「優等生」の卵が高騰、セブンイレブンは煮卵・ゆで卵の販売休止

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卵の価格上昇が止まらない。
普段ならば、年末年始のかき入れ時を過ぎれば需要は落ち着くが、鳥インフルエンザによる鶏の殺処分で供給が減少している。価格が落ち着くには半年かかるとの見方もあり、家計の負担になりそうだ。(升田祥太朗、佐々木拓)
■卸値最高
東京都練馬区のスーパーでは1日、鶏卵Mサイズの1パック(10個入り)が税抜き256円で売られていた。近くに住む主婦(89)は「卵は料理に欠かせない。ほかで節約しないといけない」と困惑していた。
卸売価格も上昇している。鶏卵卸大手の「JA全農たまご」が公表した1日の1キロ・グラムあたりのMサイズの卸値(東京地区)は305円で、昨年2月の平均卸値よりも130円高い。前日に続き、統計を公表している1993年以降で最高を記録した。
3日の節分に合わせて販売する「恵方巻き」にも影響が出ている。帝国データバンクが大手スーパーなど計104社を調査したところ、一般的な商品の平均価格は898円で、前年よりも73円高い。卵だけでなく、のりやマグロも値上がりしている。
■販売休止
利用を制限する動きも出始めた。セブン―イレブン・ジャパンは、プライベートブランドの煮卵やゆで卵の販売を1月31日から取りやめた。「再開の時期は見通せない」という。サンドイッチやサラダに使う卵の量も減らしている。
ファミリーレストランのロイヤルホストは、スクランブルエッグや目玉焼きがついた「モーニングプレート」など、朝食メニューを3月8日から55円値上げする。土産物に人気の「白い恋人」を製造する石屋製菓(札幌市)は、原料の卵白の入手が難しいとして、1月下旬から、オンライン販売を休止した。
■「回復に半年」
価格高騰の主因は、ロシアのウクライナ侵略によって、畜産の飼料価格が高騰したところに、鳥インフルエンザによる鶏の殺処分が重なったことにある。2022年度の採卵鶏の殺処分の数は1日時点で全体の8%にあたる1100万羽を超え、過去最悪のペースとなっている。
影響はいつまで続くのか。野村農相は1月上旬の記者会見で、「(価格は)だんだん落ち着いてくる」と話していたが、事態は悪化している。農林中金総合研究所の北原克彦・理事研究員は、「鳥インフルは春頃には収束するとみられるが、鶏の数を回復するには半年程度かかる。価格はしばらく下がりにくい状況が続く」と指摘している。

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