命を危険にさらすこともある交通違反。埼玉県警交通機動隊は、スピード違反が多発する夜、覆面パトカーで取り締まりに向かう。
制限速度60キロの一般道をパトロールしていると、午後9時半、右側の追い越し車線から黒い車が、かなりのスピードで走り抜けていった。覆面パトカーが追いかける。
赤色灯をつけた状態で違反車と同じスピードで走り、速度を測る。
警察官:前の運転手さん、左車線お願いします。スピード違反です。
停車したドライバーに声を掛ける。
警察官:こんばんは、交通機動隊です。スピードが速かったので止めさせていただきました。
男性:何キロでした?
警察官:77キロ。法定60キロ道路になりますので、17キロの超過です。
違反点数1点、反則金は1万2000円。
さらに、交通機動隊の取り締まりで、目を光らせているのが白バイ隊員だ。バイクの機動力を生かし、どんな違反も見逃さない。
向かったのは信号のないT字路の交差点。多くの車と歩行者が行き交う。すると、左から右へ車が走り抜けた瞬間…。
警察官:緊急車両、右へ曲がります。一度止まってください、ゆっくりで結構です。
サイレンを鳴らし、ドライバーに呼びかける。
警察官:交通機動隊と申します。
女性:何なの?
警察官:横断歩道。
女性:横断歩道?あそこ?え!
警察官:右から(人が)
女性:いたの?こっち渡ったからいいんだと思って、渡っちゃったの。ごめんなさいね。
警察官:進路前方を横断しようとする歩行者がいたことに気づかずに、一時不停止。一時停止することなく行ってしまったという違反になります。
横断歩道を渡っている歩行者がいる場合、車はその手前で一時停止しなければならない。
映像を確認すると、男性が横断歩道を渡り始めた後、左から来ている車が、歩行者のすぐ目の前を減速することなく走り抜けていった。事故に繋がりかねない危険な運転だ。
女性:だいたい一時停止するのに、初めてだったから。
警察官:あ、初めて通る道。
歩行者の横断を妨害した違反で、違反点数2点、反則金は9000円。
同じ交差点でまた…。歩行者が渡ってくるにもかかわらず、構わず走り抜ける車を発見。
警察官:交通機動隊です。横断歩道の歩行者さん。
男性:え?
警察官:右から横断中だったんですけど。
男性:内側だから行っちゃったんですけど。
警察官:横断歩道に横断中の歩行者がいた場合に、交通違反になっちゃうんです。歩行者にはお気づきに?
男性:こっち全然見えない。車来てるもん。
警察官:こちらも横断歩道なんですけど。
男性:横断歩道は分かってたよ。だけど、こっち(対向車線)から車来てるから。こっち(対向車)だって止まってないじゃん。
「対向車も止まっていないから、止まらなかった」と身勝手な言い訳をする男性。さらに不満はヒートアップ。
警察官:ドライブレコーダーもついてますし、確認していただいても大丈夫です。
男性:いいよ、面倒くせえから。だっていくら言ったって、お巡りなんか言うこと聞かねえんだから。
警察官:そういうわけじゃないです。
この男性も違反点数2点、反則金9000円となった。
別の一般道。違反車に目を光らせていると、軽自動車が目の前を走り過ぎた。何かに気づいたのか、白バイ隊員は軽自動車の後ろにつける。
信号が青になり、横から運転席を確認するとサイレンを鳴らす。
何の違反だったのか。白バイ隊員が車の横を通った時の映像をよく見てみると、運転手が左手でスマホを触っているように見える。
“ながら運転”の違反だ。スマホのながら運転は違反点数3点、反則金1万8000円になる。
「左に寄せてください」と止まるよう誘導した次の瞬間、車は急にアクセルを踏み脇道へ逃走。
警察官:止まりなさい!止まりなさい!
白バイ隊員の呼びかけを無視。それどころか、対向車線に車が通る道路で蛇行運転したり…。
警察官:止まれ!
白バイを騙すかのように、ウインカーとは逆方向へ曲がっていく。
むちゃくちゃで危険な運転を繰り返し、やっとコンビニの駐車場で止まった。白バイ隊員がドライバーに声をかける。
警察官:運転手さん、運転手さん!落ち着いて、落ち着いてください!
男:お前、なにがや!
警察官:落ち着いてください!
男:なにがやねん!
白バイ隊員の胸ぐらに勢いよくつかみかかってきた。言葉もろれつが回らず、はっきりしない。すると、白バイ隊員はあることに気づいた。
男:何が待ってやねん!待てねえわ、俺は。俺はトイレ行きたいんだよ。トイレくらい行かせろ!
警察官:臭いもしてるから。
男:だからトイレ行かせろや、お前!
男からアルコールの臭いがしたのだ。そして、信じられない発言が飛び出す。
男:とりあえずビール飲みたい
なんと、車を運転しているのにビールが飲みたいと言い出した。その後も、白バイ隊員に暴言を浴びせ続ける。
男:結局そうだろ。パクるんだろ!
警察官:落ち着いて。
男:パクるんだろうが!どうでもいいだろ、こら!いいんだよ!
警察官:いいんじゃないの!
男:何がいいんじゃこら!
警察官:携帯電話の使用でお止めしてるの。
白バイ隊員が引き留め続けること8分。続々と、警察官が応援に駆けつけた。
男:もういい。飲酒だろうがどうでもいい。もうパクられようが、何しようが構わん。
警察官:お酒飲んだんですか?
男:飲んだんじゃない?臭うやろ。
飲酒運転を自ら認める発言だ。そして、白バイ隊員に何度もつかみかかっていた男はついに…。
警察官:公務執行妨害でね、逮捕するから。現行犯逮捕。
男:ちょ、待て待て…。
警察官:待てない、待てない。36分、現行犯逮捕。
警察官の胸ぐらをつかんだ公務執行妨害で現行犯逮捕。その後の調べで、男の呼気からは基準値を超えるアルコールを検出。
男は調べに対し、「逃げきれないと思って、逆に文句を言ってやろうと思った。酒を飲んで気が大きくなっていた」と話しているという。
(「イット!」1月31日放送)