸国であり、我々はそれを止めるために武力を行使するつもりだ」あくまでも武力行使を正当化する、そういった内容でした。核戦力の増強も表明されています。停戦交渉というのは全く進んでいないわけですけれども、高橋さんによりますと、「ロシアによる侵攻は少なくとも3年~5年は続く」のではないか。季節は進んで春はもうすぐということで、また戦況が変わるかもしれません。ホランキャスター:3年~5年続くのではないかということなんですけれども、ロシアとしてもそこまで長引かせたいという思いは別にあるわけではないんですよね?高橋杉雄さん:ロシアはウクライナを属国化するという目標があり、その目標の下方修正は一切してないんですよ。この戦争はロシアが撤退すれば翌日に終わるんですけど、それをしないでウクライナを属国化するという目標を捨てない限りは、ウクライナは戦い続けますし、逆にウクライナが占領された場所を全部奪い返したとしても、ロシアが目標を変えない限りは戦争は続くと。その意味で、ロシアが下方修正するまで相当時間がかかるでしょうから、それはどんなに甘く見ても3年~5年ということではないでしょうかってことですかね。ホランキャスター:属国化というお話がありましたけれども、南東部の4州をロシアの方に組み入れることができれば、ロシアとしては引きますよ、という姿勢ですか?高橋杉雄さん:そういうことではないですね。それはまず第一段階であって、あくまでプーチン大統領としては、ウクライナは“ロシアの一部”であると考えているわけです。ところがウクライナ側は、我々は“ロシアの一部”ではなくて“ヨーロッパの一部”になりたいんだって考えてるんですよね。ロシアの一部にするための第一歩、第二歩として、ドンバス地方なり4州の併合というのがあるので、それができたらその後、先に進んでいくっていうのが現状観察できるロシア側の戦争目的であると言えますね。ホランキャスター:こういった戦争というものは過去を振り返って歴史を振り返ってみますと、その体験を通して、絵画であったり小説であったり、いったいどういう状況のものだったのかというのは後に語られることも多いわけですよね。歴史・時代小説家 今村翔吾さん:高橋さんにちょっとお聞きしてみたいのは、最低でも3年~5年っていう話でしたけど、もっと長くなる可能性はありうるということですか?高橋杉雄さん:終わらないという可能性ももちろんあるんですよね。特に国際社会の関心もなくなって、ダラダラと続いていくということも可能性としてはあり得ると思います。ホランキャスター:それはプーチン体制が終わりを迎えたとしても、その後も続きそうなんでしょうか。高橋杉雄さん:プーチン体制の終わり方ですよね。終わったときに後継者が全然違う、ヨーロッパよりの選択をとるかどうかわからないですから、プーチン体制が変わるってことは、多分、終戦の条件にはならないと思いますね。
日比麻音子キャスター:依然としてウクライナからもいろいろな国々へ避難している方々がたくさんいる状況が続いています。この1年間について、まとめました。
<ウクライナ侵攻 時系列>・22年2月24日 ロシア、ウクライナ侵攻開始・22年4月2日 キーウ近郊の街・ブチャで市民の虐殺・22年5月20日 ロシアがマリウポリを制圧・22年9月30日 ロシアが4州併合を宣言(ザポリージャ、ヘルソン、ドネツク、ルハンシク)・22年11月9日 ヘルソン州ドニプロ川西側地域からロシア軍が撤退・23年2月20日 バイデン大統領はキーウを電撃訪問・23年2月24日 侵攻から1年
現在の様子を見てみますと、ロシア軍が掌握しているとみられるエリアは、ウクライナ全土の中でも約18%とみられています。一方で、ウクライナ側も反撃を主張している場所もあり、ロシア軍が侵攻、掌握したとみられる場所を半分以上取り戻しているという状況です。
ただ、ロシアからの攻撃は続いています。2月10日だけみても、1日でミサイルは106発です。“民間人への攻撃はしない”と言っていたのにも関わらず、この1年で犠牲になったウクライナの民間人は8006人、負傷者も1万3287人いらっしゃいます。(国連人権高等弁務官事務所より)
ホラン千秋キャスター:日々、犠牲になっている方が増えてしまっている状況だと思いますが、ウクライナが反撃をして取り返した、ロシア軍を追い払った地域もあるかと思います。今現在はどのような状況なのでしょうか?
