去年一年間に警察が把握した刑法犯は前の年より5.9%増えて60万1300件余りとなった。刑法犯認知件数は、過去最少を更新してきたが、増加に転じたのは20年ぶり。
警察庁によると、全国の警察が把握した刑法犯は、2002年をピークに減少し続けていたが、去年は、戦後最少を更新したおととしより3万3285件増え(プラス5.9%)、60万1389件にのぼった。
中でも自転車の窃盗や、傷害、暴行など街頭犯罪が20万件を超え、前の年から14.4%増えた。新型コロナウィルス感染か拡大で、外出自粛が続いていたが、去年、行動制限が緩和され、街中に人出が戻ったことが影響したとみられる。
また、サイバー犯罪では、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)による被害件数が前の年から57.5%増えた他、インターネットバンキングの不正送金の被害が15億円を超え、3年ぶりに前の年を上回った。
一方、虐待の疑いで、全国の警察が児童相談所に通告した子どもの数が11万5730人、DV被害の相談が8万4493件と、いずれも過去最多を更新した。
特殊詐欺事件についても認知件数、被害額ともに前の年より増加している。手口としては還付金詐欺が全体の26%を超える一方で、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺も増加傾向にあり、被害の大半は”アポ電”などがきっかけとなっている。
また、警察庁は、刑法犯認知件数を発表するに当たり、去年から相次いでいる一連の広域強盗等事件についても言及。実行犯が闇バイトへの応募で加担したとみられると指摘している。
警察庁が行ったアンケートでは、「治安が悪化した」との回答が6割を超えたという。安倍元総理が銃撃されるなど重大事件が発生した影響とみられ、警察庁は「犯罪情勢は厳しい状況にある」と分析している。