かつて小説やドラマの題材となり、社会問題ともなった「後妻業」。近年増えている「高齢者の婚活」の現場では、ときに「高齢男性の財産や係累にばかり関心を示す女性」たちが姿を見せる。
そんな女性のターゲットとされたのが、70歳を目前に不整脈を発症し、「孤独死はイヤだ」という思いに駆られた北見友幸さん(仮名・現在75歳)。前編ではやもめ暮らしに別れを告げて、行きつけのゴルフ場でキャディをしていた滝川志穂美さん(仮名・48歳)と再婚した。
円満に暮らしていたふたりだったが、結婚して2年が過ぎた頃、大きな異変が起こる。志穂美さんの息子を名乗る斗真さん(自称・32歳)が、突然友幸さんの前に現れたのだ。
以来、志穂美さんは「生活に困っている斗真の身の回りの世話があるから」と言って、彼のアパートへ通うようになった。
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現場に張り込んだら…不審に思った友幸さんは、ついに行動を起こす。「付き合いゴルフ」だとウソをついて出かけ、斗真さんのアパートに先回りして張り込んだのである。すると、1時間もしないうちに志穂美さんがやって来た。「斗真の部屋は1階です。私は斗真の部屋の窓の下に身を隠して、中の様子を伺ってました」(友幸さん、以下同)はじめは、室内から志穂美さんと斗真さんの親し気な弾んだ声が聞こえてきた。ところが、数分後、急にふたりは沈黙する。その後に聞こえて来たのは、男女の営みの声だった。「ショックと言うより、やっぱりという気持ちの方が強かったです。30過ぎの男の世話に毎日のように通うなんて、どう考えても不自然でしたから」裏切られたとわかった以上は容赦しない。友幸さんは確たる証拠を掴むため、興信所に調査を依頼。10日後に届けられた報告書には、驚愕の事実が記されていた。 「志穂美がかつて前夫の連れ子と一緒に暮らしていて、その子が斗真という名前なのは事実でしたが、いま志穂美と一緒にいる斗真はなりすましのニセモノでした。じゃあ、誰なんだ? という話ですが、実は私と結婚する前からの志穂美の愛人(?)だったんです。以前志穂美が住んでいたアパートにも出入りしていて、職業はパチプロ、年齢は40歳。これが彼の正体でした」「虫の知らせ」で金庫を開けたら友幸さんは志穂美さんを呼び出し、話し合いの場を持った。動かぬ証拠を突きつけられたことで覚悟を決めたのか、志穂美さんは特に弁解も抵抗もせず、その場で友幸さんが差し出した離婚届けに無言でサインをし、ハンコを押した。「『悪いけど、今すぐに出て行ってくれ』と言うと志穂美は『わかりました』と言って、自室に入っていき、ものの5分もしないうちにスーツケースを持って戻って来たかと思ったら、『お世話になりました』と頭を下げ、出て行きました」まるであらかじめ用意してあったかのような手際の良さだった。「あんまりあっさり出て行ったので、なんだか拍子抜けでした」 友幸さんに、どっと疲れが襲ってきた。早々とベッドに入るも、なかなか寝付けない。「虫の知らせと言うんでしょうか。夜中に急に金庫の中が気になったんで、開けてみたんです」すると、現金のほか、高級腕時計や指輪など、1000万円相当の貴金属類が入れてあったはずの金庫は空っぽになっていた。「やられた!と思いました。僕は普段金庫を開けることがないので、いつ中身が出されていたのかわかりませんが、間違いなく志穂美の仕業でしょう。一瞬、警察に通報しようかと思いましたが、盗られたものが戻って来るとは限らないですし、このトシで、この期に及んで警察沙汰というのもみっともないような気がしたので、そのままです。3年足らずの結婚生活でしたが、それくらいの財産分与はあってもいいかもしれないし。まあ、ちょっと高くついたかも知れないですけど、勉強代ということで……」 果たして、志穂美さんが「後妻業の女」だったのかどうかは、いまもわからない。しかし彼女が、高齢男性とスピード結婚を遂げ、別の愛人とも関係を継続したうえで、財産を持ち逃げしたのは紛れもない事実だ。「そんな悪女には見えなかったんですけどねえ」と後に友幸さんは語っているが、前出の結婚相談所のアドバイザーによると、「後妻業には、一見地味で何の変哲もない女性が多い」という。「年齢で言えば50歳前後です。あまり若かったり、美人だったりすると男性から警戒されますから」(同・アドバイザー) 詐欺の被害に遭う人は、皆一様に「まさか、自分が騙されるわけがない」と考えている。しかし、そのように考えてしまうこと自体が、すでに落とし穴にはまっている証だ。まして老後の資産を失ってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。短いようで長い余生。心も身体も財産も大切に守りたいものである。
不審に思った友幸さんは、ついに行動を起こす。「付き合いゴルフ」だとウソをついて出かけ、斗真さんのアパートに先回りして張り込んだのである。