防衛省 防衛研究所 高橋杉雄さん:ここ何か月か戦争は膠着状態です。ただ、何か所かでは非常に激しい戦闘が行われていて、多くの死傷者が出ている状況です。ウクライナに西側の戦車が入ってくるという、ある種の変化があるため、ロシア側はその戦車が入ってくる前に攻勢を仕掛けたいという形になっています。恐らくウクライナは戦車が入ってから満を持して仕掛けるという形に恐らくなるため、そうした時間差が生じることで戦況への影響というのがあるようには思いますね。
ホランキャスター:そうすると、今後の鍵になってくるのは、ウクライナ側に武器や戦車などの供与がどのタイミングでなされるのかというところが状況を変えそうだということでしょうか?
高橋杉雄さん:タイミングにもよりますけれども、供与がうまくいけば、昨年9月みたいにまとまった形で占領された場所を奪い返せる可能性というのはありますね。
日比キャスター:23日、ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSにこのように投稿しました。
「我々は屈しない。我々の領土に悪と戦争をもたらした者の責任を問う」
そして、国連でも国連総会緊急特別会合(日本時間午前5時すぎ)が行われまして、ウクライナの平和とロシア軍に無条件の即時撤退などを求める決議案に関しては、賛成141か国ということで、圧倒的多数で採択となりました。ただ、反対7か国、棄権32か国あるというのも現状なわけですね。
一方で、ロシアのプーチン大統領ですが、21日年次教書演説を行い、このような発言がありました。
「戦争を始めたのは西側諸国であり、我々はそれを止めるために武力を行使するつもりだ」
あくまでも武力行使を正当化する、そういった内容でした。核戦力の増強も表明されています。
停戦交渉というのは全く進んでいないわけですけれども、高橋さんによりますと、「ロシアによる侵攻は少なくとも3年~5年は続く」のではないか。季節は進んで春はもうすぐということで、また戦況が変わるかもしれません。
ホランキャスター:3年~5年続くのではないかということなんですけれども、ロシアとしてもそこまで長引かせたいという思いは別にあるわけではないんですよね?
高橋杉雄さん:ロシアはウクライナを属国化するという目標があり、その目標の下方修正は一切してないんですよ。この戦争はロシアが撤退すれば翌日に終わるんですけど、それをしないでウクライナを属国化するという目標を捨てない限りは、ウクライナは戦い続けますし、逆にウクライナが占領された場所を全部奪い返したとしても、ロシアが目標を変えない限りは戦争は続くと。その意味で、ロシアが下方修正するまで相当時間がかかるでしょうから、それはどんなに甘く見ても3年~5年ということではないでしょうかってことですかね。
ホランキャスター:属国化というお話がありましたけれども、南東部の4州をロシアの方に組み入れることができれば、ロシアとしては引きますよ、という姿勢ですか?
高橋杉雄さん:そういうことではないですね。それはまず第一段階であって、あくまでプーチン大統領としては、ウクライナは“ロシアの一部”であると考えているわけです。ところがウクライナ側は、我々は“ロシアの一部”ではなくて“ヨーロッパの一部”になりたいんだって考えてるんですよね。ロシアの一部にするための第一歩、第二歩として、ドンバス地方なり4州の併合というのがあるので、それができたらその後、先に進んでいくっていうのが現状観察できるロシア側の戦争目的であると言えますね。
ホランキャスター:こういった戦争というものは過去を振り返って歴史を振り返ってみますと、その体験を通して、絵画であったり小説であったり、いったいどういう状況のものだったのかというのは後に語られることも多いわけですよね。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:高橋さんにちょっとお聞きしてみたいのは、最低でも3年~5年っていう話でしたけど、もっと長くなる可能性はありうるということですか?
高橋杉雄さん:終わらないという可能性ももちろんあるんですよね。特に国際社会の関心もなくなって、ダラダラと続いていくということも可能性としてはあり得ると思います。
ホランキャスター:それはプーチン体制が終わりを迎えたとしても、その後も続きそうなんでしょうか。