大阪市淀川区の2階建て住宅で2022年4月、階下の弁当店で働くベトナム国籍の女性(当時31歳)が殺害された事件で、強盗殺人や死体遺棄などの罪に問われた住人の元トラック運転手、山口利家(としや)被告(60)の裁判員裁判が31日、大阪地裁(中川綾子裁判長)であり、検察側は「冷酷非道な犯行だ」として無期懲役を求刑した。弁護側は強盗殺人罪ではなく傷害致死と窃盗罪の適用を求めて結審した。判決は2月3日に言い渡される。
ベトナム女性殺害、60歳被告に無期懲役求刑 起訴状などによると、山口被告は22年4月3日朝、出勤したベトナム国籍のヴォ・ティ・レ・クインさんを自宅に誘い込み、背後から首を絞めて殺害。現金約2万6000円を奪ったほか、遺体を室内に隠したとしている。 論告に先立ち、夫のファン・タン・ユィさん(36)は被害者参加制度を利用して法廷で意見陳述した。ユィさんは「心が刻まれるような痛みにさいなまれる。なぜ彼女が残酷に殺害されなければならないのか。私たち家族はあなたを許すことはありません」と訴えた。 検察側は論告で「背後から腕を巻き付け、相当強い力で絞めた」と指摘し、殺意は認められると主張。被告は生活に困窮し、クインさんに「店長から言われているので、貴重品を持ってきて」とうそを言って自宅に誘い込んだとして、一定の計画性もあるとした。 被告はこれまでの公判で「被害者から金を借りようとしたが、大声を出された」と主張しており、弁護側は最終弁論で「被告は柔道の経験があり、絞め技で気絶させようとした」と強調。金品を奪う目的や殺意はなかったとして、懲役10年が相当とした。【安元久美子】
起訴状などによると、山口被告は22年4月3日朝、出勤したベトナム国籍のヴォ・ティ・レ・クインさんを自宅に誘い込み、背後から首を絞めて殺害。現金約2万6000円を奪ったほか、遺体を室内に隠したとしている。
論告に先立ち、夫のファン・タン・ユィさん(36)は被害者参加制度を利用して法廷で意見陳述した。ユィさんは「心が刻まれるような痛みにさいなまれる。なぜ彼女が残酷に殺害されなければならないのか。私たち家族はあなたを許すことはありません」と訴えた。
検察側は論告で「背後から腕を巻き付け、相当強い力で絞めた」と指摘し、殺意は認められると主張。被告は生活に困窮し、クインさんに「店長から言われているので、貴重品を持ってきて」とうそを言って自宅に誘い込んだとして、一定の計画性もあるとした。
被告はこれまでの公判で「被害者から金を借りようとしたが、大声を出された」と主張しており、弁護側は最終弁論で「被告は柔道の経験があり、絞め技で気絶させようとした」と強調。金品を奪う目的や殺意はなかったとして、懲役10年が相当とした。【安元久美子】