すると、1時間もしないうちに志穂美さんがやって来た。
「斗真の部屋は1階です。私は斗真の部屋の窓の下に身を隠して、中の様子を伺ってました」(友幸さん、以下同)
はじめは、室内から志穂美さんと斗真さんの親し気な弾んだ声が聞こえてきた。ところが、数分後、急にふたりは沈黙する。その後に聞こえて来たのは、男女の営みの声だった。
「ショックと言うより、やっぱりという気持ちの方が強かったです。30過ぎの男の世話に毎日のように通うなんて、どう考えても不自然でしたから」
裏切られたとわかった以上は容赦しない。友幸さんは確たる証拠を掴むため、興信所に調査を依頼。10日後に届けられた報告書には、驚愕の事実が記されていた。
「志穂美がかつて前夫の連れ子と一緒に暮らしていて、その子が斗真という名前なのは事実でしたが、いま志穂美と一緒にいる斗真はなりすましのニセモノでした。じゃあ、誰なんだ? という話ですが、実は私と結婚する前からの志穂美の愛人(?)だったんです。以前志穂美が住んでいたアパートにも出入りしていて、職業はパチプロ、年齢は40歳。これが彼の正体でした」「虫の知らせ」で金庫を開けたら友幸さんは志穂美さんを呼び出し、話し合いの場を持った。動かぬ証拠を突きつけられたことで覚悟を決めたのか、志穂美さんは特に弁解も抵抗もせず、その場で友幸さんが差し出した離婚届けに無言でサインをし、ハンコを押した。「『悪いけど、今すぐに出て行ってくれ』と言うと志穂美は『わかりました』と言って、自室に入っていき、ものの5分もしないうちにスーツケースを持って戻って来たかと思ったら、『お世話になりました』と頭を下げ、出て行きました」まるであらかじめ用意してあったかのような手際の良さだった。「あんまりあっさり出て行ったので、なんだか拍子抜けでした」 友幸さんに、どっと疲れが襲ってきた。早々とベッドに入るも、なかなか寝付けない。「虫の知らせと言うんでしょうか。夜中に急に金庫の中が気になったんで、開けてみたんです」すると、現金のほか、高級腕時計や指輪など、1000万円相当の貴金属類が入れてあったはずの金庫は空っぽになっていた。「やられた!と思いました。僕は普段金庫を開けることがないので、いつ中身が出されていたのかわかりませんが、間違いなく志穂美の仕業でしょう。一瞬、警察に通報しようかと思いましたが、盗られたものが戻って来るとは限らないですし、このトシで、この期に及んで警察沙汰というのもみっともないような気がしたので、そのままです。3年足らずの結婚生活でしたが、それくらいの財産分与はあってもいいかもしれないし。まあ、ちょっと高くついたかも知れないですけど、勉強代ということで……」 果たして、志穂美さんが「後妻業の女」だったのかどうかは、いまもわからない。しかし彼女が、高齢男性とスピード結婚を遂げ、別の愛人とも関係を継続したうえで、財産を持ち逃げしたのは紛れもない事実だ。「そんな悪女には見えなかったんですけどねえ」と後に友幸さんは語っているが、前出の結婚相談所のアドバイザーによると、「後妻業には、一見地味で何の変哲もない女性が多い」という。「年齢で言えば50歳前後です。あまり若かったり、美人だったりすると男性から警戒されますから」(同・アドバイザー) 詐欺の被害に遭う人は、皆一様に「まさか、自分が騙されるわけがない」と考えている。しかし、そのように考えてしまうこと自体が、すでに落とし穴にはまっている証だ。まして老後の資産を失ってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。短いようで長い余生。心も身体も財産も大切に守りたいものである。
「志穂美がかつて前夫の連れ子と一緒に暮らしていて、その子が斗真という名前なのは事実でしたが、いま志穂美と一緒にいる斗真はなりすましのニセモノでした。
じゃあ、誰なんだ? という話ですが、実は私と結婚する前からの志穂美の愛人(?)だったんです。以前志穂美が住んでいたアパートにも出入りしていて、職業はパチプロ、年齢は40歳。これが彼の正体でした」
友幸さんは志穂美さんを呼び出し、話し合いの場を持った。動かぬ証拠を突きつけられたことで覚悟を決めたのか、志穂美さんは特に弁解も抵抗もせず、その場で友幸さんが差し出した離婚届けに無言でサインをし、ハンコを押した。
「『悪いけど、今すぐに出て行ってくれ』と言うと志穂美は『わかりました』と言って、自室に入っていき、ものの5分もしないうちにスーツケースを持って戻って来たかと思ったら、『お世話になりました』と頭を下げ、出て行きました」
まるであらかじめ用意してあったかのような手際の良さだった。
「あんまりあっさり出て行ったので、なんだか拍子抜けでした」
友幸さんに、どっと疲れが襲ってきた。早々とベッドに入るも、なかなか寝付けない。「虫の知らせと言うんでしょうか。夜中に急に金庫の中が気になったんで、開けてみたんです」すると、現金のほか、高級腕時計や指輪など、1000万円相当の貴金属類が入れてあったはずの金庫は空っぽになっていた。「やられた!と思いました。僕は普段金庫を開けることがないので、いつ中身が出されていたのかわかりませんが、間違いなく志穂美の仕業でしょう。一瞬、警察に通報しようかと思いましたが、盗られたものが戻って来るとは限らないですし、このトシで、この期に及んで警察沙汰というのもみっともないような気がしたので、そのままです。3年足らずの結婚生活でしたが、それくらいの財産分与はあってもいいかもしれないし。まあ、ちょっと高くついたかも知れないですけど、勉強代ということで……」 果たして、志穂美さんが「後妻業の女」だったのかどうかは、いまもわからない。しかし彼女が、高齢男性とスピード結婚を遂げ、別の愛人とも関係を継続したうえで、財産を持ち逃げしたのは紛れもない事実だ。「そんな悪女には見えなかったんですけどねえ」と後に友幸さんは語っているが、前出の結婚相談所のアドバイザーによると、「後妻業には、一見地味で何の変哲もない女性が多い」という。「年齢で言えば50歳前後です。あまり若かったり、美人だったりすると男性から警戒されますから」(同・アドバイザー) 詐欺の被害に遭う人は、皆一様に「まさか、自分が騙されるわけがない」と考えている。しかし、そのように考えてしまうこと自体が、すでに落とし穴にはまっている証だ。まして老後の資産を失ってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。短いようで長い余生。心も身体も財産も大切に守りたいものである。
友幸さんに、どっと疲れが襲ってきた。早々とベッドに入るも、なかなか寝付けない。
「虫の知らせと言うんでしょうか。夜中に急に金庫の中が気になったんで、開けてみたんです」
すると、現金のほか、高級腕時計や指輪など、1000万円相当の貴金属類が入れてあったはずの金庫は空っぽになっていた。
「やられた!と思いました。僕は普段金庫を開けることがないので、いつ中身が出されていたのかわかりませんが、間違いなく志穂美の仕業でしょう。
一瞬、警察に通報しようかと思いましたが、盗られたものが戻って来るとは限らないですし、このトシで、この期に及んで警察沙汰というのもみっともないような気がしたので、そのままです。
3年足らずの結婚生活でしたが、それくらいの財産分与はあってもいいかもしれないし。まあ、ちょっと高くついたかも知れないですけど、勉強代ということで……」
果たして、志穂美さんが「後妻業の女」だったのかどうかは、いまもわからない。しかし彼女が、高齢男性とスピード結婚を遂げ、別の愛人とも関係を継続したうえで、財産を持ち逃げしたのは紛れもない事実だ。「そんな悪女には見えなかったんですけどねえ」と後に友幸さんは語っているが、前出の結婚相談所のアドバイザーによると、「後妻業には、一見地味で何の変哲もない女性が多い」という。「年齢で言えば50歳前後です。あまり若かったり、美人だったりすると男性から警戒されますから」(同・アドバイザー) 詐欺の被害に遭う人は、皆一様に「まさか、自分が騙されるわけがない」と考えている。しかし、そのように考えてしまうこと自体が、すでに落とし穴にはまっている証だ。まして老後の資産を失ってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。短いようで長い余生。心も身体も財産も大切に守りたいものである。
果たして、志穂美さんが「後妻業の女」だったのかどうかは、いまもわからない。しかし彼女が、高齢男性とスピード結婚を遂げ、別の愛人とも関係を継続したうえで、財産を持ち逃げしたのは紛れもない事実だ。
「そんな悪女には見えなかったんですけどねえ」と後に友幸さんは語っているが、前出の結婚相談所のアドバイザーによると、「後妻業には、一見地味で何の変哲もない女性が多い」という。
「年齢で言えば50歳前後です。あまり若かったり、美人だったりすると男性から警戒されますから」(同・アドバイザー)
詐欺の被害に遭う人は、皆一様に「まさか、自分が騙されるわけがない」と考えている。しかし、そのように考えてしまうこと自体が、すでに落とし穴にはまっている証だ。まして老後の資産を失ってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。短いようで長い余生。心も身体も財産も大切に守りたいものである。
詐欺の被害に遭う人は、皆一様に「まさか、自分が騙されるわけがない」と考えている。しかし、そのように考えてしまうこと自体が、すでに落とし穴にはまっている証だ。
まして老後の資産を失ってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。短いようで長い余生。心も身体も財産も大切に守りたいものである。